モデル撮影会には様々な開催形態がある。私の場合、少人数限定撮影会に限って参加している。そのなかでもモデルさんを取り囲むようにして一斉に撮る方式と、順番に一人ずつ撮る方式、そして双方を折衷した方式があり、どんな具合になっているかは参加してみないとわからないことが多い。
 さっちん主催のSPPCという撮影会では、参加者が協議して立ち位置を決め、レフを当て、一人ずつ順番に撮る。このやり方だと、自分一人ならば思いつかないようなアイディアを出し合っていくことになる。SPPCにはセミプロ級がざらにいるし、ときにはプロも参加するから、出来過ぎというくらいの写真が撮れることがある。
 心の師の個展に押し掛けA4にプリントした新作を見ていただいたときのことである。何枚か持ち込んだ写真がどんどんめくられていった。ようやく先生の目に止まったのは、SPPCで撮ったさっちんの写真だった。よその撮影会で撮った写真は、とうとう見向きもされなかった。
 プロの先生は、素人の通う撮影会のことは御存じないだろう。先生の目に止まった1枚が、自分の力だけで撮れたのではないことを、私はうまく説明できなかった。
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