WILLIAMS/1990ワールウィンド | ||
原題 | Whirlwind | |
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製作年度 | 1990年 | |
ブランド名 | ウィリアムス | |
メーカー | ウィリアムス・エレクトロニクス・ゲームズ/ウィリアムス | |
スタッフ | 原案・デザイン:パット・ローラー/美術:ジョン・ユッシー/音楽:クリス・グランナー/ソフトウェア:ビル・フッツェンローター/メカニクス:ジョン・クルッチ,ジャック・スカロン | |
標準リプレイ点数 | 不明(確か800万点だったかしら?) | |
備考 | 製造台数:7,300台/ようつべに動画あるよ!⇒GO! |
▲バックグラス。ローラーらしいスケールと距離感のあるアート。因みに'96年公開の「ツイスター」という竜巻映画があったが、それより6年も先立つ着眼だったのだ | ▲プレイフィールド上部。奥つきあたり下側のデッドスペースまで活用した、広くて複雑な設計 |
▲フィールド下部左端2つのスクープ。右側はミニヴァリューが得られ、左側はマルチのリスタートを担っている | ▲バックボックス底辺に掲示されるセラードアヴァリュー。点滅箇所はスピナーで左回りライトチェンジ |
▲要所要所で稼働する扇風機!ピンボーラーは皆冬でも半袖汗だくでプレイする暑がりばかりなので、コレはおあつらえ向きね | ▲ドロップターゲット3バンク。スキルショットやヴァリュー上昇時に活躍 |
▲ちょっと変形バランスのプレイフィールド下部 | ▲これがワールウィンドのスピニングディスクだ!回るスピードは一定ではなく、前後する強弱が本当に風みたいでゾクゾク。但し電取法の弊害により国内流通版では駆動の性能が大幅に落ちていた |
●ウィリアムス'90年発表の爽快作「ワールウィンド」は、竜巻の脅威とその観測隊が主役という、ピンボールとしては意外性のあるテーマが据えられた異色のマシン。 搭載ギミックの白眉は、何と言ってもフィールド盤面に設えた3枚のスピニングディスク。 要所要所で爆音サウンドと共に稼働、弾けるような猛回転により、よりトリッキーなボールアクションを巻き起こす! そればかりかバックボックス上部には扇風機が取り付けられ、マルチ時にはこいつが回ってプレイヤーに風を送るという、馬鹿馬鹿しくも意表を突いた演出に失笑必死。 役物を一撃する度に鳴り響く轟音。ゾクゾクする様なサウンド。竜巻接近の興奮と緊迫をうまく伝える無線ヴォイス。そんな緊張感を“オーウ!ミーリオン♪”などとあっけらかんと破る女性のはしゃぎ声も巧みに挿入、ゲームサウンドにうまい緩急が付けられています。 「バンザイラン」「アースシェイカー!」で高い礼賛を受けた名デザイナーパット・ローラーのウィリアムスピンボール第3作目。前作をも上回る完成度と熱いドラマ性により、PINマニア酩酊の伝説作と相成りました。 それでは残ってる資料を元に、どうにか詳細を思い出しながらフィーチャー解析を記して参りましょう。 【スキルショット】 プランジャーは思い切り打ちだしても利点はあるが、緩めの打ち加減により中央横向きドロップターゲット3バンクに当ててスキルショットボーナスを得ることができる。ヴァリューは上から10万、20万、30万。一挙3枚スウィープを決めて計60万狙いも可能。 尚プランジいっぱい思い切り打ち出すと、サイドループをぐるっと経由してボールはサイドフリッパーに到達、サイドランプレーンの狙い打ちが楽しめる(ライトアドヴァンス有り)。 【右上スロープ/トールス】 トールス数を10まで上げるとEx.リット、60まで上げると再リット(台設定により変化)。この数値は右上スロープ(右ランプ)にボールを通すと上昇。因みにエキストラボールライトは右上1枚ドロップに点灯。 【クイックマルチ】 2ボールマルチ中はサイドランプでミリオン取り放題。2マルチにするには右上スロープを開けてその奥のホールにボールロックすればOK。アナザーボールのプランジで即クイックマルチスタート。 ボールロックの条件は右上1枚ドロップたもとのクイックマルチボールのライトが点滅した時に仕留めれば完成。このクイックMを点灯させる方法は右スロープ連続シュートorミニヴァリュー。 【ボールロック】 右スロープのロックライトの点滅時にランプに上げると、下部左端のロックポケットに運ばれてボールロック。ロックの条件は東風,西風,南風,北風の役を完成させるべし。東西南北はそれぞれスタンダップやレーンに点在。 【マルチボール/ジャックポット】 3個ともボールロックを完了すればマルチボールスタート。