岐阜県美濃加茂市/JR美濃太田駅

ココット(シティホテル美濃加茂)

▲今のところ美濃加茂で唯一のケーキバイキング。ありがちな仕入品も多いがオリジナル品も奮闘。特に手前のブリュレはかなりの出来 ▲いいねいいねこういうの。バイキングレストランの入口に“アフタヌーンデザートバイキング”と、ホテル常駐の筆耕係さんの毛筆書き。「ア」がちょっと大きいけど
▲レストランココットの店内。名古屋中区のホテルほど優雅じゃないけど、明るくて清潔感があって居心地は悪くない ▲コックコート姿の調理人さんによる焼き立てクレープ実演!豊富なセルフトッピングも用意。コレだけを食べ放題しても十分有意義な美濃加茂の日曜日が過ごせそう
▲真ん中のスクエア苺ショートはイチオシの逸品。ところが家族連れはすぐ隣のチョコの滝へとミスリードされてしまい、苺ショート争奪からうまく逸らされるという事態。意図的? ▲厨房の職人の皮むきの腕が鳴るカットフルーツコーナー。キレイに剥かれたグレープフルーツって嬉しいもんね

― DATA ―
企画名デザートバイキング
メインメニューケーキ
ケーキのサイズ【極小】〜【小】
お値段1,080円
制限時間L.O.80分、着席おおむね90分
実施タイム毎週日曜日午後3時〜午後4時半
※2016年8月で終了
ドリンク飲み放題!
その他ルール全席禁煙/予約推奨/貸切などで休止有り、特に2015年3月は1日と22日の2週が休業に/祝日や土曜日は非実施
※各項目のポイントは10点満点で審査。総合★取りは5つが満点。
― JUDGE & COMMENTS ―

(ずばり、おいしいかどうか)
[7] たった1,080円実演クレープが!ホテルメイド苺ショートが!至高のクレームブリュレが!オリジナルスイーツが食べ放題!?
 そんな奇特なデザートバイキングが、岐阜県美濃加茂市の駅前観光ホテルで毎週レギュラー開催されている。
 名古屋市から赴くとなると、多治見経由か岐阜駅経由か。どちらにしろ本数の少ないローカル線のワンマン電車を乗り継がねばならないが、そんな煩瑣もまた美濃加茂への旅情のひとつ…ということで楽しんでおこう。

 くだんのホテルは駅から徒歩30秒の《美濃加茂シティホテル》
 館内にフラワーショップやおみやげ屋さんを併設する、いかにも鄙びた地方の観光ホテルといった感じ。
 ふた昔前の昭和ラグジュアリー感が溢れるシックなロビーや、筆耕係さんによる毛筆の団体客歓迎札がビシッと掲げられてる雰囲気などが、殊更ここちよい。


 普段からランチバイキングも営む1Fレストランココット“アフタヌーンデザートバイキング”毎週日曜日開催。午後3時から80分間(正確に言うと4時20分で撤去コール)。
 料金は、前述の通り本当に1,080円。軽食やフリードリンク付きで今時分このお値段である。

 3時前に到着すると、既にレストラン入口にはデザートバイキングの開始を待つ人だかりで大賑わい。入り口のウェイティングボードには早くも「満席」の赤い文字が。
 開始時刻を過ぎると予約順で名前が呼ばれて席へとご案内。やはり内装も時代的に垢抜けていないが、庶民的な温かさと明るさがあっていい雰囲気。
 当日は幼児連れ・家族連れで席が埋められており、地元美濃加茂での支持と定着が伺える光景。
 デジカメ片手に楽屋雀のしたり顔で全景を俯瞰してるような食べ放題マニア一人客は、筆者だけだ。


 バイキングのラインナップをざっとさらうと、アントルメが11種、プリンとゼリーとムースによるヴェリーヌ6種、アイスクリーム類6種、カットフルーツ8種、小型チョコレートファウンテン1機、パン類4種、その他うどんやサンドイッチやサラダバーなどの軽食諸々、そして実演クレープ
 ドリンクバーはコーヒーマシン1機、炭酸ディスペンサー1機、スープディスペンサー1機。因みにコーヒーマシンは紅茶や緑茶メニュー機能も併用。

 はっきり申してケーキの7割がたが、某有名食品工業社製業務用シートの解凍品ではあるのだが、料金自体の低廉さや品種の多さ、添えられた生果物トッピングも鑑みれば、それほど批難すべきラインナップではない。

 注目すべきは、そんな安物に混ざって同ホテル自家製アントルメが大健闘しているところだ。

 何と言っても傑出は[クレームブリュレ]!玉子味の力強い濃厚カスタード、新鮮さの伝わるバニラビーンズ、ためらいなくたっぷり投入されたブランデー、そして苦み走るバーナーキャラメリゼ。文句は無い。
 [杏仁豆腐]も厨房オリジナルと言っていいだろう。ケチらない生クリーム液の抱擁感は勿論、香り立つようなキョウニンの風味がよく引き締まっている。マチェドニア風に仕上げる際に缶詰ポンチを援用しているが、そこは生苺を加えてお味を軌道補正。何なら他のコーナーのカットフルーツや生クリームでカスタマイズしてもイイ。
 スクエア型[苺のショートケーキ]も美味しくておかわりがよく進んだのだが、中のスポンジの鮮度と生クリームの鮮度の差に違和感を感じる。恐らくスポンジは仕入品または別の日の作り置きで、生クリームはバイキング開始直前に溶いてナッペしたのではないだろうか。しかしそれでも十分楽しめる代表作だ。

