岐阜県長良/JR,名鉄岐阜駅

岐阜グランドホテル

▲ケーキスタンドで飾られるアントルメたち。内側にはコックコート姿のパティシエさんがたがおもてなししてくれるので、最後まで補充は安泰かと思われたが…… ▲岐阜グランドホテル正門。周りは堤防で囲まれて何もないのに、車の往来は非常に激しい
▲プラッターの上ではグラスゼリーが群生。味は悪くない ▲僅か開始30分で補充も提供も終わったオリジナルホールケーキ群。後半は解凍ストックの安物で空いたスペースが埋め尽くされていて幻滅した
▲実演ホットプレートコーナー。作り置きに当たったり、トッピングが凡庸だったり、実演の良さが殆ど相殺されていたのは残念過ぎる ▲こちらは入ってすぐのラウンジきらら近辺。当日は様々な催し物があったため、1Fロビーも喫茶も非常に賑やかであった

― DATA ―
企画名GWスイーツフェスティバル
メインメニューケーキ
ケーキのサイズ【中】〜【大】
お値段2,300円
制限時間90分(但しタイムアウトはアバウト)
実施タイム毎年GW2日間限定(2013年4月28日,29日)午後1時〜3時
ドリンク飲み放題!
その他ルール全席禁煙/前金制
※ようつべに動画あるよ!⇒GO!
※各項目のポイントは10点満点で審査。総合★取りは5つが満点。
― JUDGE & COMMENTS ―

(ずばり、おいしいかどうか)
[7] ●駅前はどうもスイーツ系ホテルブッフェがなくて毎度手持無沙汰を持て余すが、長良川を超えたあたりまで北上するとリゾートホテルでケーキバイキングが楽しめたりするのが岐阜駅周辺の特性。
 毎月レギュラー実施の《岐阜都ホテル》もいいが、今回は毎年ゴールデンウィーク実施が恒例の《岐阜グランドホテル》へ来訪することに。

 くだんのホテルに無料シャトルバスは無い。近くにバス停はあるが、スカスカな時刻表の岐阜バスを利用するのもよして、徒歩で駅から赴いたところ1時間以上かかった
 但し金華山の稜線や長良川の景観、古民家の軒並みなど、気候さえ良ければ収穫も多い。
 とは言えホテル周辺には何も無いだけに、彼方に目視でホテルが見えてきてるのに歩いても歩いてもなかなか到着しない…という疲労感が募った。

 さて、ホテルのケーキバイキングのイベント名は“GWスイーツフェスティバル”。毎年恒例のデザート食べ放題で、喫茶ラウンジではなく2F特設宴会場での開催。
 時間前でも家族連れを中心に来客が続々と集まってきており、会場前の廊下はわくわくと高揚したムード。
 料金は、去年より200円値上げの2,300円。90分制とあるが、元々開催時間が午後1時〜3時の2時間枠ということもあり、タイムアウト後の目立った追い立てや取り締まりは見られなかった。

 バイキングのラインナップを一通りさらうと、ホール/スクエア/ロールが17台前後,ゼリー3種,カットフルーツ8種,チョコレートファウンテン1機(小),カップアイスマシン1機,クレープコーナー,実演ホットプレート(ワッフル,パンケーキ,フレンチトースト),ライトミール(カレー,サンドイッチ,コーンスープ)で一巡。
 ドリンクバーは紅茶(H/I),珈琲(H/I),オレンジJ,ウーロン茶を、汲み置きポットとドリップポットで提供する標準的な設え。


 で、品々のお味についてなのだが、珠玉的ホテルメイドのアントルメの提供はあったし、出来も極上だったのだが、私はこのブッフェへの来館は薦めないし、二度と利用はしない
 というのも、出来立てオリジナルケーキの提供も補充もスタート30分で終わってしまい、人気品が払底した後は安物解凍ストックで穴埋めして知らんぷり。それで時間終了まで逃げ切っちまおう……という、ホテル側の下衆い采配を目の当たりにしたからだ。
 しかも、売り切れてスカスカになるスペースをストック各種だけでは塞ぎ切れないため、既に反対側に並んでる同じ品を2か所に分けて配膳して場を埋め尽くして誤魔化す…という醜態も。後半時間のつまらないこと退屈なこと。

 それと、[クレープコーナー]は随分横着してくれた。
 離れた島に鉄板実演があったのでクレープもモッチリ焼き立てかと思いきゃ、弱々しくブチブチとちぎれる業務用安物の出来合い冷凍品。添えられた使い捨て絞り袋ホイップも最たる低質モノ。こういう配膳って《すたみな太郎》みたいな低廉チェーンがやることでしょ。
 ついでに米粉パンケーキベルギーワッフル等の鉄板実演について難詰させてもらうと、タイミングにもよるが、結果的に冷めた作り置きを提供してしまっており、実演としての効果が上がっていない。《ル・シュッド》みたいに時限提供にするのが吉。
 さらにトッピング演出にも難あり。ときたて大ボウル生クリームや創作コンフィチュールを期待したのに、使い捨て絞りホイップ,業務用チューブボトル蜂蜜の丸投げという惨憺たるラインナップに興ざめ。
 客はこれらをむんずと掴んで、力を込めてぶりぶり音立てて盛り付けへ射出するのだ。あぁ下衆い。

