白谷雲水峡の入り口。入山料300円也
  
登ってまもなくコケの森がお出迎え
 
これは「切り株更新」。切り株からまた新しい木々が生えてくる
くぐりすぎ。何故か大木になると根っこが浮いているんですよね
もののけの森へ。コケと木々のコントラストが何とも言えずいいところです。なぜか、こういうところに来ると落ち着きますよね
太鼓岩。ここからの景色はすばらしい。でも、結構おっかないところです
太鼓岩で会ったチャリダーのみなさん。とても明るく頼もしい
 
チャリダーの人たちに教わった写真の撮り方。まじめにやばい。着地を失敗したら・・・。おー怖ー。
でも、満面の笑み。

 
二代くぐりすぎ。くぐりすぎの切り株に新しく育った大きな杉がそびえている 三本足杉。三又に分かれていて不思議な感じ
 
おまけその1。キャンプ場での夕日。とてもきれいだった
おまけその2。亀の産卵を見ようと来た浜での月の出。月明かりの明るさをあらためて知る

 
2005.5.24

 宮之浦にある宿を朝8時に出発し白谷雲水峡へと向かう。宮之浦大橋を渡り右に曲がるとあとは一本道。小一時間ほど走ると白谷雲水峡の駐車場に着いた。ここは淀川口の駐車場と違いとても広い。昼飯とカッパを詰めた軽いザックを担ぎ登山道へと行くと受付があり、300円の入山料を取られた。この金は登山道の整備等に使われているらしい。山に入るのに金を払うとは何となく納得できないが、まぁしょうがない。
 整備された沢沿いの道を進むと15分ほどで「さつき吊橋」に着いた。まっすぐ進むと原生林歩道、橋を渡ると楠川歩道。どちらの道も上でつながっている。僕らは楠川歩道を登り原生林歩道をおりてくる時計回りのコースにすることにした。
 橋を渡るとすぐに苔むした森が現れた。苔というのは何故か心を落ち着かせる、不思議な生き物だ。苔の道のまわりには大きな切り株があり、その切り株もまた苔に覆われている。苔に覆われた切り株からは新たな生命がすくすくと伸びている。この現象は切り株更新といい、自然界では当たり前の現象なのだろうが、我輩にはとても不思議に思えてしょうがない。「杉」の切り株に「杉」が新に生え伸びていく。これは何となく納得できる。が、必ずしもそうではない。「杉」の切り株なのに全然違う木が生えることもある。ん〜、不思議だ。杉の植生をちゃんと研究している学者さんたちは特段不思議に思わないんだろうが、無知の我輩にはとーっても不思議で神秘的だ。この切り株更新をモデルにチャペルを自分達で作り結婚した知り合いの人がいるがその人の思いが今少し分かったような気がする。(このチャペルの模様はこちらをクリック
 さらに進むとくぐり杉なるもが現れた。読んで字のごとく、根っこが浮き上がりその下をくぐれる。何故か大木になるとこのように根っこが浮いてくる。これまた我輩にはとーっても不思議。さらに不思議なことが現れる。くぐり杉のすぐ先には七本杉なるものがある。この木、見上げると一本の杉の木から何本もの太い幹が出ている。この幹、すべて杉かと思ったらそうではない。ナナカマド、ツツジ、アセビ・・・。よーく見ると確かに幹から出ている葉っぱは杉ではないものもある。ん〜、またしても不思議。それにしても杉はなんていい人、じゃなかった、なんていい木なんだろう。自分以外の木の土台になったり、自分以外の木に養分を送ったりと。
 七本杉から5分ほどで「もののけ姫の森」へ。名前は俗っぽく「こんな看板立てなきゃいいのに」と思ったが、森自体はすごくすばらしい。確かに今まで来た道にも苔はあったが、ここの森の苔はすごい。沢、石、倒木すべてが緑。すべてが苔である。まるで白黒テレビならぬ、白緑テレビを見ているようだ。荷物を降ろししばしこの苔たちとすごす。屋久島は年間370日雨が降ると言われるほど雨が多い島。この苔たちを見ていると、その雨の多さによってこの森は生きているんだなと感じさせられる。
 苔の森を歩くこと10分ほどで辻峠へとついた。この道はまっすぐ進むと3日前に歩いたトロッコ道へと続いている。我輩たちはここを左に曲がり太鼓岩へと進む。さっきの苔の道とはうって変わり藪の中となる。リボンを頼りに進むこと20分。先が明るくなり岩肌が見えてきた。ドカーン!と言う響きこそ無かったが、藪から一気に視界が開けたのでそう言う感じとともに太鼓岩に出た。そこは小雨が降っていたが視界は良く最高の眺望。4日前に登った宮之浦をはじめ屋久島の山々が連なっていた。すばらしい景色とは裏腹に下は断崖絶壁。ツルっと滑ったらいっかんの終わり。そんな中、太鼓岩はちゃんと太鼓の音がする箇所があるという情報を元に、足でドンドンやりながら岩の上を右往左往する。しばらくすると、気さくな若い3人グループが到着し、一緒になって太鼓岩の太鼓を探し始めた。みんなで岩を足でドンドン、手でピシャピシャやりながら探す。「ん〜、ここじゃない」ドンドン。「ここは」ドンドン。とあちらこちらを探すが「これだ」と言うところは見つからなかった。
