岐阜県美濃加茂市/長良川鉄道 前平公園駅

たんどーる

▲こちらはブッフェではなく通常ショップ売りのたんど〜る特製スイーツショーケース。よく見るとバイキングのケーキと同工の品もちらほら ▲どのおうちも農具やトラクターをお持ちの農家さんがたが密集する小道を抜けたら、突然わーっと広がる草原の眺望。彼方に見えるはミツカンの工場。たんど〜るはその近く!
▲まだ苺が高価な秋であろうと、上等な苺をためらいなく登用。スポンジも生クリームも出来立てで大変美味しかった ▲ショーケーススイーツのラインナップだけでも盤石なのに、なんと実演バウムクーヘンの切り出しサーヴまで登場。匠の技の真髄を焼き立てリアルタイムで召し上がれ!
▲これらホールケーキは飾りではなく、なんとバイキング用の食べ放題ケーキ!目の前で切り分けて、よく冷えたお皿に乗せてその場で提供されるのだ ▲花壇の手入れも完璧なたんど〜る外観。お店側の真摯なご姿勢は行き届いたガーデニングにも顕現している
▲カフェ店内は掃除が行き届いていてピカピカ。開店から1年半以上経っているのにまるで昨日オープンしたみたいだ ▲バイキング用対面ショーケース写真その2。ラウンドホールは勿論ココットブリュレもヴェリーヌも全部美味しい

― DATA ―
企画名季節のスイーツバイキング
メインメニューケーキ
ケーキのサイズ【小】〜【中】
お値段2,160円
制限時間90分
実施タイム2〜3か月に一度、下旬土曜日恒例イベント/10時,12時,14時,16時の4部入替制
ドリンク飲み放題!
その他ルール予約制/初回オーダーは3品まで、以後は制限無し/全席禁煙
※各項目のポイントは10点満点で審査。総合★取りは5つが満点。
― JUDGE & COMMENTS ―

(ずばり、おいしいかどうか)
[9] ●2016年6月の初開催をとば口に、以来二ヶ月に一度のサイクルでスイーツバイキングを定期実施、地元で地道に地歩を固めていた岐阜・美濃加茂のパティスリー《たんど〜る》へ来訪。
 目的は勿論、“秋のスイーツバイキング”

 基本土曜日開催の予約制で、お一人様税込2,160円。ドリンクバーによる飲み放題付き。
 午前10時から夕方5時半まで、丸一日カフェ営業を返上した4部入替制・90分間の特別食べ放題イベントである。

 かつては当日まで全席が埋まらず飛び込み参加もOKな状況で、筆者が席の予約をした際も埋まり具合には十分余裕があったようなのだが、現在ではネット界隈で顕彰され、席の確保が難しくなってきているとのこと。

 次回参加に照準を定めている方は、公式サイトでの告知をチェックをまめに行うことをお勧めしたい。


― 食べ放題商品 Line Up ―

【対面ショーケース/ホールケーキ】
 ホールケーキ各種をショーケース前でオーダー、切り分けてお皿に乗っけてもらうスタイル。
 イチゴのショートケーキ、チェリーショコラ、チョコとピスタチオのムース、ムースフランボワース、フルーツタルト、かぼちゃのスフレ、モンブラン……等々7種類ほど。
 筆者は気付かなかったが、途中入れ替わりがあったり、後半品切れて姿を消す品もあるようなので、全種制覇に重きを置く方はご留意を。

【対面ショーケース/アントルメ】
 ひと竿だとかなり迫力のあるロールケーキやシート型ケーキ、プロフィットロールなど。こちらも取り分けてお皿に乗っけてもらえる。

【対面ショーケース/ココット&ヴェリーヌ類】
 プラスチックではなく、グラスや陶器での贅沢な提供。栗のベリーヌ、ワインのジュレ、かぼちゃのブリュレという秋に相応しい品揃え。

【クロッシュスイーツ】
 常温・非冷蔵のスイーツはショーケースの上で行儀良くクロッシュを被り、皆からのオーダーを待ち侘びる。
 リンゴのタルト、フルーツバターケーキの2種。

【ブッフェボード/焼き菓子&プチフール】
 こちらも秋の装い且つハロウィンカラーに染まる焼き菓子コーナー。
 カップケーキ、メレンゲロッシェ、アイシングクッキー、リーフパイ、プチタルトレット…などなど。

【ブッフェボード/ライトミール】
 キッシュ2種類、カナッペ1種。
 鹹味おつまみとしてはかなり贅沢。特にカナッペはすぐ売り切れる人気品。

【ドリンクバー】
 一機百万近くするんじゃないかしらっていうくらい、ぴかぴかのお高そうな高性能コーヒーマシン筐体が2台も登場。
 イオンのイートインでも見かけるイギリス製ボナマット社コーヒーマシン一機と、ドイツ製WMF社カプチーノ機が一機。
 ショーケースを挟んで別ブロックには紅茶とジュース類のピッチャーが設置。
 オレンジJ、アップルJ、グレープJ、アイスティー、紅茶Tパック7種。
 こちらにも1杯分量の熱湯が射出される便利なマシンが設置。

― 今回はコレが美味しかった! ―

 豊麗な各種フルーツ群が押し合いへし合いするような[フルーツタルト]の何と贅沢なこと。
 苺にいちじくに、マスカットに、マンゴーに、大粒フランボワ!ぎっしり過ぎて零れ落ちそう。
 果物類の酸っぱさはカスタードとタルト生地の甘やかさで丁度良い塩梅に拮抗。まことに美味しかった。