 加えるに(これは全てホテル側の責任とは言い切れないが)、チョコレートファウンテンコーナーでは保護者が付き添わない小学生集団がその場でつけては食べ、つけては食べを繰り返す行儀の悪さ。
 こういう事には出しゃばらない筆者だが思わず叱りつけてしまった。その場は収まったものの、後半時間ではまた別の小学生グループが同じように口から糸を引かせながらファウンテン台で立ち食いを続けており、私が再び声を荒らげて叱責する羽目に。
 従業員側はまるで注意できないみたいなので、ココではファウンテンを利用しない方がよろしい。せっかく具材として用意してあった山盛りボウル生苺は魅力的だったのに。

 これでは、パティシエがこの日のために腕を振るった上質なアントルメたちが泣こうというもの。

 その中で、諸手を上げてお薦めできるのは[ミルフィーユ]だった。パイ生地、生イチゴ、生クリーム、バニラカスタード、スポンジの多層編成に手間がかかっており、尚且つ全て出来立てで新鮮。
 [バラのロールケーキ]は、お口でふわっとなくなる生クリーム、黄金色のジェノワーズスポンジが完璧なだけでなく、散らされたバラの花びらによる味と香りづけが大変優美。薔薇ってケーキにすると美味しいのだ。
 上記の2品はお味のスコア9点10点級の名品だったが、後は果物の采配が豪華な[フルーツババロア]、甘さ抑えめでお茶の香りが芳しい[抹茶シフォンケーキ]など、そこそこの佳作が散見。

 しかし筆者は前述のように他のオリジナルアントルメ[メロンのショートケーキ],[苺ショートケーキ],[モンブラン]がすぐに売り切れたため、食べ損ねた状態のままブッフェボード近辺をイライラと右往左往。
 モンブランとメロンショートの補充はもう無いのか、と少し圭角気味に係員に尋ねてもうやむやな返答ばかり。
 やむを得ず、大してうまくも無いムース類を胃に詰め込んで帰ろうと思っていたら、
 “申し訳ありませんでした。モンブランお持ちしました”
 ……と、従業員が今更モンブランを席まで供してきた。
 凡庸な甘露煮と芋ペーストのかさ増しを感じるマロンクリームに疑問は残るが、スポンジと生クリームのフレッシュさは良好。でももう満腹ラインでショップ売りサイズは辛いんだけど。
 ともあれ、完食して今度こそ帰ろうとしたら、
 “申し訳ありませんっ、メロンショートお持ちしました!”と再びテーブルサーヴ。

 ……もうご馳走様ですから!と、お皿を突き返して会場を後にした。
雰囲気
(入りやすい店か、落ち着いて食せるか)
[7]
リベラル感
(実施時間が不自由でないか、ルールがやかましくないか)
[6]
接客
(説明など不親切でないか、感じは悪くないか)
[7]
立地
(場所は便利かどうか)
[3]
お得感
(質量共に料金以上の満足が得られるかどうか)
[4]
総合【★★−−−】パティシエ個人の腕は非常に良いのに、ホテル料飲部管理の下衆っぷりに幻滅。

当日の収穫!

▲ピーチのコラーゲンゼリー(ゼリーは悪くないよ),ミルフィーユ ▲プリン(ハズレ。手ェ抜いたね),バラのロールケーキ,エクレア(フィリングよりもシュー皮がダメ) ▲ぶどうのコラーゲンゼリー,ブルーベリーのムース(これといって感動はなし)
▲クレープ(アメリカンチェリーと絞りホイップと苺とファウンテンで) ▲フルーツババロア,ビスキュイ・ド・サボワ(外側チョコの口どけが良くて地味に美味しかった) ▲抹茶シフォンケーキ,バラのレアチーズ,チョコファウンテン苺とホイップをアイスコーヒーに突っ込んでみた
▲ベルギーワッフル,フレンチトースト,米粉パンケーキ,マンゴー ▲パッションフルーツ,ミルフィーユ,すいか(果物はなかなか豊潤だった) ▲コーンスープ(まづ!カップベンダーのやつみたい),サンドイッチ(ハムキュウリトマト)
▲ホテルシェフカレー(ろくに補充されず残り少ない寸胴からすくったら煮詰まってて塩辛くてぎょっとした) ▲抹茶のムース,カラメルカナディアン(口にする価値は少ない) ▲モンブラン(今更持ってこられても)
……至宝の逸品や豪華な果物群が、陳腐な三流品やセコい管理で台無しになったという、残念過ぎる結果。

― みちあんない ―

■岐阜バス[岐阜グランドホテル前]から徒歩2分。JR岐阜,名鉄岐阜駅からは徒歩65分ほど。

【所在地】〒502-8567
岐阜県岐阜市長良648番地
岐阜グランドホテル
【営業時間】
【tel】058-233-1111
【関連サイト】ホテル公式サイト
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▲確かにバラのロールケーキとミルフィーユは至高の出来だった。手前にあるのは薔薇のエクレア。 ▲ブッフェ会場は2階。「花」とか「月」とか、そんな感じの宴会場での特設
▲カットフルーツは面白かった。マンゴーやパッションフルーツが皮つき。他にもアメリカンチェリー、トンプソンやレッドグローブのぶどうなど。 ▲何も褒めるところが無かったクレープコーナー。無視するが吉。
▲天候に恵まれれば1時間のウォーキングも悪くない。駅から歩くと長良川まで岐阜都ホテルと同じ経路 ▲ドリンクバー。会場の規模の割に1箇所しかないので混雑していた

(取材日:2013年4月28日)