個人撮影は撮影会とは違って、写真を撮るのは自分一人だけ。撮影会なら他の人の撮り方を真似したりもできるが、個人撮影ではすべて自分の才覚で撮ることになる。つまり、個人撮影で撮った写真こそ自分の本当の実力で、まったくごまかしが効かない。
 はじめて個人撮影したのは高木姉妹だった。芸能の世界の入り口に立った彼女らが、プロダクションの都合で上京する際、アルバイトとしてモデルをやるというので頼んでみた。
 その頃まだ高校生だった高木優さんを撮りたいと申し込んだのだが、まず考えたのはモデルさんを不安にさせないことだった。出来れば誰か付き添う人がいて欲しい。また、撮影場所は人目のある屋外がいいと考えた。
 撮影当日まで何通かメールを往復させるうち、プロダクションの御厚意で付き添いをつけていただくことになった。また、撮影場所は渋谷から原宿へ移動しながら住宅街で撮ったあと、代々木公園へ向かうことにした。
 当日、予定外に妹の高木萌さんも加わり、はじめての個人撮影は豪華にもモデル2名、アシスト1名、そして私の総勢4名のチームになった。こんな贅沢な思いをさせていただいたが、プロダクションは一円も受け取らない。ギャラは高木姉妹に直接払う分だけだった。
 肝心な写真はどうだったかというと、仕上がりは不満だった。高木姉妹の魅力を半分も撮りきれていない。
 背景を選び、モデルの立ち位置を決め、カメラアングルを考え、ポーズを指定する。その全部を一人でやるのに手一杯で、場の雰囲気を和やかにする工夫が足りなかったようだ。ともあれはじめての個人撮影はたいへん勉強になった。
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