中区 栄

名古屋東急ホテル1F モンマルトル

▲ケーキはカットを入れてホールごと置かれているものも。各スイーツの配置とテーブルクロスのコントラストなどに品格があってなかなかゴージャスである。 ▲同ホテルにはレストランが複数あるが、モンマルトルは正面から入ってちょっと右手奥の方にあるカフェタイプのお店。ショーケースでひしめく絢爛なケーキたちが目印。
▲禁煙席を希望すると滝の流るる窓側に案内されちゃったりなんかして。格調高さはハンパじゃないのだ。 ▲ケーキのみならず、アスパラ、ナス、海草など、口直し用としててきめんの、とびきりおいしいサラダの充実振りがとても印象に残った。
― DATA ―
企画名ディナーブッフェ
メインメニューケーキ,カットフルーツ,サラダ
ケーキのサイズ【小】
お値段2,079円
制限時間なし
実施タイム平日午後5時〜午後10時
ドリンク飲み放題!
その他ルールメインディッシュ、パスタ、ピッツアをオーダーするとブッフェ料金が1,155円に/終了間際のお伺い有り
※各項目のポイントは10点満点で審査。総合★取りは5つが満点。
― JUDGE & COMMENTS ―

(ずばり、おいしいかどうか)
[7] ●今回とりあげるお店のデザートブッフェの料金は2,079円。“食べ放題”ってのは庶民・貧乏人の味方であるべき、という当サイト指針からは許容範疇ギリギリのお値段。これだけの料金で味やサービスがぞんざいだったらブラックリストコーナーにでも入れてやろうかな、などと相当穿った姿勢で今回の《名古屋東急ホテル/モンマルトル》へ挑んだのだが、なるほどサービスや雰囲気は納得の品格の高さで、激安カフェ系のバイキング店とはくっきり明確な差別化が打ち出されたゴージャスなホテルブッフェであった。

 場所は栄の中心地より大分東より、シティホテルが林立する東新町交差点近辺、名古屋東急ホテル内。この中にあるコーヒーハウス《モンマルトル》では、平日の夕方5時より、スイーツ中心のディナーブッフェを実施している。12種程のデザートの他、11種のサラダ、焼き立てパン、フリードリンクが料金内で楽しむことができる。しかしこの店での一番の瞠目は、決して肩のこることのない、自由に羽を伸ばせる落ち着いた空気。ヒルトンやアソシアより居心地がいい。
 バイキングって慣れたつもりでも、席についたばかりの時はどうしても焦燥感にかられてしまうのだけど、ここは食欲魔人の心もすっかりリラックスさせてしまう程の、落ち着き払った品格たっぷりのムードが非常に良い。広々と余裕を取った配置のチェアとテーブルは席数も十分、また座りごこちも悪くない。喫煙側から十分に隔離された禁煙スペース、そのすぐ脇の窓から覗かれる噴水の滝の演出も心憎い。
 よその店でたまにあるのだけど、ムード狙ってやたら照明をおとしてるんだけども重苦しいだけで気分が沈んでくるような店とは違う。ヘンな暗さより清楚さ、清潔感を優先しているからで、豪華さにも嫌味がない。
 また、接客対応が完璧だった。『制限時間とかあるの?ブッフェにはホットしかないけどアイスコーヒーおかわりダイジョブ?』な〜んてオバタリアン級の私の天然な質問や場違いな行動にも、丁寧な受け答えやしっかりしたフォローでサッと対応をしてくれる。ほら、一見高級店を気取って丁寧なサービス奉仕してるフリしといて、実は私みたいな変人客が来た途端、やや遠巻きに角を立てたような戦々恐々とした雰囲気で身構えてくる店、よそさまで何度か経験あるんだけど、そういう“何やこいつ”的オーラって客の私にもすぐ伝わっちゃうんだよね。だけどココの場合、私がカバンを椅子の上ではなく床にどさっと置こうが、出てきた1杯目のアイスコーヒーをぐい〜っと飲み干して30秒でおかわりしようが、全部ぬかりなく気遣いをまわしてくれる。どんなタイプのお客様でも満足して帰って頂くよう、客が少々ダサイ行動をとっても恥をかかせない素早いフォローと心遣いが真摯に伝わってきた。かと思えば、後ろの席に座った白人さんのお客には流暢な英語でウエイターが対応。カックイイの一言であった。

