各名門ブランド ピンボール・リスト

WILLIAMS/1973

トラヴェル・タイム

原題TRAVEL TIME
製作年度1973
ブランド名ウィリアムス
メーカーウィリアムス・エレクトロニクス・インク/ウィリアムス
スタッフデザイン:ノーマン・クラーク/美術:クリスチャン・マーチェ
標準リプレイ点数不明
備考タイマーピンボール/ようつべに動画あるよ!⇒GO!
▲プレイフィールド中央から上部。アウトレーンに落ちても安心、しかもメリットが多いという開放感が気持ちよし。 ▲両フリッパー間にあるポケットキッカー。実は時計を進めるやっかいもの。

― COMMENTS ―
タイマーピンボールという特殊なボール制度を採用した珍品です。残り時間を表す時計がフィールド下部に大きく描かれており、この時計の針(ライト表示)がゼロを指すまでは何度でも落としてOK!すぐにまたボールがシューターに出てきてくれます。
 但し、残り時間がゼロになってからボールを落とすと即ゲームオーバー。よって、1ゲームにつき5球でも10球でも打てるかも知れないし、場合によってはたった1球落としただけでもうお終い、ということもある訳です。プレイヤーはストップクロックと時間延長のフィーチャーを延々追い続けることになります。

 先ず、最たる狙い目はトップレーンスキルショット。3本あるトップレーンズのうち、両脇は千点ですが、中央は二千点+10秒時間延長。3個のバンパーはそれぞれ百点。普通のピンボールだと落ちてはならぬアウトレーンは千点+ストップクロック。つまり時間を止めてくれる上に結構な点が入る、しかもまたトップレーンへ打てるという攻略的なポイント。但し残り時間がゼロだったら元も子もなし。
 もうひとつ独創的なのは、かなり広めにとってある両フリッパーの間で口を開けて待ち構えているキックアウトポケット。ボールがど真ん中に来た時はこいつがキャッチしてフィールドに打ち戻してくれる、一見頼もしく思えるポケットですが、実は何も得点が入らない上にスタートクロックまでさせてしまうという、困りもののポイント。一方フィールド中央にあるキックアウトホールでは無条件でストップクロックがかかりますが、ちょっと入れにくい作りをしています。
 あと重要なのがフィールド上部から中央にかけて点在するT・R・A・V・E・L/T・I・M・Eのターゲット。全て当てると両フリッパー間のポケットが500点+時間25秒延長、そして中央ホールには5,000点ライトが点灯します。

 面白かったです!時計が一旦動き始めたらすぐにストップクロックをかけないと『カシャ、カシャ』と刻一刻と無情に時間が進んでゆくこのスリル。そして残り時間が[0]を示した時のただならぬ緊張感。タイマーピンボールの特性と魅力が、存分に活かされている一台と申してよいでしょう。
 ただ、タイマーピンボールというシステム自体は必ずしもプレイヤーや業界に歓迎されていた訳ではないようで、その後ウィルからも他社からもタイマー制PINが陸続することはありませんでした。それでもバリー'86年の「ビート・ザ・クロック」や'96年の「セイフクラッカー」のように、時折ふと思い出したかのようにタイマーピンボールが世へ送り出されています。

▲バックグラスあーんどプレイフィールド全景。 ▲フィールド全景。センターホール狙いたいけど、これがなかなか入らないのだ。 ▲あらやだ!スペースひとつ余っちゃった。代わりにニッテン社「ホームランゲーム」の写真でもいかが

(2008年1月10日)