各名門ブランド ピンボール・リスト

Stern Pinball/2014

キッス(Pro版)

原題KISS (Pro)
製作年度2015年
ブランド名スターン・ピンボール
メーカースターン・ピンボール・インコーポレイテッド
スタッフデザイン:ジョン・ボーグ/美術:ケヴィン・オコンナー、グレッグ・フレーレス/ソフトウェア:ロニー・D・ロップ、タニオ・クライス、ウェイスン・チェン、ジャック・ベンソン、マイク・カイズヴァート/メカニクスサポート:マイク・リドブル、ロッブ・ブレイクマン、エリオット・エイスミン/マテリアル:ゲイビー・アルヴァレス/サウンドディレクター:シェリル・ワグナー/バックグラス画:ケヴィン・オコンナー
標準リプレイ点数三千九百八十万点
備考
▲バックボックス。'79年バリー製を意識したというより、ご当人ケヴィン・オコンナーによるセルフオマージュ。顔ぶれも現行メンバーではなくオリジナルの4人が描かれている ▲オコンナーはここ14年ほどIGT社オンラインスロットの仕事もかけもっており、忙殺の中週末夜遅くまで費やしてKISSのアートワークを手掛けたが、最高の気分転換だったとのこと
▲重要箇所バックステージパスのスクープホール。トラッククリア後はすぐに入れるべし。Ex.ライトもあるがなかなか取らせてもらえない ▲A-R-M-Yスポットターゲット4枚バンク。完成後はミステリー点灯とカウントダウンボーナスのご褒美が。
▲エプロン部分を含めたフィールド下部。4×4のグリッド表示も'79年版からの受け継ぎ。2度完成させればプレウィザード突入のチャンス ▲デザイナーのジョン・ボーグはKISSの制作当初は「ウォーキングデッド」のリミテッド版がまだ仕上がっておらず、両機種かけもつ多忙なとば口となった
▲K-I-S-Sレター4枚バンク。実は'79年ドイツ限定版逸話にあやかり、リミテッド版トップ製造60台がドイツ出荷用としてこの箇所のKISSロゴデザインが異なっている ▲インパクト強力なディーモンヘッド。残念ながら廉価版Proヴァージョンではボールロック機構が削除されており、擬制ロックですぐにリリースされてしまう
▲フィールド上部。ダンスするポールスタンレーフィギュアには愛嬌あるが、こちらも惜しむらくは廉価版で機能削除されている ▲例によって筋肉が大いに盛られた美丈夫なKISS達。彼らはみんなのスーパーヒーローなんだから今回もがっつりマッチョにしておいたよ、とはオコンナーの談

― COMMENTS ―
●2000年代の“失われた10年”を経たピンボール産業は今、洗練された高踏主義且つ蒐集性の重視が進んだ前人未到の2010年代へと突入。
 '70年代後半、'80年代半ば、'90年代前半。それぞれの時代の盛業とはまた趣を異にするそんな市場により、一部の通好みによる極めて贅沢なゲーム産業として息遣う、特異過ぎるジャンルへと辿り着いたようです。

 '90年代ゲーセンピンボールと言えば丁寧に整備されている台はまれで、断線・基板異常・ヒューズ切れ・疲弊コイルだらけのフィールドは真っ黒に汚れたまま。稼働スロープは意図的に折られ、ホールのあちこちにガムテープや悪意のある詰め物。指摘して調整を頼めば、痛いところを突かれたのか従業員は声を荒らげて逆上。

 ……それがアヴェレージだった過去の時代より、考え方次第では今の形の方が正解なのかも知れません。


 さて、「ザ・ローリングストーンズ('11)」の評判の良さと「AC/DC('12)」の飛び抜けた高セールスにより、“伝説のロックアーティストとのコラボレーション”という、'10年代のスターンピンボール及びPin市場が突き進むべきメインストリームがより旗幟鮮明となっている昨今。
 同社はその後も「メタリカ('13)」今作の「キッス」、新作「エアロスミス('17)」、制作中の「アイアンメイデン」等々、数々の洋楽アーティストとの提携を実現させています。

