SALOOON/群馬県太田市




― DATA ―
アクセス群馬県太田市/東武伊勢崎線太田駅徒歩10分
ロケーションのタイプ娯楽場・遊技場
台数12台/リールドラム台、デジタルディスプレイ台、アルファニューメリック台、ドットディスプレイ台/差し替え有り
調整毎日実施/係員常駐
設定基本1プレイ100円/ドラム台1コイン2Crd./2コイン3Cr.設定は不整合/エキストラ非常に厳し目/スペシャル非常に厳し目/リプレイ厳し目、且つブースト有り/プラムティルト設定厳し目/設定可能ティルト警告は1回まで/設定可能台の場合マッチナンバーは全く当たらない/ハイスコアアウォード一切無し/音量は控え目
営業時間火〜金:午後3時〜深夜3時、土日:午後1時〜深夜3時/月曜定休
その他付加サービス気さくなトーク、温かなおもてなし、無骨だけどいなせな雰囲気、厚い人情
その他ルール入場無料/分煙あり/十分な配置スペース/飲食・飲酒・喫煙しながらのプレイ禁止/軽食メニュー有り/ビリヤード、ダーツ、スロット施設も有り




稼動ピンボールリスト

ドットマトリクス台
ザ・チャンピオン・パブ1998年/バリー普通
スパイダーマン2007年/スターン
ギリガンズ・アイランド1992年/バリー
アダムス・ファミリー1992/バリー


アルファニューメリック台
ラジカル!1990年/バリー良好
ドクター・デュード1990年/バリー最良
ブラックナイト20001989年/ウィリアムス最良
バンザイ・ラン1998/ウィリアムス


ソリステ・デジタルディスプレイ台
ジョーカー・ポーカー1978年/ゴットリーブ故障中
フラッシュ1979年/ウィリアムス


エレメカ・リールドラム台
未知との遭遇1978年/ゴットリーブ最良
OXO1973年/ウィリアムス最良




■東京駅からだと列車を乗り継いで約2時間ほど。

 群馬県太田市にあるアクの強いピンボールスポット《SALOOON》へ、ピンボールの為だけに打ちに行って参りました。熱を込めてリポートを上梓致します。

 こちらはどういった類のロケーションかと申しますと、ビリヤード、ダーツ、パチスロ、プライズ筐体、ビデオゲーム筐体、バーカウンター、そしてピンボール
 いわゆるかつての“遊技場”スタイルのプレイスポットと申し上げれば良いかと思います。

 ビリヤードホールにピンボールが置かれている例は筆者の知見でも過去にあったのですが、台のコンディションが悲惨だったり、主軸のビリヤード客が集中出来るようマシンのサウンドボリュームを殆どゼロに絞ってあったり、等々……。

 通常、ピンボーラーにとってバーとビリヤード場は、プレイスポットの選択肢には入りません。

 しかしこちら《SALOOON》は特例!
 '70年代ドラムからスターンの最近作まで、多種多様な名モデルが勢ぞろい。中には「ラジカル!」のようなマニア垂涎のレア台も。
 メンテナンスも極上で、動作も駆動も鮮鋭。丁寧なワックスがけが施されたプレイフィールドも磨かれた宝石のようで溜息が漏れるばかり。

 それもそのはず、リースやメンテナンスはかの《ネバーランド》の吾妻社が担っています。
 またお店のマスターさんも腕の立つピンボールプレイヤーなので、台のコンディションについてはいつ訪れても間違いがないと推断します。


 先ずプレイルームにピンボールが7台。マスターさんに申し出れば部屋を開けて電源と空調を入れてもらえます。
 ビリヤードスペースとピンボールルームは隔離。
 ダーツルームとは同部屋ですが、ある程度距離がとられ、バッティングの心配もありません。

 さらに、奥の倉庫部屋にも5台
 冷房が効かなくてお店側は恐縮なさってますが、2機設置される業務用扇風機を自分に向けて最強にすれば意外と快適なプレイに。
 ボリュームレベルが控えめであるものの、周りが静かなのでサウンドもミュージックも楽しめます。

 一見荒っぽい環境のようですが、台の間隔や背後のスペース、蛍光灯の反射対応など、マニアレベルで十分把握した采配が随所に見られ、心行くまでプレイを堪能。
 しかも深夜3時まで営業とのことで、近くにホテルさえ取っていれば時間いっぱい打てますよ。

ココではコレが面白かった!

