日本ゲーム博物館/ワンモアタイム/愛知県犬山市




― DATA ―
アクセス愛知県犬山市/名鉄西可児駅から徒歩45分/名鉄バス停[成沢リトルワールド口下車]徒歩3分(名古屋駅/栄駅、名鉄バス乗り場から乗車)
ロケーションのタイプ博物館/遊園地
台数35台/エレメカ・リールドラム代、ソリステ台、ドットディスプレイ台/たまに差し替え有り
調整悪い/係員が気が向いた時だけ
設定フリープレイ/入館料1時間千円、3時間二千円、1日三千円/エキストラ、スペシャル、リプレイ、プラムティルト設定ほぼ標準通り
営業時間土日祝午前10時〜午後5時/繁盛期は6時まで営業/年末年始休館
その他付加サービス月ごとのサービスイベント有り
その他ルール館内禁煙/飲食は規定のスペースのみOK/飲食物持ち込みOK/館員のお話によると、調整不備・メンテナンスの申し立ては厳禁で、背いたものは入館禁止とのこと

稼動ピンボールリスト

ドットマトリクス台
フィッシュ・テールズ1992年/ウィリアムス良好
ホワイト・ウォーター1993年/ウィリアムス
ガンズ・アンド・ローゼズ1994年/データイースト普通
ティーネイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ1991年/データイースト
ノー・フィアー1995年/ウィリアムス最悪
クリーチャー・フロム・ザ・ブラック・ラグーン1993年/バリー
キュー・ボール・ウィザード1993年/プリミア
ザ・ゲッタウェイ1992年/ウィリアムス普通
アタック・フロム・マーズ1995年/バリー普通
メディーヴァル・マッドネス1997年/ウィリアムス
ザ・トワイライト・ゾーン1993年/バリー
モンスター・バッシュ1998年/ウィリアムス故障中
スター・トレック〜ザ・ネクスト・ジェネレーション1994年/ウィリアムス故障中
アラビアンナイツ1996年/ウィリアムス最悪
インディ・ジョーンズ1993年/ウィリアムス最悪
ロード・オブ・ザ・リング2003年/スターン
ジュラシック・パーク1993年/データイースト
ワールド・カップ・サッカー1994年/バリー
ターミネーター21992年/ウィリアムス
スーパーマリオブラザーズ/マッシュルームワールド1992年/プリミア


ソリステ・デジタル台
フラッシュ1978年/ウィリアムス
カウントダウン1978年/ゴットリーブ最良
モンテカルロ1987年/プリミア故障中
ロードキングス1986年/ウィリアムス
ミコシ1977年/セガjp故障中
F-14トムキャット1987年/ウィリアムス故障中
ファンハウス1990年/ウィリアムス
プレイボーイ1978年/バリー悪い


エレメカ・リールドラム台
サーフィン1972年/セガjp最良
サッポロ1971年/セガjp
ウィナー1971年/セガjp
ビッグ・ヒット1977年/ゴットリーブ
アトランティス1974年/ゴットリーブ
チャレンジャー1971年/ゴットリーブ


その他特殊仕様
スター・ウォーズ エピソードT1999年/ウィリアムス




■タウン誌、ローカルテレビ番組で盛んに取り上げられるようになった《日本ゲーム博物館/ワンモアタイム》ですが、昨今ではプレイヤーの信頼を大きく損なうほど、ピンボールマシンへのメンテナンス放棄が呈されています。

 同館は現在、屋外遊園地建造とファミコンソフト蒐集に淫するあまり、ピンボールの手入れは永らく放置。
 元来ピンボーラー気質ではなかったスタッフ陣は既にPINマシンへの興味を喪失、新規台の購入や入れ替えもぱったり。

 それだけならばともかく、マシンの整備状況の悪さは正常に遊べない範囲にまで凋落しつつあります。
 コレ例えるなら'80年代〜'90年代に「じゃあ〜〜別の台でェー」と故障状況をわざわざ知らせたのにぶっすりふくれっつらしながら他機種にクレジットを漫然と入れるだけで何も手入れしない、そんな怠惰なアルバイトがカウンターでぼんやりジャンプ読んでる放埓な郊外ゲームセンターと同じ眷属。
 そんな当時を思い起こす悲惨な整備状況にまでワンモアタイムはやつしており、何もかもピカピカにレストアされていたピンボール博物館初期の輝かしさは見る影も有りません。