ジャックポットはサイドランプレーン。初回獲得値は200万点。以降2回目は300万、3回目400万……とミリオンプラス式で上昇。 尚、マルチボールには下部左端スクープにてリスタートルールあり。 【スーパーセラードア】 フィールド左下に2つあるスクープ型ホールの内[W/LIT]の方の黄色いライト点灯時に入れれば、バックボックス底辺にフレーム掲示されている7つのミニヴァリューのうち点滅中の1つが得られる。 内容はスコア50万点、上部バンパー値アップ、下部バンパー値アップ、Ex.リット、3バンクドロップT10万点、クイックマルチ点灯、サイドランプミリオン点灯。 尚ホエンリット再点灯条件は、完全点灯ならサイドランプ、時間制点滅ならリターンレーン。 【メガドアボーナス】 スーパーセラードア全7項目のミニヴァリューを制覇後、再度スクープに叩き込めば最強のフィーチャー メガドアボーナスを獲得。内容は7つのヴァリュー全部+200万点+スペシャルリット。 爆音と共に最初から1項目ずつ大仰にカウントするデモは必見。 全編ゾクゾク身震いするような興奮と爆裂感に満ち溢れたピンボールで、ワンショットワンショットの度に疾風吹きすさぶサウンドやギミックの稼働、随所ストロボフラッシュにより、さぁ来るゾ来るゾと引っ張るムード満点の演出は、もはや神懸かり的。 竜巻の襲来を表現したマルチボールではスピニングディスクもバックボックス扇風機もフル回転。ぐわーっとサイドランプにボールが通った際の、吹き荒れるような暴風をデジタルディスプレイでも表現するジャックポット獲得デモの爽快さは特筆モノ。 また、全種制覇でウィザードモードが得られるセラードアフィーチャーは、今で言うミニゲームのはしり。 この頃はまだ簡単なミニヴァリューといった項目ばかりでしたが、こつこつ段階を踏まえて大がかりなビッグゲームに到達する構成は「ブラックナイト2000」のRANSOMレター完成より深みがあり、ピンボールのゲーム性に更なる奥行をもたらしました。 難点は、アースシェイカーやファンハウスと比べて状態が良くなかったこと。 スピニングディスク段差のヘコみやでっぱりだけでもプレイヤーを十分悩ませましたが、最たる難所はサイドフリッパーとサイドランプの設計。 狭隘な入口から長距離カーブを描く急勾配サイドランプレーンのしつらえに無理があり、フリッパーコイルはそんなに弱かないはずなのにサイドランプへ極度に登らせにくい状態の台が頻発。 同箇所が不思議とすいっと通る台もあるだけに、これら各台の状態の差にプレイヤー達は大いに煩悶しました(確かホワイトウォーターでもそういうコトあったな……)。 ところで近年のWMSの場合、1作のピンボールを仕上げるのに大体1年程の製作期間を費やしますが、完成にこじつけるまで2年もかかった同氏の「トワイライトゾーン」と比べ、意外や「ワールウィンド」は半年で仕上がったとのこと。 元々「アースシェイカー」の時に削ったアイディアやできなかったフィーチャーを実現させたいというPローラーにとってのリベンジ作で、それら前もって煮詰められていた設計や開発などは比較的にスムースに進めることができたようです。 因みにWMS時代のパットローラーの制作最短記録は「セイフクラッカー」の4か月だそうな。 それでも、ブロックバスター映画の企画を片っ端から漁っては映画会社の試写室にかけこんでスタッフ達にイメージを頭に叩き込ませ、過去の台のホワイトウッドの使いまわしで映画コピライト台を公開に合わせるべく、突貫工事2か月で新機種出すようなデータイーストピンボール社の杜撰な仕事ぶりとは比較にならない、手間暇かけた丁寧さであることは言うまでもありません。 |
▲ジャックポットがかかるサイドランプ入口!う〜ん登らせにくいよ〜〜。長時間プレイしてると右手中指と親指付け根が痛いでしゅ | ▲東西南北の風向きライトはボールロック&マルチボールへ道しるべ | ▲フィールド右上のスロープとスピナーレーン。スロープは閉じている時はランプレーンが、開いた時には奥のキックアウトホールが開通 |
▲コレ面白いね!左アウトレーンのさらに外側がボールロックのポケットになってる。 | ▲今回バンパー地帯は2か所!スコア的な役割はヴァリューの上昇程度だが、ボールアクションはとても賑やかに | ▲サイドランプレーンに通したボールは、奥からついーっと伸びてきたワイヤーレーンに乗って、ポトッっと猛回転ディスク地帯に放られる |
▲バックグラスに描かれた観測隊おぢさんのアップでもどうぞ | ▲クイックマルチ及びエキストラボールがかかる重要な1枚ドロップ | ▲最後はプレイフィールド全景写真で〆たいと思います |