南区/柴田

シバタ劇場('05年9月5日より閉館)

▲寂れたスナックやくたびれた風俗店が軒並ぶ路地にのっそり建つシバタ劇場。外観・風貌・雰囲気は相当イナタいぞ。 ▲このチケットヴェンダー、新札全然受け付けないってどういうこと?お札新しくなってもう2ヶ月だぞ。ついでに言うと看板の絵が下手。
― 入場料金DATA ―
通常料金大人一般1,800円/大学1,200円/高校1,200円/中学1,000円/小人1,000円/シニア1,000円/障害者1,000円/幼児(3歳以上)900円
映画ファンサービスデイ毎月ツイタチ千円
レディースデイ毎週木曜
メンズデイなし
レイトショー割引なし
モーニングショー割引なし
オールナイト上映なし
提携カード会社割引なし
その他割引入場時に渡される、次回以降有効、無期限の“映画鑑賞会員証”提示で300円引き
会員制度なし
鑑賞後の半券特典なし
最も近い金券ショップなし(招待券・優待券自体存在しないのだろう)

― 劇場アメニティーDATA ―
所有スクリーン
座席数221席
入場制度流し込み制/全席自由
客席フロアの勾配甘い
作品傾向東宝系・東映系アニメ作品中心/2番館

― JUDGE & COMMENTS ―
画面の明晰さ
(映写機の電圧・光量・スクリーンの清掃・ピントむらなど)
【★−−−−】 立地
(場所へのアクセスは便利かどうか)
【★★−−−】
音響
(音量の適切な加減なども含む)
【★−−−−】 周辺施設
(周辺ショッピングや飲食街の充実)
【★−−−−】
快適さ
(客席の座りごこちやトイレの清潔感など)
【★−−−−】 割引サービスの充実
(レイトやメンズデーや半券割引、スタンプカードなど)
【★−−−−】
接客
(従業員さんが親切かどうか、態度は悪くないか)
【★−−−−】混雑度
(特に土日祝日・サービスデーにおける混み具合)
[軽症]
…というか客全然いないし。
●場所は南区の名鉄柴田駅前。しかし駅前と言っても商店街や繁華街のような温かな賑やかさはない。寂れたスナックやくたびれた風俗店が軒並ぶ路地に、その陰鬱な劇場はのっそりと老朽を晒している。市内とは言えこのようなへんぴな映画館に立ち入ることとなったいきさつは、逃したロードショー作品「犬夜叉〜紅蓮の蓬莱島(4作目)」が、上映終了から更に2週間過ぎてから、ここで上映されていることを知ったから。とすると、ここは2番館ということになるはずなのだが、大人一般入場料は1,800円。何食わぬ顔でノーマルな劇場と代わらぬ料金を平然と掲げている。勿論2本立て、3本立てであるようなことはない。

 入口付近に取り付けられたスピーカーからは繰り返し古めかしいジャズが延々リピートされており、更に今時分珍しい、映画の作品毎にお手製で描く看板が掲げられている。場所といい風貌といい雰囲気といい、場末のポルノ劇場にしかみえず、ここは本当にゴジラや犬夜叉やハム太郎、ロックマンエグゼ、ワンピース等々お子さん連れのファミリー客層向け作品の上映館なのだろうかと、まず首を傾げた。

 何はともあれ入場券購入、とチケットヴェンダーにお札をすべらせようとも、まるで受け付けない。新札の登場から2ヶ月たっているのに、なんと旧札しか対応できていないのだった。よって新札しか持ち合わせていない場合は、小太りでむっつりとしたモギリの老女にわざわざ旧札に取り替えてからヴェンダーで購入しなければならない。お札の刷新からもう2ヶ月も経っているというのに。

 館内に足を踏み入れてみて驚愕。そのアメニティの劣悪さは想像を絶する。上映始まって驚いた。映写機のフレームがガタついてるのか、画面の3分の2(!)がうっすらピントボケ。タイトルロールやエンドロールが読みづらい程。左端3分の1しか鮮明に映写できていないのだ。ならせめてぼやけた3分の2の部分へ応急的にフォーカスを合わせればいいものを、それすら行わないって、映写技師何やってんの。それからな、場面が終わりきってないのに、音楽もサウンドも途中だってのに、次の巻にガシャンと切り替えるんじゃないこの下手糞!!

 不備はこれだけじゃない。黒ばんだスクリーンの不潔さは四半世紀級。傷と汚れが終始画面に浮かび上がってて見苦しいこと夥しい。またランプの熱による蒸気までもわもわと映り込んでいるのだからたまらない。ついでにいうとランプの光量電圧が低いのとスクリーンの黒ばみのせいで、その画面の暗さは許容範囲を越えている。おまけに館内に何機もおびただしく設置された古びた時代物の巨大冷暖房機。ゴォーという稼動音がやかましくて煩わしくて、映画に集中できやしない。じゃあ音響はどうかというと、これも予想通りな豪華モノラルサウンド。各チャンネルをいっしょくたにしてるもんだから、場面によっては主人公たちの会話が遠のいてて聴き取りづらいのなんの。これじゃ図書館や児童館の無料映画上映会の映写の方がまだ環境マシだぞ。本当にプロの仕事か!?