 それ以上に愁眉すべきは従業員たちの応対。
 筆者がマシンの不調をひとつひとつ指摘したところ、ソレに逆上した係員は、声を荒らげて入館料を叩き返してきました

 どういうことなのか仔細は後述するとして、プレイできた各マシンの状態のリポートを。




 バリー'95年製の名作「アタック・フロム・マーズ」は殊に戦略バランスが絶妙なゲーム性に非の打ちどころが無い。
 去年の夏以来ピンボールを全く打ってなかったはずの筆者の腕も緩んでおらず、当日ルールザユニバース2周出来てグラチャンを頂ける栄誉に。がしかし、気になる点はいくつか。
 円盤ドロップターゲットのスタンドアップもボールヒット判定も不良。またマーシアンターゲットのうち[T][I]が反応せず。どちらも保護プログラムが働いたおかげで、どうにかゲームが成立しているという状況。

 '92年のウィリアムス台「フィッシュ・テールズ」はほとんど“最良”の一歩手前ぐらい。オートシューターのコイルがやや弱くスキルループショット出来ない憾みは残るものの、左右フリッパーもロックホール&ドロップも、コントロールゲートもバックボックストッパーの魚オブジェアクションも、全て強靭に稼働していて爽快。
 おかげでグラチャン及びハイエストのレコードに繰り返し成功。快哉。

 幻のセガjp'72年製ドラム台「サーフィン」も調子が良かった。Ex.が取れそうで取れないスリリングなマグネットスウィングに、この度も大いに魅了された。

 エレメカとICデジタルとの端境期のゴットリーブ'78年製「カウントダウン」も整備に問題なし。当てるのも通すのも難しい役物配置な上、完成させる役の順番も色指定配置の通りに沿わないと倍率Upとされない、非常にシヴィアなルール。
 しかし体がノってくるとバシバシ完成が進んで各ヴァリューが次々のし上がり。トップホールではボーナスカウントダウンがなだれ込み!相変わらず酩酊的な傑作。

 データイースト'94製「ガンズ・アンド・ローゼズ」のバンパーが全然元気なかったり、左アウトレーンスイッチが無反応だったりしたが、左右フリッパーなどは元気だったため、そこそこ楽しめる状態。

 今も色褪せぬ、プレイしてスカッとする快作「ザ・ゲッタウェイ」は、最も重要なスーパーチャージャーは健勝であるもものの、惜しいことに左リターンスイッチが無反応。対角ループショットによるXマルチプライアとEx.が絡む箇所だけに、若干プレイに難儀。
 しかしそれでも筆者はなんとかハイエスト1位に到達。左右フリッパー打力にややくたびれを感じたものの、ランプやループには一応貫通する為、上級プレイヤーには丁度いい難易度かも。

 一見'70年代初頭のデザインのようで意外と時代が新しい、ゴットリーブ'77年製「ビッグ・ヒット」は展示品扱いではなく稼働台となっていたが、電源ボタンon/offを何度試しても電源が入らなかった。万が一修理途中であると危なっかしいので、それ以上無理に電源元は探らなかったが。
 余談だが同館はピンボール筐体の下側スペースを、総じて隈なく機材や荷物置き場にしてしまっているが、あまり好ましい光景ではない。

 '93年製ウィリアムス版「インディ・ジョーンズ」は右フリッパーがホールディング不可能!あのホールドを保つケーブル1本が断線しているようで、押しっ放しにしてもカカッ!カカッ!と下がってしまうという、結構ありがちな症状を発症。
 セレブリティネームヴァリューが高いだけに当日も立ち止まって手を付ける人が多い台で、皆プレイしづらかったであろう。私まで心苦しい気持ちに。

 ウィリアムス'96年製「アラビアンナイツ」においては、左右フリッパーが一切稼働せず、悲惨の一言。これは酷い。バックボックス左右スピーカーも音が通っていない。キャビネット底ボトムスピーカーだけ音楽がジャカジャカ鳴っていて、光景的にシュール。
 これはもう電源遮断して[故障中]か[展示品]とすべき状態だろうに。

 唖然としたのは「ノー・フィアー」。シューターレーンのコイルが死んでしまっている。つまり1ボールも打ち出せない。これも[展示品]のラミカを貼って眠らせておくべき状態である。