 因みに現在、アリス・クーパーのピンボールが制作中というニュースが飛び込んできていますが、なんとそれはスターン製ではなく、家族経営規模ながらデニス・ノードマンのコンサルティングやピンボール愛好家たちの献身的な協力に恵まれ、ファクトリー量産とディストリがかなった夢多き疾馬、スプーキーピンボール社製。
 社名が社名だけあってパーソナルな嗜好が色濃く、やたらホラータッチの台を好んだりピザチェーンとの提携台を企画したりなど、ユニークな切り口で攻めている新手のピンボールメーカー。
 かように各社を巻き込みながら、まだまだ洋楽ロックとピンボールのコラボ・ムーヴメントはこれからも続きそう。

 お陰様で日本国内洋楽ファンの情報サイトでもこれらのピンボールがちょっとしたニュースとして、有り難いことに度々取り上げられることとなりました。

 しかしちょっと気になるのが、スターンピンボール社を紹介する際に、

 “世界最大の老舗ピンボールメーカー!スターンピンボール社!”
 “世界最古であり最大でもあるピンボール・マシン製造会社のスターン・ピンボール社!”


 ……という惹句が、洋楽系の各ニュースサイトの見出しで躍りに踊っているのだけど。

 それって一体、どこの資料を参考にしちゃったの?

 “最大最大”ってあなた。
 スターンは所詮一族経営の小ぶりな会社に過ぎなくて、かつてのバリーみたいに数多くのエレメカやビデオゲームを開発しつつ直営アラジンズキャッスルの全米ロケーション店舗を各地にたくさん持ってた上に遊園地やホテルまで多角経営してたりする訳でもないし。
 ゴットリーブみたいに大手映画会社やコカコーラ社がバックについてたこともないし。
 ウィリアムスみたいにカジノ部門やビデオゲーム部門、ジュークボックス部門をも大手として運営していた訳でも無し。
 それどころか現役メーカーでは、コインオペ産業で60年近い来歴のある大手エロート社を親会社に持つジャージージャックピンボール社の方が、規模はよっぽど上だよ?

 しかも“老舗だ最古だ”ってアナタね。
 各社50年やってて当たり前のピンボール産業史において、スターン社は創立からまだ20年も経ってないのよ。
 データイースト虎の子時代やセガ傘下時代も含め、やっと30年に手が届くような歴程ですからね。

 よって、スターンピンボールを端的に紹介したいなら、

 「スターウォーズやジュラシックパーク等の大作映画台でかつてのゲームセンターを賑わせたデータイーストピンボールを前身とするスターン社」
 とか、
 「再びアメリカで活況を呈すピンボールシーンを牽引する最大手」
 「今ロックアーティストの間でピンボールムーヴメントを巻き起こしている重鎮メーカーとして音に聞く、スターンピンボールインク」


 ……ぐらいで充分でしょう。

 ピンボール事情に暗い洋楽ライターが無理に背伸びして書いた一番最初の記事を、同じく洋楽系のサイト運営者が次から次へ、あれよあれよと顰に倣っちゃった結果でしょうね。
 しかも老舗だの最古だの最大だの、ポールバニヤンの法螺吹き話みたいにスケールがでかくなってるし。

 でもまぁ、どういう形の敷衍であろうと、焦点のズレたレトロ扱いやビデオピンボール念頭ではなく、現役ピンボール製品を最新マシンとして記事に上げてくれるのはとても有り難いこと。

 そう言えばスティーヴ・コーデックが100歳で御逝去された時、訃報記事として“ピンボールと言えば名作FXシリーズ云々〜”などとコーデック氏とは何の縁もないビデオピンボールのタイトルをつらつら並べて本然を語った気でいる蒙昧なゲームライターの酷い悪文とか、まぁ読めたものではなかったことですし。
 まるでプロ野球界伝説の選手が亡くなった時に“彼はナムコのファミスタでおなじみでしたね”などとコメントして周りを凍りつかせるような、薄ら寒い話だ全く……。

 OKOK、多少の歪みは鷹揚に看過しましょう。


 それと、この際“最古のピンボールメーカー”について一度はっきり明記しておくと、1869年に米オハイオで起業し、1875年にニュージャージーで発足した、スプリングシューターの発明者であるイギリス人 モンタギュー・レッドグレーヴ氏創立による、M・レッドグレーヴ・バガテル社(〜1925年)がそれです。