 ハゲシ過ぎるのが、舞台の幕に“ディナー・スナック あずさ (052)XXX-XXXX”とか“クラブ 友千鳥 (052)XXX-XXXX”と広告が打たれていること。もうこの辺は完全に天然。入口でジャズ流してるのもオールドファッションなムード狙ってるんじゃなくて天然だったんだ。

 立地といい雰囲気といい、どう考えても成人映画館の様相なのだがそのテの番組上映はなく、かけられているものは家族連れやお子さんがたが観客層のアニメばかり。おそらく元々はロマンポルノとか仁侠映画等々の映画館だったのだろうけど、それじゃ食えなくなって、近年になってから、年間興収の首位を占める東宝・東映ファミリーアニメ路線に変更したのだろう。しかしそれにしては劇場が放つ空気や雰囲気のいかがわしさは常軌を逸しており、近隣住宅街からの家族連れやお子さんが入りやすく感じるようなつくりや雰囲気になるよう工夫する努力は何もしていない。規模が小さいながら単館系ファン人気でふんばるミニシアターとは根本的に違うし、第一アメニティが余りにも悪逆悲愴過ぎる。

 もうひとつ問題をあげると、もはや日々の惰性で投げやりになっている従業員の老女2人の接客対応だ。むっすりと横柄で人に指図するようなそぶり口ぶりには、下町人情も愛嬌もクソもなし。当日はレディースデイであるにもかかわらず観客は私も含めて僅か2人。地域の人に愛されるどころか忌み嫌われて誰も寄り付かなくなっていることが伺える。

 ……とここまで惨状の凄まじさを丁寧に伝えると、物珍しさと好奇心でわざわざ行きたくなってしまう方もみえるかと思うが、決してイナセだ、味があるなどと持ち上げるべきではない。その思考はまずくて高いラーメン店を面白がって誉めるようなもの。映画好きとって害悪以外何物でもなく、地元にとっても迷惑千番だろう。冗談のネタにするだけにとどめておくことをおすすめする。いや、こんな劇場どうせあと5年ももたないだろうが。
【総合判定:C】ランクCというかZ級。多分あと何年も存続もたないだろうけど。

▲客席に軽い勾配はあるが、すぐ前の列に座高の高い人が座ると後ろは見にくそうだ。まあ客なんかいないから関係ないか。 ▲ロビーというか売店というか、単なる受付廊下のような空間。かろうじて映画のグッズが申し訳程度に置いてある。

― 交通アクセス ―

■一応名鉄[柴田駅]、市バス停[柴田]からのアクセスが可能だが、いかなくていいよこんなとこ。物珍しさという意味合いを感じても、環境があまりに悪逆過ぎて賞賛するべきじゃない。

【所在地】名古屋市南区柴田町6−5
【tel】052-611-0755
【公式サイト】なし(インターネットって何?とか言われそう…)
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(取材日:2005年2月3日)

★……で、このシバタ劇場の一応の従業員である、終始ぶっすりと痴老を放つ横柄でふてぶてしい老女2人。 笑顔ひとつなく、只でさえ客側にとって不愉快なのだが、この2人、筆者がデジカメ撮影中に『撮らないで!写真撮らないで!』と、何もできんくせに横からわあわあワメいてきて、メッチャオモロかったぞー(笑)。しかも寸胴小太りの老女の方(画像左)なんか、私が劇場内で映画鑑賞中に一度近くまで様子見に来て、んで私が一瞥してやったらワザとらしく近くにあった暖房機操作するフリしてやんの(笑)。うわださっ!とろっ!バレバレだって。

 で、帰りに、あともう何枚か劇場の全景画像撮っておこうかと思って色々構図変えながらデジカメのシャッターをきっていたら『ほらまたやってる!やめてって言ってることどうしてするんですか!』とまた小太りバッサマが噛み付いてきたので、一喝どやして跳ね除けてやったら『もう警察を呼ぶわ!』だって。うわアッタマわり!民事トラブルの段階で110番したって警官に怒られるのは自分らなのにね。んでこっちが即座に“呼べば?とっとと呼んでこい!”とさらに追い討ちかけてやったら、結局呼べないでやんの。呼んでくれればもっと面白くなったのになー。

 さらに、2人のバッサマのうち死期が近い方(画像右)なんか、自分らのアホぶりにゲキ飛ばされたことがよっぽど悔しかったらしく、『写真撮っちゃいけないのは組合で決められてるの!だから撮っちゃいけないて言ってるじゃないの!』とこっちがとっくに全部撮り終わって帰途につきはじめてから、立ちすくんで遠くから道路に向かってずっと惨めに叫びつづけていて、もうキャラクター最高でしたねぇ。

 いやー楽しかったなー♪ ま、この映画館の運営自体この先長くないんだし(バッサマらの寿命も長くないんだし)、これからもせいぜい展望のない無駄な努力で毎日頑張ってね。応援してるからー(爆)。