 しかし、肝心の各スイーツの味や方向性なのだが、料金の高さからして厳し目に判定せざるを得ないのだけれど、あと一歩納得のいく領域に届いていないというのが素直な感想である。糖蜜みたいなとろける濃厚な口あたりが良かった[ファンタンショコラ]や、トロトロに煮詰めたいちごが強力な[ショートケーキ]の味の良さには陶酔できたものの、後が続かない。特にベリー系の強い酸味が抑えきれていないムース・ババロアがやたら多く、似たような味が続いてしまうのはちょっと頂けない。これが2巡目の味の飽きを助長している。
 変わったところでは、大きなフタつき保温プレートがあるから何かと思って開けてみたら、粒ごと煮詰められた濃厚チェリーソース。でもこれアイスクリームにかけるしか役目がなくて、他にワッフルとかカスタードパイとか色々あってそれにかけ放題だったらもっと盛り上がるのに?という疑問の余地が残る。
 かように、どうもブッフェメニューに流れるような構成とかコンビネーション、味のメリハリが感じられない。ブッフェテーブルは広くて品々もたっくさんあるように見えるのに、一通り品を巡ると『あれ、もう終わり?』という、肩透かしな印象をくらってしまう。レアチーズ、スフレなどのチーズケーキのたぐいが一品もなかったのも寂しい。
 ただし、海草やなす、さつまいもなど独創的な品目で揃えたサラダ部門は大豊作。クルトンかけほうだいのポタージュスープも嬉しい。また、焼き立てパンが本当に焼き立てサクサクで、しまったひょっとしてこっちメインに喰うべきブッフェだったのか、と思っても時既に遅し、夜10時過ぎてブッフェタイム終了〜〜〜。そんな訳で、次回来店することがあれば、今回半分も食べれなかったパンやサラダをじっくり味わってみたいところである。

 で、結論をはっきり言ってしまうと、夜の栄でのスイーツ系バイキングの代表格《パルク・ドュ・ティフィン》と《カフェ・ウィーン》に、味では後塵を拝しているし、料金はそれらの店の倍近くするのだから、おサイフのダメージの深刻さを考えると、どうしても当サイトからはあまり高い評価は申し上げられない。ただ、当日入店時はガラガラで自分以外の客は数組しかおらず、行列・混雑とは無縁の店であることや、気兼ねなく長居できて心置きなくくつろぐことを最優先したい場合なら、ここでじっくり平日の夜の栄を楽しむのも、なかなか悪くないとは思う。
雰囲気
(入りやすい店か、落ち着いて食せるか)
[10]
リベラル感
(実施時間が不自由でないか、ルールがやかましくないか)
[9]
接客
(説明など不親切でないか、感じは悪くないか)
[10]
立地
(場所は便利かどうか)
[8]
お得感
(質量共に料金以上の満足が得られるかどうか)
[5]
総合【★★−−−】デザートブッフェとして味は平均値。料金はどうにか1,600円台まで抑えられないものか。

当日の収穫!

▲ファンタンショコラ(イチオシ!) ▲メレンゲムース(悪くないけど、以後ムースはおんなじような味ばっかり) ▲フルーツグラタン,ショートケーキ(イチオシ!)
▲品名不詳,ミルフィーユ(あまり期待しない方がよい) ▲品名不詳 ▲品名不詳,モンブラン(抹茶ロール仕立てのマロンケーキ)
▲ヴァニラアイスクリームwithチェリーソース ▲品名不詳(焼き立てフワフワでとてもおいしかった) ▲杏仁豆腐
……2巡目以降も含め、計23品分完食。ムースに偏りすぎるデザート部門より、サラダやパンの方がおいしかった。
▲品名不詳(後半の時間に品切れローテで登場した2品) ▲コーンポタージュスープとサラダの盛り合わせ,

― みちあんない ―

■地下鉄栄駅K番出口から広小路通沿いに東へ徒歩5分。近辺にプリシード、チサン、金谷など大小様々なホテルが林立しているが、その中でも一等大きな高層ホテルが東急ホテルである。

【所在地】〒460-0008 名古屋市中区栄4−6−8
名古屋東急ホテル内 コーヒーハウス モンマルトル
【営業時間】午前6時半〜深夜0時(年中無休)
【tel】052-251-3795
【関連サイト】名古屋東急ホテル公式サイト
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▲残念ながら、このショーケースの一般売りケーキがブッフェに出ることはないようだ。タイムサービスでもいいから、試食的にも何品か奉仕して欲しかったな。 ▲多分私が一生泊まることのないような、栄の空を突く高層ホテル。金谷ホテルのように他にもバイキングやってるレストランがあるので、ちょっと覗いてみるのもいいかも知れない。

(取材日:2004年4月5日)