 その後ノブのデザインや力加減方法が洗練されていった“プランジャー”の走りである、この原始的スプリング式シューターと言える仕組みを備えたバガテル台は、それ以前のイギリスやフランスでも見つかっています。
 しかしレッドグレーヴ社にはある程度の規模の社員数と工房があったことや、貴族用でも家庭用でもなければカーニバル露店用でもないサロン向けの製造品であったこと、そして何より1871年に彼が出願したスプリングシューターの特許が受理されており、米パテント番号115357として発布された……という動かぬ証拠こそ、最古メーカーとしての根拠になっています。

 但し、キューショットバガテル及びスプリングシューターバガテルの黄金期である1890年代に数多く生まれ出た、レッドグレーヴの“パーラーバガテル”シリーズには、コインオペレート機能やボールリセット機能も無ければ、ガラスカバーも無い
 よってそれらをしっかり兼ね備えた決定打であるゴットリーブ社の「バッフル・ボール('31)」、更に'30年代ピンボールのマニュファクチュアリング及びフィールドデザイン,アート,サイズ仕様など全フォーマットの礎石となったバリー社製「バリー・フー('32)」をピンボールの始祖とする言説も、当然間違ってはいないのでご留意を。

 閑話休題。話は100年以上前の19世紀から2010年代へ、一気に戻りますよ。


 現在スターン製「キッス」を日本で気軽にプレイできるロケーションとして何といっても存在が大きいのが、大阪心斎橋ビッグステップ内《シルヴァーボールプラネット》
 こちら設置中のスターン製キッス台は、リミテッド、プレミアム、プロ…の3ヴァージョンあるうちのプロ版。
 いわゆる廉価版で、惜しくもディーモンマルチのボールロック機構、及びラヴガンマルチ開始時に巻き起こるボールの空中浮遊&スターチャイルドステージへの着地、更にポール・スタンレーのフィギュアのダンス機能……といった数々のファビュラスなメカニクスが削除されています。

 それでもゲーム性は十分高く、大いに楽しめるフィーチャーが盛りだくさん。

 巨大なディーモンヘッドに3度キャプチャーさせ、血反吐を吐いて猛り狂うジーン・シモンズのデモと共に開始されるのがディーモン・マルチボール!
 「悪魔のドクターラブ」をBGMに、眩いLEDのフラッシュ演出の中、ダブルジャックポット・トリプルジャックポットの荒稼ぎにはゾクゾク。

 スターチャイルドステージでのS-T-A-Rターゲットへのヒットによりヴォルテージグラフを満タンにして始めるラヴガンマルチボールでは、ポール・スタンレーが観客席の中空を舞うワイヤー滑空場面もしっかりデモで描出。
 但し全ショットコンプリート後にトップホールでスーパージャックポットを決めるのはマニアクラスプレイヤーでも至難の業!

 個人的に唸ったのが、各ボールプランジ時に選べるトラックソングセレクト
 単なるBGM選択かと思ったら、実はそれぞれ異なるショットクリアの課役があって、2曲クリア毎にプレイフィールド倍率2X、3X、5X、10X!という驚愕の暴利法が隠されています。もし10X時に各マルチボールやウィザードで暴れまわったらエライこった!

 このソングトラックリアを他のフィーチャーといかに絡めてとり進めてゆくか。
 例えばディーモンボールロックやラヴガンメーター上昇を組み立てたいなら、該当箇所のショットと同時進行で進められる[地獄の回想Lick It Up][デュース]をセレクトするのが得策。
 マルチボールと同時に始めてあっという間に片したいなら、[デトロイトロックシティ]が最適。
 ショットごとに曲にちなんだ映像が挿入されるのも楽しいゾ!

 一方曲の好みで[ブラックダイヤモンド][狂気の叫びShout It Out Loud]をノリで選んだら、キツキツでやっかいな右ループ左ループ等一か所だけに課せられる難しいショットに苦戦。その一点のせいで足止めを食らい、ソングクリアも他のフィーチャーも全然進まない事態も。

 かように、ソングトラックの選択は戦略上とても重要な役割を担っているのですよ。これには痺れましたね。
 しかも全トラッククリアでプレウィザードマルチボールもあって大いにエキサイト。プレイフィールド3倍・5倍・10倍のまま突入したウィザードでの超高額ジャックポットを次々射止めれば、忽ち血液も沸点に!ステージは正に興奮の坩堝へ!!