 我輩が岩の下のほうで太鼓を探していると上のほうでなにやら3人グループが騒いでいる。なにかなと思い戻ってみると、岩の上で飛び跳ねながら交互に写真を撮っている。横にいたカミサンはそれを見てゲラゲラ笑っている。我輩が「撮ってあげるからみんなで飛びなよ」と言い、「せーの」でカシャ!最近は皆デジカメなのでその場で写真がみれる。それを見て皆また笑い出す。あまりにも楽しそうな写真なので我輩たちも一枚同じようにジャンプして撮ってもらうことにした。「えー、マジ」とカミサンはあまり乗る気ではなかったが(なにせここは断崖絶壁)、その場の乗りで二人でジャンプ!カシャ!その写真をみて、あまりの完璧さに皆でまた笑う。笑っているうちに太鼓探しなどすっかり忘れ、すばらしい景色を見ながら昼食を摂ることにした。
 しばらくするとガイドつきのツアーの人たちがやってきた。ガイドさんがストックで山々を指しながら「あれが宮之浦岳で・・・」などと説明するのを、金を払っていない我輩たち5人は耳をダンボのようにして聞き入る。なるほどなるほど。そのあとガイドさんが、若者の一人の子に「ちょっとどいてくれるかな」と言いその若者が座っていたところを2,3回叩く。すると「ポンポン」と音がした。思わずみんなで「ここだったのか」と言う。灯台下暗し。さっきから色々なところをドンドンしていたがまさかこんな近いところにあるとは。さすがはガイドさん、なんでも知っている。
 ツアー客がいなくなり変わって一人の女性が太鼓岩に到着した。その人は顔は日本人だが喋りにちょっと英語なまりがあり、「ロサンゼルスで生まれ育った帰国子女だな」などとカミサンと我輩は勝ってに決め付けていた。(別にロサンゼルスじゃなく、ニューヨークでもニュージャージーでもいいんですけどね)
 その帰国子女は「アノヤマハナンデスカ?」と尋ねてきた。我輩が「あれが宮之浦岳で・・・」と説明すると、外野の4人はゲラゲラ笑っている。何に笑っているかと言うと、先ほどのガイドさんが言ったとおりに我輩が自信を持って説明したからだ。その帰国子女がいなくなってから3人グループに「俺ガイドできるかな?」と聞くと「完璧です。出来ますよ」とこれまたゲラゲラ笑いながら答えが返ってきた。
 そんな楽しい太鼓岩を後にし若者達より一足先に下山することにした。白谷山荘までは同じ道を下る。途中の苔の森は多くの人で賑わっていた。我輩たちが登ったときは人影もまばらだったが時間が経つにつれて人が多くなってきたようだ。
 小屋でトイレを借り、その下の分岐を左に折れ原生林歩道へと行く。ちょうど昼飯時のようで登山道には人があまり歩いてなく静かな森の中を進んでいく。最初に現れたのは二代くぐりすぎ。これはくぐりすぎなのだが倒木更新によって一代目の杉が倒れたあとに二代目の杉が生えた木だ。二代目と言ってもすごく立派に育っていて一見すると倒木更新があったかどうかも分からないくらいだ。
 適度なアップダウンを繰り返しながら苔の道を進んでいくと三本足杉が登場。これまた読んで字のごとく三本の足の上に杉が、でーんとそびえたっている。それにしても屋久島の人は杉に名前を付けるのが好きなようだ。でかい木にはだいたい名前がついている。
 白谷山荘から1時間半くらい歩いた頃見覚えのあるつり橋が見えてきた。朝渡った「さつき吊橋」だ。これで1周無事ゴールと思いきや最後に弥生杉なるものがある。本来ならさつき吊橋から別れて弥生杉を見て駐車場に戻れるコースがあるらしいが、がけ崩れで通行止めとなっていた。仕方なく受付近くまで下山し弥生杉に行くことにした。さんざん杉を見てきた我輩たちは「もういいか、どうせ行ったって杉だろ」とまた登ることに躊躇したが、「←弥生杉」の看板見ると知らないうちに登っていた。貧乏人の性、またいつ来れるか分からない屋久島、どうせ来たから見ておかねば。朝受付のおばちゃんに「弥生杉へは急だから最後に行ったほうがいいよ」といわれたこと思い出す。確かに急だ。階段ばかりでまるで丹沢のバカ尾根を思い起こす。ゼーゼー言うこと20分弱。またまたでかい杉が現れた。樹齢3000年。それにしても杉はでかくなると樹皮が杉のようにはみえなくなる。縄文杉もまたしかり。若い杉は色が濃くザラザラしているのに、大木になると白っぽくなりツルツルして見える。人も杉も年をとるとお肌が変わるてことかな?
白谷雲水峡駐車場 8:50
原生林歩道分岐 9:33
休み 9:55
10:02
辻峠 10:13
太鼓岩 10:32
11:35
辻峠 11:49
白谷山荘 12:17
原生林歩道分岐 12:27
休み 13:03
13:08
さつき吊橋 13:46
弥生杉 14:15
白谷雲水駐車場峡 14:28