●「ドクター・デュード」WMSバリー'90年製


 美術担当のグレッグ・フレーレスが'63年公開のジキルとハイドのパロディ映画「底抜け大学教授」からインスパイアを受け、オリジナルとして描き下ろしたというコミックテーマが強烈な1台。

 バリー人を冷遇していた当時のWMS内でハチャメチャなコミックコンセプトの企画が採用されるかどうか心配だったものの、会議ではウィリアムスの古豪スティーヴ・コーデック大先生から

 “何だこの企画書は。酷い漫画だ!でも何だか楽しそうだから製品化しようぜ”

 ……とお墨付きを頂き、無事ゴーサインを貰えたそうな。

 調子に乗ったグレッグは角度で絵が変わるレンチキュラーレンズをバックグラスに採用。
 製作費は嵩んでしまったが、目視する向きでドクターのキャラが変化するアートの評判がすこぶる良く、ご満悦だったとのこと。

 一方ゲームデザインのデニス・ノードマンは前作「エルヴァイラ・アンド・ザ・パーティー・モンスターズ('89)」の時にスピニングディスクの仕掛けをやりたかったものの、

 “「ミュータント・タートルズ」のライセンスが取れるかもしれない”

 ……という話をロジャー・シャープから持ちかけられており、じゃあディスクは亀忍者で使おう!とそのアイディアを持ち越して温めることに。

 しかしご承知の通り、結局タートルズのピンボールを作ったのは、剛腕ライセンス商法且つ舌鋒セールストークのゲイリー・スターン率いるデータイースト・ピンボール社であった。

 お流れになったバリー製タートルズのホワイトウッドで目玉の仕掛けだったディスクのアイディアは、この「ドクターデュード」のモウリキュラー・ミックスマスターで華々しく開花することとなった。

 また、デニスによると前作「エルヴァイラ」では延々オービット出来てしまうボールフローがスムース過ぎたため、数々のイベントアクションで遮るゲーム運びを配剤。

 “口のオバケのプレゼント箱にマグネットにロックンロールに、おまけにモウリキュラーミックスマスターのぐるぐるぶっつけディスクとX-Ray赤色灯。マルチボールに辿り着くまでクラクラ目が回って大変だったろ?それが狙いなんだ。ハッハッハ!”

 ……と、マシンの出来の良さと評判高さにデニスもしてやったりの高笑い。


 さてサルーンにおけるドクターデュートのコンディションは、極上と言っていい程の[最良]っぷり!
 各パーツの稼働は勿論電球切れひとつなく、清掃とワックスがけもピカピカ。
 アルファニューメも新品ディスプレイに交換されていて殆どニューマシンのよう。

 '90年代当時から既に、ドクター変身前の姿であるベン君をいじめる設定のジャイアンキャラ・BigShot親父人形の欠損がちょくちょく見られたのだが、ここの台では問題なく五体満足だったのが殊に驚嘆しきり。

 標準リプレイはデフォルト700万だったが、こちらでは990万点に設定。但しEx.はしっかり取れるし、他に極端な難易度変更は無かった。

 マルチ時に危険を承知でドロップバンクを完成させ、満額500万のジャックポットが2倍に⇒そしてモウリキュラ15ヒット完遂してダブルJP一千万をせしめた日には、気絶しそうなくらい嬉しい!
 ややマニア向けだが、いつプレイしても爽快な傑作。

 


●「オー・エックス・オー」ウィリアムス'73年製


 ティクタクトー、つまり○×ゲームをフィーチャーに盛り込んだ意欲作。

 同じテーマのピンボール化だと同ウィリアムスなら非ドラム・電球スコア時代に「ティク・タク・トー('59)」を発表しているし、比較的近代だとバリーミッドウェイ製「エックスズ&オーズ('84)」、ゴットリーブも「エッグ・ヘッド('61)」「ハッピー・デイズ('52)」等々、時代を遡れば結構珍しくないのだが、中でも決定打と言えるのがこれ。
 サルーンの隠れた人気台「オーエックスオー」だ。

 フィールド下部に○×ゲーム盤があり、○か×で一列揃えるとホール五千点ヴァリュー+エキストラボール点灯、さらに全マス埋めるとスペシャル点灯

 マスの上段・中断・下段・左列・右列の点灯は、そのままフィ―ルド上段トップL・中断ロール・下段リターンLの左側・右側、そして中央ターゲットで呼応。
 その時○が点くか×が点くかはスリングとバンパーでころころとライトチェンジ。いやいやスリリング。

 上部左右スタンダップ2枚クリアで右アウトにてリターンゲートが開いてくれるというボールセーヴ戦略も重要。
 またアウトホールボーナスは○×点灯数×千点だが、Ex.分も含む3ボール目だとボーナスカウントは3X!という'70年代らしい施しにも腕が鳴る!


