おすすめの映画雑誌はこりぢゃ

●キネマ旬報

★映画雑誌の老舗《キネマ旬報》。SF/ホラー,スリラー好きの私なら、本来ならキネ旬より宇宙船とかスターログとか買い込みたいところなのだが、そのテの専門誌を読んでみると、慢心したマニア誌特有のウケねらい系の調子づいた不快な評論筆致と“この良さが判らんようなヤツはダメだ”的おこがましく威圧的な編集に、すぐに嫌気が差してしまう。

 キネマ旬報が映画誌として強靭と言える最たるものは、超がつく程海千山千の映画マニアライター郡を携えていながら、極めて冷静に映画という世界に商業性をふまえて向き合っていること。マニアにしか分からない1本の輸入DVDのカルト作をあげつらえて“コレを知らんヤツは馬鹿だ”とやかましく喧伝する宇宙船やファンゴリアみたいなことはしないのだ。ジャンルの分け隔てなく、毎号ごとに国内と海外の興行収入の盛衰をピシッと分析。正直ちょっと馬鹿馬鹿しい純愛ラブストーリーのメガヒット作品も、きちんと配給元のパブリシティ手腕の優劣や観客動員の盛況を分析して、業界の向かうべき方向を常に探索、啓蒙していて本当に読み応えがある。それにしても批評家のみなさん、ムッツカシ〜イ熟語とか言葉とかいっぱい使うので、傍らに辞書を置いて読むとベンキョーにもなるわ〜(お前がアホなだけぢゃ)。

 月2回、1日・15日発行、通常820円。常備してくれる書店が少ないので、リンク先の定期購読が便利。