 バリー版'78年製「プレイボーイ」も残念なレストア状況。左フリッパーが時々上がりっ放しになる他、中央1枚スポットターゲットが無反応。更に4バンクトップレーンのうちラビッドヘッド電球切れが2本も。コレ戦略上結構ツラい。


 他、盤面がワックスがけされてピカピカの台もあれば、「キューボールウィザード」「ワールドカップサッカー」のようにギョッとする程真っ黒に汚れた台も。ムラが極端な同館メンテナンスのきまぐれさが伺える。



 さて、当日プレイヤーの立場でピンボールマシンの不具合が確認できたにもかかわらず、我関せずと黙って帰るのが一番良くないので、カウンターにおられた黒縁目眼の男性従業員に“スミマセン調子悪いので見てもらえますか”とお声かけしたところ。

 「あ。内部的なものはすぐに直せないんで。」

 ……と、ほかごとをしながらすげなく返答したきり会話終了、またぷいと作業に戻ってしまいました。

 こちらとしてはてっきり相手方が“はいはいどういう状況ですか?……OK了解、要メンテリストに順次追加しますね、じゃあアラビアンナイトは展示品扱いにしときます”というやりとりを予想していた筆者は、二呼吸ほどあっけにとられることに。

 相手方の、その聞く耳すら持とうとしない対応にうすら寒さを感じながらも、
 “では、紙とペン貸してもらえますか。書き出しますんで”と嘆願。
 するとやはりにべもなく無言の朴念仁であるものの、ボールペンと用紙を渡して下さいました。
 マーズのUFOドロップ不良、スポットターゲット[T][I]反応なし、アラビアン両フリッパーとも全く稼働せず……等々、筆者は身も心もぎこちなく軋ませながらも、ピンボーラーとしての義務感から、必死に書きだしてゆきます。

 別の一場面。ボールスタックが起きたので取って頂けますか、と同じ男性にお願いした時も、彼はキャビネットとガラスを開けて対応しつつも終始つっけんどんな仏頂面で、胸に一物。一体何があったのだろう。
 正直申して、その方からは終始気持ちの良くない風が吹いてきたので、この時点で十分不審に感じていましたが、もっと胸が痛んだのは帰りがけのこと。


 午後6時閉館の30分ほど前の時間になってそろそろ帰途に付くべく、入館証首掛けの返却と共に、書きだしておいた最後の整備不良リストを手渡しながら、深刻な各機種不具合の改善の切望を伝えるべく、
 “今回は整備不良が多過ぎました。これでは三千円の価値ないですよ”
 と例の方にお話しを切り出し、私は年に一回ぐらいしか来れないのですが云々……これからのGWにいらっしゃる方にもピンボールの良さを分かってもらいたいのでかんぬん……どうかこれらを順次調整リストに加えておいて下さいね、あぁそう三共のコリントマシンが2Fに二台もあったのはビックリしました'60年代末頃のものですかね等々、お話を続けようとしたときのこと。

 「も……もおぅ来るなぁぁぁぁぁぁァァァァァ―――――――!!」

 相手の口火を切った劈頭一番、この激昂した怒号が私に面罵されました。本当は普段人様を罵倒するのには不慣れであることを感じる、いい大人の、幼く上ずった嬌声。
 こちらは全く予想だにしていない相手方の奇矯に茫然。
 その男性は唇を震わせながらも言葉を続けます。

 「整備不良……整備不良って………なら、入館料!返しますよ!!」
 とカウンター内側で苛立ちながらゴソゴソ返金分の三千円を用意しようとする男性。

 あの、いやそうじゃなくて違います困ります、とこちらが困惑の限りを尽くしていると、彼のお痛ましき絶叫を聞いて駆け付けてきたのは、例の、動画は勿論テレビでも見かけたことのある、小柄で浅黒い名物館長さん。

 「あるよー?…ほかにも。整備不良。いくらでも。」

 あまり威張れることではないはずなのになぜか不遜なおももちで、険のある目と顎で各所を差しながら、私を黒縁眼鏡男性とで挟み込むようにしながら館長さんも筆者への難詰を始めます。

