今回のこの話題は、撮影の技法のことではなく、人づきあいのこと。これが案外難しいものだ。
 何回も撮影会に通っていれば、顔なじみになる人もいる。また、すでに連絡先を教え合うほどになった写真仲間から紹介される人もいる。同好の士といえども人は十人十色で、馬が合ったり合わなかったり。たまに合わない人から親しげにされることがあると、やはりいい気持ちはしない。逆に、この人ならばとグループ撮影にお誘いしても、「あなたとはペースが合わない」と、すげない御返事が返ることもあった。その間合いをつかむのは、なかなか難しい。
 同じ男性同士であってもそうなのだから、個人撮影やグループ撮影をするならばモデルさんとの距離感を良好に保つのは重要な問題だろう。親しみを持たないと良い表情が撮れないし、かといって私生活にまで干渉してはいけない。
 大雑把にいって、たいていのモデルさんたちと私との年齢差は父娘ほどになる。彼女らとの雑談から感覚の相違を感じることも多い。つい小言を言いたくなったりするような話題に出会うこともある。それを言うべきか言わざるべきか、相手にもよるだろうし場合にもよる。いや、本当に難しい。
 私が特に厳しく戒めたくなるのは、若い彼女らには自分の名を大事にして欲しいということ。なかでも芸能の世界を目指す人は、なるべく軽率な行動を慎むようにお願いしたい。めでたくメジャーデビューした人が、無名時代の行動や言動などをあれこれ取り沙汰されるのも珍しくは無いからだ。
 だがしかし、こういうことを誤解のない言葉で伝えるのは難しい。世代の差から彼女らとは価値観も大きく異なる。話してみても噛み合わないこともある。それで感情的になってしまっては、善意も悪意と解釈されかねない。
 こういうことをこんな場所に書いたところで、彼女らが読むことを期待するのは間違いだとは思うけれども面と向かって言うのは難しいし、わずかばかりの期待をこめて負け犬の遠吠えみたいなことをしてみた。
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