 あれこれ起伏に富んだ采配がとても面白かったのが[栗のベリーヌ]
 甘露煮・グラッセ・わらび餅。更にこの突拍子な風味は生姜とローズマリーだろうか。主体の抹茶クリーム・抹茶ムースにも品格があって素晴らしかった。

 梨のコンポートとブルーベリーを豊富にあしらう[ワインのジュレ]の芳醇さにはしばし心酔。ゼリー本体の濃厚葡萄テイストにも胸を焦がされる。

 弾けるようなダークチェリーがたっぷり![チェリーショコラ]もよそ様では味わえぬ逸品。
 きつくなく、甘やかなチョコの味が優しげ。加えてフランボワにリキュールと、児戯の無邪気さと大人の成熟さを兼ね備えたような豊かな仕上がり。
 小味を効かせたピスタチオも画竜点睛。

 クロッシュで常温出品されている[フルーツバターケーキ]は、見かけが地味でも個人的には御贔屓。
 玩味すればするほど歯にくらいつく糖衣が快感。柑橘ピールの香りと食感も堪えられない。
 あまりにぎっしり・緊密・且つ喉が渇くため2個目への食指は伸びなかったが、時間がたつと無性にもう一度食べたくなる、罪作りなエンゼル型パウンドケーキだった。



 雄渾なパティシエさん・才媛たるパティシエールさん・そして快活なヴァンドゥーズさん方が一体となって、カフェ営業を丸一日休止してまで本腰で設えた“本物のケーキバイキング”である。

 通常パティスリーケーキとほぼ同工ながら、この日の為に誂えたスイーツ達が目の前で切り分けられ、且つよく冷えたお皿にて最良の状態で提供されるのだ。
 お味もかなり独創的ながら精緻な作り込みが感じられる極上品ばかり。特にオペラやショートの各層の細かな凝りようと断面の美しさには息を呑む!

 補充についてはタイミングに恵まれず逃した品も多少あったが、ソレは写真確認で後々ようやく気づくようなことであり、通常的にありつける品々だけでも十二分に満足できることを皆様に保証したい。

 海千山千のマニアですら喉を鳴らす、稀代且つ傑出なパティスリーイベント。あじさいヶ丘の眺望と共に一度は堪能してもらいたい一件だ。


 尚、最寄りのローカル鉄道駅[前平公園]駅からは徒歩10分だが、気候さえよければJR[美濃太田]駅からも徒歩40分ほどで踏破可能。

 街並みは長閑だけど人通りや車の往来は盛んだし、急な登坂の小道を抜けた途端にわっと草原が広がる景観の風光さが爽快。
 駅の売店では“ようこそ美濃加茂へ!”と掲げる看板の袂に早速地元のお土産品が並んでおり、そんな美濃加茂の醇俗な気風にも心が和む。

 至高のパティスリーブッフェの重畳のおかげもあり、美濃加茂への小旅行は最高の羽伸ばしとなった。

雰囲気
(入りやすい店か、落ち着いて食せるか)
[9]
リベラル感
(実施時間が不自由でないか、ルールがやかましくないか)
[7]
接客
(説明など不親切でないか、感じは悪くないか)
[9]
立地
(場所は便利かどうか)
[5]
お得感
(質量共に料金以上の満足が得られるかどうか)
[8]
総合【★★★★−】身が引き締まるような至宝のパティスリーブッフェイベント。地方郊外型ならでは。

当日の収穫!

▲ぶどうのジュレ,カシスオレンジ,ムースフランボワース(峻別された果物素材のフレッシュさが素晴らしい) ▲実演バウムクーヘン(バウム本体のお味は勿論アングレーズソースのコクと深みに感涙) ▲カシスサブレ,チョコブラウニー,マカロン
▲フルーツタルト,かぼちゃのブリュレ ▲栗のベリーヌ,イチゴのショートケーキ ▲ブラックシュー,りんごのタルト(格調高く非常に個性的なアップルタルト)
▲チェリーショコラ,フルーツタルト ▲ぽろたん(ぽろたんとは栗の品種名である),フルーツバターケーキ ▲かぼちゃのスフレ(南瓜の食感がずしり!)
▲きのこと栗のキッシュ,じゃがいもとベーコンのキッシュ(具が大きくてたっぷり!うっすらパイ生地も最高)

― みちあんない ―

■長良川鉄道[前平公園]駅から北へ徒歩10分。尚JR美濃太田駅から歩いてみたところ、徒歩40分かかった。

【所在地】〒502-0029
岐阜県美濃加茂市あじさいヶ丘1−7
たんどーる
【営業時間】午前9時〜午後7時
【tel】0574-25-7007
【関連サイト】公式サイト  レッツぎふグルメ  食べログ
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▲こちら焼き菓子&キッシュのブッフェボード。キッシュやカナッペ、カップケーキだけでお腹いっぱい召しても満足できてしまいそうな完成度だ ▲こちらドリンクバー。下手なホテルよりよっぽど高価な設備が整っていることが印象に残った
▲しかもカップとソーサーまでハロウィン仕様!力の入れようは半端ではない。勿論珈琲も美味しかった ▲焼き菓子ブッフェボード写真その2。マカロンやメレンゲロッシェも豊富な種類が用意されており、ソレ系がお好きな方にはたまらない
▲見てくださいよこのぎっしりフルーツタルト!凄すぎてフォーク入れらんない。もう手づかみで齧り付くしかないよね ▲本日のおみや。[ブールドネージュ] 抹茶味 464円。お口に入れた途端スッとほどけて一瞬で消えるような、上品なスイーツ。

(取材日:2017年9月30日)