つきまといをカタカナ言葉にすれば「ストーカー行為」となる。なにも恋愛感情だけがきっかけとは限らない。写真愛好家のなかには、著名な職業写真家と親しい関係にあると錯覚して、つきまとうような人もいると聞く。アマチュアに対しても気軽に声をかけてくださる先生方は御注意なさいませ。もちろんモデルさんは更に注意が必要だと思う。
 職業写真家もモデルさんも人気商売だから、われわれアマチュア一同はお客様の立場になる。あまりよそよそしくも出来ないだろう。だからといってつけあがると堪忍袋の緒はいつか切れてしまう。近頃はストーカー規制法なども出来たのだからわれわれも心がけておきたい。
 同法でいう「つきまとい等」とは、以下のように定義される。

 特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかった事に対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定者の者と社会生活において親密な関係を有する者に対し、次に揚げる行為をしてはならない。
1 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他通常所在するところ(以下「住居等」という。)の付近に置いて見張りをし、又は住居等に押し掛ける事。
2 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置く事。
3 面会、交際その他の義務のない事を行うことを要求する事。
4 著しく粗野又は乱暴な言動をする事。
5 電話をかけても何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信する事。
6 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置く事。
7 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置く事。
8 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他のものを送付し若しくはその知り得た状態に置く事。
(1〜4までに揚げる行為は身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法に行われる場合に限る)を反復してする事をいう。

 以上が「ストーカー行為等の規制等に関する法律第2条(定義)」の内容だ。常識やマナーを備えていれば無縁なはずの法律であるが、解釈によってはどの様にでも適用されそうだから、軽はずみな悪ふざけが思わぬ重大な結果を招くことにもなりかねない。
 職業写真家の先生方やモデルさんたちが誰かにつきまとわれ、「やめて欲しい」と言っても聞かない場合は、地域の警察署の生活安全課などに相談することをお奨めしたい。
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