 しかしまぁ〜〜メチャクチャ難しい台ですこと。

 しばらく大阪にはこれないから…と4時間ぶっ通しでスターンKISSにかじりついて意地でもグラチャンは出したのだけど、それでもラヴガンマルチのコンプリートであるスターチャイルド・トップホールクリアにまであと一歩というところで力尽き(何だよあの通しても通してもまだ残るショットノルマの異常な多さは!)、その時は結局ロックシティだけを残して最終ウィザードまで辿り着けませんでした。無念。
 これでグラチャンが取れたということは、全4種のプレウィザードクリアを全て果たし、その先を見た者はSBPでまだ誰もいないのでは………。

 ぐぬぬ、恐るべしスターンKISS。


 ところでひとつ気になったのが、描かれているKISSのメンバー達

 今機種でフィーチュアされている各ソングトラックは、原盤として2009年発表のアルバム「ソニックブーム/キッスクラシックス」が元になっています。
 つまり、GシモンズとPスタンレーはともかく、描かれるべき残りの二人は現行メンバーのトミー・セイヤーとエリック・シンガーであるはずが、登場しているスペースマンとキャットマンは、どうやらオリジナルメンバー且つ'79年バリー台の時と同じ、エース・フレーリーピーター・クリスと見受けられますが。これは一体?

 “我々スターンは、KISSピンボールの制作においてはバンド全体のイメージを重視すべきだと判断した。4人が誰であるかという視点よりも、偉大な表現者として恐らく100年後も語り継がれているであろうディーモン、スターチャイルド、スペースマン、キャットマン4人から成るKISSの世界観そのものにプライオリティを置いた。”

 “メタリカのロバート・トルジーロはバックグラス等に描かれているが、レコーディングには不参加だった。AC/DCの台にボン・スコットは登場しないが、彼のソングはフィーチュアされている。我々は毎作においてバンド全体のイメージを重要視しすることで方針を一貫させている。何より、'79年バリー版「キッス」はピンボールの歴史的名作だ。そのアートワークを遵守すべきであると判断した。”


 そう語るのは、スターン社マーケティング及びライセンス主事、ジョディー・ダンクバーグ
 元々音楽事務所出身だった彼のスターン社への貢献はいわずもがな。近年スターンピンボールにおいて良質のロックアーティスト・コンセプト作が続出しているのは、彼の功労によるものと言って良いようです。

 ダンクバーグが'12年にプロデュースした「AC/DC」は好評のあまり合計5種もの別イディションを発表することとなり、トラックもルールも新たとしたコーディングを配信する為、スターン社がライセンス期間を延長し続けるという高セールスを今も邁進中。

 しかし'13年に手掛けた「メタリカ」はロックファン層の反応が薄く、ガンズのスラッシュと同様にギタリストのカーク・ハメットがピンボールプレイヤーであるにもかかわらず、リスナーやファンクラブからのオーダーは低迷気味。スターンはやや失望気味だったようです。

 一方、今作「キッス」においては、KISSメンバーらがフェイスブックなどで企画段階や制作状況を逐一報告。絆の深いキッスアーミー達とのSNS方面における盛り上がりようは、それはそれは活況であったそうです。

 ジーン・シモンズポール・スタンレーのお二方がアートワーク方針や使用するナンバーの選別に携わったのは勿論、ヴォイススピーチレコーディングへの参加も快諾。
 スタジオでは自ら積極的にアイディアを意見する一方、スタッフの演出指導やダメ出しにも協力的。

 バリー時代のライセンスマネージャー トム・ニーマンも異口同音に彼らを礼讃していましたが、ダンクバーグにとってもジーンとポールの殊勝且つ積極的な姿勢は非常に頼もしく、節目節目でとても勇気づけられたそうです。


 そんな今作KISSピンボールのプレイフィールドデザインを担ったのは、これまで25機種以上のピンボール制作を手掛けてきた職人デザイナー、ジョン・ボーグ

 データイースト時代には「スター・ウォーズ('92)」「テイルズ・フロム・ザ・クリプト('93)」「ガンズ・アンドローゼズ('94)」を手掛け、「オースティン・パワーズ('01)」を区切りに一時期ピンボール業界から離れていたものの、「インディ・ジョーンズ('08)」で再びスターンピンボールのデザイナーとして復帰。
 前々作「メタリカ」、前作「ウォーキング・デッド」のデザインワークで大車輪の活躍を見せているのは何をか言わんやと思う反面、洋楽ネタやダークでホラブルなライセンス企画ばかり請け負っていて、アイディアが枯渇したり倦厭してしまったりしないか、ちょっと心配ですね。