 「あのね。ウチね。展示なの。れ・き・し。歴史の展示だから!そんなに完璧に整備された状態を求めるなら、ウ・チ・じゃ・な・く…………余所のゲムセタ行てくださぁ!!」
 顔近いんで少し離れて下さいと言いたくなるような距離で、身振り手振りを交えて腹から感情的に援護射撃をまくしたてる館長さん。

 いやあの、誤解です、そうじゃなく、台のトラブルを伝えようと、じゃあ言うのもダメなんですか、気づいても黙ってろってことですか、とこちらの真意を伝えるべく何度説明しようと、なんとかの一つ覚えのように
 「ウチは博物館!」「ウチのは展示品!」「ここじゃなくよそのゲームセンターに行って!!」
 と錦の御旗とばかりに繰り返し、私の言葉の途中で覆いかぶさるようにして論点を戻され、お話合いは堂々巡りで全く埒が明かない、虚しく不毛なやりとりに。

 この、あまりにも理不尽な相手方の強権。

 ……貴方お名前は何とおっしゃるんです?とこちらが黒縁眼鏡男性に尋ねたところ。

 「ボクが……店長の……横井です! こ、の、度、は、整、備、不、良、で、申、し、訳、有、り、ま、せ、ん、で、し………たぁ!!」
 と、あからさまな悪し様とつらあてで私に付き出される、三枚の千円札。
 その間も、筆者を睨(ね)めるように高圧し続ける館長さん。

 博物館だ展示品だ、とどれだけ錦の御旗を振りかざそうと、少なからずお金を徴収する営為がある以上、支払いを行った入館者には意見や批評の権利が最終的に残る訳ですが、それもチャラにするから、もう一切口をつぐめ、と。そういうことですわ。

 私は手切れ金として返金の3,000円を受け取り、ワンモアタイムを後にしました。


 今回の《ワンモアタイム》側の筆者への発言内容が同館経営理念の本心なら、

・電源停止の[展示品]と、電源の通る[体験機]とに分けて設置してあるが、たとえ体験機だろうとそんなもの不具合があって当たり前、遠くからこようとその台を打つのを楽しみにしていようと、まともなプレイができなくたって知ったことではない
・マシンの不具合の申し立ては厳禁。もし口を開いて知らせてこようものなら入場料全額返金の上、入館禁止措置とする


 ……そんな誰もが眉をひそめるような専横な入館規約を、利用者全員が認識出来る形で掲示する義務が発生することに。

 しかし筆者がここで指南したいのは、『だったらはじめからそう書いとけよ』とか『“遊べる博物館”“体験機”の定義をはっきりさせろよ』とか、館内規則などの不明瞭さの剔抉などではなく、

 “なぜ、状態不具合の発生をわざわざ知らせてくれた利用者に対し『じゃあ要メンテナンスリストに順次乗っけておきますね〜』という、どうってこと無いような穏当な対応ができなかったのか”
 ということ。

 遊園地オープンやファミコンにかまけて後ろ暗かったピンボールの整備放棄をビシビシ指摘されたからと、逆切れの上怒鳴りつけて入館料叩き返すって。
 それじゃただの幼稚な駄々っ子じゃないの。

 もうプレイヤーにとって同館への信頼は失われ、環境も、スタッフ陣の気風も、ピンボールスポットとして薦められる閾値から大きく外れたため、非推奨と言わざるを得ない結論です。同館への来訪は、人様におすすめできません。
 整備状態が悪過ぎてゲーム性に致命しているのを知ってて、あえてわざと稼働を止めずに利用者にピンボールをやらせて知らんふり、不具合知らせにきてくれた人には「うちは歴史の博物館だ!」と突如痛棒突き出す錦の御旗。
 そんな施設、ピンボール産業的にもカルチャー的にも、好ましい施設と言える訳がありません。


 この度のワンモアタイム側の応対は、忘れることにします。
 決してその痴態だけが彼らの人品骨柄の全てではなく、それは連休準備の忙殺に鈍した故の一時的な乱心であったと、そう務めて捉えることに致します。

 同館及び館長さん、店長さん、その他ご家族がたの末永い発展とご多幸を、心よりお祈りいたします。


【所在地】〒484-0005
愛知県犬山市今井山神洞9−1
【営業時間】土日祝午前10時〜午後5時、または6時
【tel】0568-65-0552
【関連サイト】公式サイト
【備考】
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(取材日:2015年4月25日)