 デザイナーはカナダ出身で、当時ウィリアムス社のエレクトロニックエンジニアという肩書も持つノーム・クラーク
 新たなテクノロジーの革新を嘱望したハリー・ウィリアムスが知遇を与えた技術者であり、“俺はゴットリーブ社にこんなに貢献してきたのに待遇が悪すぎる!”とデヴィッドと口論してゴットリーブを飛び出し、ウィリアムスに移籍してきたフリッパー装置の生みの親ハリー・マブスとも、同社の仕事を通じた親友同士。
 またスティーヴ・コーデックとも信頼関係の深い懇意の仲という、ウィリアムス・ピンボールなる固い固い絆で結ばれた黄金カルテットのうちの一人である。

 盤面にルーレットを仕込んだりバックボックスにバガテルを設えたり、はたまた時計の針がゼロを指すまでは打ち放題というタイマーピンボールを発案したりなど、毎作攻めの姿勢が顕著なクラークだが、今作も○×ゲームを戦略的でスリリング且つ違和感なくフィーチャーに盛り込むという離れ業をやってのけた才人である。

 七千台強の製造ユニット数を記録した当時ウィリアムスのちょっとしたヒット作で、筆者も幼少期に観光地ホテルの娯楽場で熱中した記憶がある。ウィリアムスらしい前衛姿勢が顕現した一作だ。


 サルーンでの台のコンディションは[最良]。特にフリッパーの強靭な弾きっぷりは快感としか言いようがない。
 マスターさんの日々の手入れは勿論、ピカピカに甦らせた吾妻社の技術と愛情と真心にも恐れ入る。

 因みに5ケタのリールドラムにもかかわらず30万、40万という世界大会級ハイエストの記録があるそうだ。
 リプレイは9万9千点


 



 WMSバリー'90年製「ラジカル!」は相変わらずシビアな吾妻設定だが状態は[良好]
 《ネバーランド》にあった頃と比べて若干右サイドフリッパーが弱くなっていたが、まずまずサイドランプが通る範疇。リプレイは990万点

 大阪SBPの“Close Encounters of the Third Kind”「未知との遭遇」はデジタルディスプレイのソリステ版だが、こちらサルーンの未知との遭遇はエレメカ・リールドラム版……
 と思ったら、なんと筐体はドラム式なのにIC装備が施されたオリジナル改造版。ベル音・コイルアクション・ドラムカウントがキレキレのソリステ駆動をご堪能あれ。
 コロンビア映画社傘下時代のゴットリーブ'78年製。勿論状態は[最良]

 ウィリアムス'89年製「ブラックナイト2000」のコンディションも誠に優美だったものの、デフォルトでは長時間プレイに難があった上Ex.会得が容易すぎたため、関連するサイドループやミステリーの設定などをきつく絞り上げる必要があったようだ。
 しかしその結果、サイドループEx.やスカイウェイ、クイックマルチなどのゲーム性が潰滅。とても退屈な台になってしまっている。リプレイ990万。

 WMSバリー'98年製「ザ・チャンピオン・パブ」は右フリッパーの戻りが悪く、デッドバウンズとストップショットが難航したが、恐らくこの程度なら即座に調整されると思われる。リプレイは1億点。

 こちらも今や希少台、ゴットリーブ'78年製「ジョーカー・ポーカー」はIC初期のビープ音がここちよいソリステ台だが、当日は[調整中]
 今吾妻さんがネバーランド閉店業務で忙殺状態なので、修理要請が申し訳なくてちょっと催促を控えている……とはマスターさんのコメント。




 筆者が訪れた当日、ピンボールプレイヤーは他に一人もおらず、私一人だけのために電源・空調on、倉庫への案内、扇風機の待遇……
 などなど、マスターさんから手厚いおもてなしを頂き、非常に楽しい半日を過ごさせて頂きました。

 更に、少し離れた足利駅前でしかホテルを取れなかったから終電前には帰らないと……とマスターさんに漏らしたところ、何と帰りには車で送って下さるという温かな厚遇ぶり。
 初対面且つ不肖の当方へのご親切と、ピンボーラーへの仲間意識には恐悦と感涙しきりでした。

 この場を借りて心より感謝申し上げます。本当に有難う御座いました。


 ところでサルーンではカウンターにてライトミールの摂食も可能。太田駅前に戻ってガストに入るより、こちらでお食事しましょうよ。

 当日は夕食として、プリフィックスにメニューを組み合わせられる[千円満腹セット]をオーダー。
 焼うどんピラフアイスカフェオレに舌鼓。ご馳走様でした。


【所在地】〒373-0057
群馬県太田市本町20-29
SALOOON
【営業時間】平日午後3時〜深夜3時/土日祝午後1時〜深夜3時
【tel】0587-66-2777
【関連サイト】サルーンで気分上々  SALOOONでPINBALL  FaceBook  ダーツライヴサーチ
【備考】月曜定休/2012年オープン
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(取材日:2016年8月26日)