 実演クレープは流石に焼き立ての期待を裏切らず、ホカホカもちもちの弾力食感を堪能。脇に用意されたトッピングも景気が良く、生苺、生ブルーベリー粒、カットバナナ、生クリーム、カスタード……等々、おかわりを繰り返してもカスタマイズに飽きが来ない。何ならアイスクリームやチョコファウンテン、サラダも巻いてしまえるので、応用が誠に幅広いのだ。

 もうひとつ礼賛すべき一翼は、原価も手間もかかっているカットフルーツコーナー。丁寧に皮むきされ、その皮を器のように飾り付けたグレープフルーツ2種、オレンジ、みかん等を好きなだけつまんできてはパクつける幸せ。皮のまま食べれるレッドグローブぶどうカキ、キウイ、メロンまである!
 クレープコーナーやファウンテンの脇の苺なども含め、このフルーツ郡の大盤振る舞いだけでも千円どころではない費用対効果があるというもの。
 味が酷い仕入れ品のアイスクリームや朝食バイキングから使いまわしたような頼りないお惣菜のビハインドも、これで殆ど挽回だ。


 確かに出来合いの援用が半数を超えるものの、オリジナル作の腕前は確かで、むしろこのお値段で頂けるスイーツとしては贅沢過ぎるくらい。

 そんなショートやブリュレはさぞ開始早々殺到して払底が早いかと思いきゃ、地元の幼児連れ・家族客たちは見かけだけカラフルな業務用シートやシロップの嵩増しチョコファウンテンにまんまと流されており、僅か数点の珠玉の厨房品は、一般客の争奪と大量取りの憂き目からうまく逃れている。
 安物をつかまされてる他の客には悪いが、我々見巧者にとっては好都合。争奪の激しい名古屋都心部のホテルだとこうはいかない。 

 コストパフォーマンス抜群、岐阜のホテルデザートブッフェの大穴的一軒だ。

 ところで、元々同ホテルには味のある手作り公式サイトがちゃんと存在していて、今もまめな更新が上げられているのに、いかにも業者が作った判で押したような2つ目の公式がネット上に重複アップ、奇妙な併存を呈している。
 時々被害を耳にする強引なウェブ制作会社に、無理やり押し売りされたのだろうか。
雰囲気
(入りやすい店か、落ち着いて食せるか)
[8]
リベラル感
(実施時間が不自由でないか、ルールがやかましくないか)
[8]
接客
(説明など不親切でないか、感じは悪くないか)
[8]
立地
(場所は便利かどうか)
[9]
お得感
(質量共に料金以上の満足が得られるかどうか)
[9]
総合【★★★★−】豊麗なフルーツが、苺ショートが、芳醇ブリュレが千円!それだけでも快哉。

当日の収穫!

▲苺ショート(やっぱ苺は嬉しいね),パリブレスト(シュー皮の質には納得行かない) ▲苺ムース,抹茶ムース,コーヒーゼリー(ムースとゼリー類はどれも標準的な仕上がり) ▲杏仁豆腐にクレープコーナーの生クリームとブルベリ粒を落として舌鼓。奥はクレームブリュレ
▲オレンジゼリー,苺ショート ▲実演クレープ(苺と生クリトッピング),ベリーのゼリー ▲実演クレープ(フランボワとカスタードトッピング),ショコラプリン,カフェプリン(プリン類はそこそこイケる)
▲クレームブリュレ大盛り。んまいっ ▲アイスの味は致命的に悪いが、せっかくなのでカットフルーツとチョコファウンテンで遊んでみた ▲実演クレープ(チョコバナナトッピング),カットフルーツ各種
▲クリームチャウダースープ,サンドイッチ,キッシュ,ポテトサラダ,春雨サラダ,マカロニサラダ,レンコンの煮物 ▲アイスコーヒーをフロートにすべく、バニラアイスやブラウニーなど乗せてみたが…… ▲カットフルーツをそのまま
……安物シートやチョコの滝はほぼスルー。審美眼のあるマニアはホテルメイド品だけバッチリ選んで余裕綽々、ごゆっくり。
▲うどんの麺が品切れ!よっておつゆに天かす、ワカメ、ねぎだけで頂こうかと ▲うどんの補充をお願いしたら、1人前だけ筆者のために出してくれた

― みちあんない ―

JR美濃太田駅から徒歩30秒。駅南出口から出て左手側、ロータリー越えてすぐの、目の前。シティホテル美濃加茂1F。

【所在地】〒505-0041
岐阜県美濃加茂市太田町2565−1
シティホテル美濃加茂1F ココット
【営業時間】
【tel】0574-27-1122
【関連サイト】オリジナル公式サイト 公式サイト2 楽天トラベル icon レッツぎふ 食べログ
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▲ドリンクバーは一絡げにディスペンサー任せだけど、十分十分。炭酸モノやコーヒーマシンの他オニオンスープやチャウダーが出せるマシンも有り ▲サラダバーは正直朝食バイキングの流用といった感じ。しかも後半は補充も悪くてちょっと不満。サラダクレープで遊ぼうと思ったのに
▲このテの仕入れ品を援用しながらも、オリジナルスイーツも焼いて規模のあるブッフェを低価格で開いてくれる、その心意気を賞賛したいところだ ▲こちらクレープのトッピングコーナー。生クリームとカスタードもまずまずの品質だが、ブルーベリー、ラズベリー、ストロベリー3種の生果物盛り放題には思わず随喜の落涙
▲4種のパンとオーブンはランチやモーニングの流用ついでという感じ。隣にはサンドイッチやうどんも有り ▲昭和のラグジュアリー感がとてもステキな、シティホテル美濃加茂のロビー。清掃が行き届いていて清潔感があるので、決して古臭くないのがイイよね。泊まりたいや

(取材日:2015年2月8日)