 “いやいや、枯渇も倦厭も決してしてないよ。映画ネタにしろ何にしろ、凡庸なお仕着せ企画を請け負う羽目になったデザイナーのケースを傍で目にしたことはあるけど、幸い僕にはそんな経験はないんだ。”

 “ロックバンドのピンボール企画においては、メンバーのパーソナリティーと作品を徹底リサーチしてる。ガンズアンドローゼズのスラッシュが蛇の愛好家なのに因んでスネークピットスキルショットをデュアルプランジャーで設えたし、メタリカの墓石とトンカチはアルバム「メタル・マスター」「メタル・ジャスティス」がインスパイア元。今作KISSではディーモンマルチボール、ラヴガンマルチボール、グリッドADV、バックステージパス、楽器コレクトって具合にね。それぞれのアーティストの世界観を追体験できるよう、アプローチには十二分に心を砕いてるさ。”

 “何より、KISSは僕らの世代、僕らの青春にとっては眩しいアイコンだからね。企画が立ち上がった時はワクワクしたし、出来上がったプレイフィールドはとても優麗で、これ以上は無いというくらい満足のゆく仕上がりとなったんだ!”


 そうご機嫌に語るジョン・ボーグにとって、Pスタンレーの空中滑空ステージを再現したバックパネル吸い寄せボール浮遊の仕掛け、及びフィギュアのダンス機能、ディーモンヘッドがボール3個を立て続けに口から吐き出すボールロック機構は絶対の自信作。
 重ね重ね、国内ロケーションでは廉価版稼働しか確認されていないのが本当に惜しまれます。

 それでもKISSサウンドのビートに燃えれる熱狂台であることは筆者前述のとおり。
 Pinプレイヤーは勿論、洋楽ファンも一度は触れて頂きたいピンボールであることは間違いないでしょう。


 ところで、KISS完成直後のジョン・ボーグが上機嫌なのにはもうひとつ理由があるようですヨ。

 “今スターン社ビル及び工場がイリノイ州メルローズパークから同イリノイのエルクグローヴヴィレッジへ移転したばかりでね(2015年5月)。まだちょっと落ち着いていないんだけど、僕のオフィスも広くなったし天井は高いしシーリングファンも付いてるし。工場なんか3倍大きくなってフットボール場みたいなんだ。思わずローラースケートとセグウェイ買っちゃったよハッハー!スケートボードをモーター魔改造して社内移動してるヤツもいるんだぜ”

 ……う〜ん、流石優秀メカニック揃いのシンクタンク。クレイジーなファニーガイが大勢いるようですゾ。


▲バンパー地帯。今回はプランジャースキルショットが一切ないので、思い切り打ち出してバンパーアクションを楽しんで頂きたい ▲実は中にスピニングディスクが潜んでおり、ボールの行き先を翻弄。因みに試作版のディーモンヘッドはもっと大きかったそうな ▲ダンス機能が外されたPスタンレーのフィギュア。入口ドロップターゲットがボールをキャプティヴェイトするフィーチャーも除外
▲KISS事務所側としては、スペースマンとキャットマンは誰を描いても構わない、というスタンスだったそうだ ▲当初オリジナルメンバーと現行メンバーの中間として描こうとしていたが、結果的にエース・フレーリーとピーター・クリスになった ▲2本あるランプレーンは当初金属製だったが、予算が浮いたため煌びやかなプラスチック製として仕上げることが出来た
▲スターン社新兵器MPUスパイクシステムのおかげでLEDフラッシュとサウンド処理が極めて鮮やか。これはその後ディスプレイLCD化に備えた地ならしの装備でもあった ▲実はジッドウェア社Jポパデュークデザインの「キッス・マキシマム」なるKISSピンボールが2014年頃から制作されるはずだった ▲しかし結果としてスターン社のパワーゲームでライセンス取得不能となり、ジッドウェアは制作途中で製品化不能という手痛いダメージを負った
▲スターン社のダンクバーグはそれについて、これは不幸な偶然であり、アクシデントだったと声明 ▲ポパデューク氏は才気溢れるデザイナーで人柄の素晴らしさもよく存じ上げているが、当社も伊達や酔狂で多くの社員を雇用している訳ではない ▲結果的にジッドウェア製品を圧殺したことになるがこれもビジネスである。そこはわかって頂きたい……と釈明している

(2017年5月2日)