Gottlieb Pinball/1978未知との遭遇(ソリステ版) | ||
原題 | Close Encounters of the Third Kind (SS) | |
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製作年度 | 1978年 | |
ブランド名 | ゴットリーブ | |
メーカー | D.ゴットリーブ&カンパニー | |
スタッフ | デザイン:エド・クリンスキ/美術:ゴードン・モリソン | |
標準リプレイ点数 | 37万点? | |
備考 | 製造台数:9,950台/エレメカ版あり ※ようつべに動画あるよ!⇒GO! |
▲フィールド下部。この時期のピンボールは満タンにしたアウトホールボーナスのカウントが堪えられないくらい痺れるビッグポイントフィーチャーなのよね | ▲バックグラス。俳優の肖像を前面に出したチャーリーズエンジェルとは逆に、ダイナミックな円盤飛来に重点を当てたアート |
▲トップレーン。勿論プランジャースキルで戦況を有利に運ぶべし | ▲5バンクドロップターゲット。全部落としてロトヴァリューを10Xにしよう。ところで「ヴェガス('90)」と配置がそっくり |
▲ソリッドステイト台の見せ場であるデジタルディスプレイ!因みにエレメカ版スコア表示は5桁+“1万”電球。 | ▲フィールド上部。かつてバンパーはトップレーン往復及びターゲットワンクッション狙いで大活躍だったが、この頃から充実したボールフローにより脇役へまわりはじめる |
▲エプロン部分にはタイトーディストリ当時のインストカードがしっかりと残っている | ▲キャビネットフロント。コインスロット投入口には100円玉マークが。もっと前だと10円玉50円玉100円玉、それぞれの投入口があったんだよね |
●1977年、かのコロンビア映画社(現ソニーピクチャーズ)が、なんと畑違いのはずのピンボールメーカーの大手・ゴットリーブを買収、自社メディアとして傘下に収めます。 大手映画会社がパブリシティの手札として切った機略としては随分奇策と言えますが、それだけ当時上り調子だったピンボールカルチャーが、ひとつのメディアとして一目置かれていたことを伺い知る一幕と言えましょう。 そんなコロンビア映画の威光により、ゴットリーブピンボールはこの時節“シンドバッド虎の目大冒険”の「アイ・オブ・ザ・タイガー('78)」、コロンビアピクチャーズテレビジョン製作の「チャーリーズ・エンジェル('78)」を発表。 同じくセレブリティテーマで1万台以上の製造ユニットを連発していたライバルのバリー社を迎え撃ちました。 そして今回の“Close Encounters of the Third Kind”なんかも、Sスピルバーグ監督作「未知との遭遇」をダイレクトにピンボール化した大作モデル。 美術担当のゴードン・モリソンは、映画クライマックスにおけるデビルズタワー宇宙船飛来場面をバックグラスへ描出。映画のイメージを余すことなくプレイヤーに訴求してみせました。 一方、この未知との遭遇ピンボール、一機種のゲームとしても映画に劣らずブロックバスターな完成度を誇るモデルでもあります。 何と言っても白眉はフィールド上部右に鎮座する、ロトターゲットを重心に置いたダイナミックなゲーム性。 このロトターゲット。近年ではすっかり馴染みがなくなりましたが、かつて'50年代〜'60年代、ゴットリーブ台でよく見かけられた、ローテーション機構のターゲットこと。 これは同社「ドミノ('68)」のページでも解説しましたが、節目節目でガチャガチャとダイヤル式に回転する円盤の一部がターゲットとして盤面上に顔を出しており、それへのボールヒットで役を得るという、アクション性の高いギミックなのです。 ふられたマークや数字を5つ揃えるとEx.、全部当てるとSp.…というのが、まぁ大体の定番フィーチャー。 今回のロトターゲットには200点とか300点とか500点とかのスコアヴァリューが記されており、ロールオーバー通過の度に回転をもよおしては掲示される点数が変化。 そのまま当てても大した得点にならないから、ドロップやトップレーンの完成でココに[10X]つけちゃえ!ワンヒット毎に数千点のビッグポイントが取り放題。 しかもこのロトTには★マークが出てくることもあって、通常なら当ててアウトホールボーナス倍率UPだけど、コイツには前述の役の完成でエキストラボール、さらにスペシャルもかかってしまう!当てろ当てろ〜! それらに平行して、アウトホールボーナスも見る見る上昇。満額2万9千に5X、最高額14万5千点!一攫千金なだれこみ! 怒涛の如きビッグポイントの押し寄せぶりはクセになること請け合い。 かようなプレイフィールドの完成度の高さにも加え、世界的映画公開のロングランにおけるタイアップ性が奏功。ドラムスコアユニットのエレメカバージョンも含め、「未知との遭遇」ピンボールは1万台以上のセールスを記録する好機種となりました。 ところで、コロンビア映画社とゴットリーブとのその後の関係についてですが、「超人ハルク('79)」「バックロジャース('80)」「スパイダーマン('80)」「ジェームズボンド('80)」「ピンクパンサー('81)」「ロッキー('82)」……等々、コロンビアが絡んでるものもそうでないものも含め、TVや映画タイトルを冠したモデルのリリースが、同社からしばらくの間続きました。 ところが、PIN業界全般の低迷によりゴットリーブがタイアップメディアとしての顔が徐々に悪くなってきた時節、コロンビア映画社渾身の企画「銀河伝説クルール('83)」の興収結果が惨敗を喫し、その上ゴットリーブ側も同名のタイアップピンボール“Krull”がプロトタイプの時点でワイドキャビネット及びバイレベル構造の予算超過により製品化し損なう……という痛恨の失策を弄してしまいます。 そんな矢先、コロンビア映画がコカコーラボトラーズ社に売却される事態が勃発。 ピンボール事業の縮小を望んでいたコカコーラに実権を握られたゴットリーブは、1983年には“ミルスター社”へと、社名の変更を強要される屈辱に喘ぎます。 ピンボールのイメージを払拭してテレビゲームのヒット作を世に送りたいとの政策により、名門と伝統のGottliebブランドを社名から外した決断は案の定裏目に出ることとなり、結果ピンボールは勿論ビデオゲーム部門の業績まで著しく停滞させる事態に。 いよいよゴットリーブ消滅の潮時か……と思われた直後にイリノイ州の資産家のギル・ポロック氏によるプラント買収の話が持ち上がり、1984年にはプリミアテクノロジー社としてゴットリーブ伝統の衣鉢が受け継がれることとなりました。 その後、'90年代半ばのピンボール業界における映画コピライト争奪戦に同社が巻き込まれるまでの10年間もの永きにわたり、ゴットリーブでTVドラマや劇場公開映画ネタのピンボールが正規に製作されることは、ほとほとありませんでした。 |
▲トップレーンへ通じる白色ワイドスピナー。分かりづらいが映画に出てくる丘陵道路の地平線が描かれている | ▲プレイフィールド全景。因みにエレメカ版ではアウトホールボーナス倍率は3Xまでしかないが、こちらはマックス5倍。 | ▲フィールド右上ディティール。“We are not alone”は副題。でも個人的には物体Xやエイリアンの方が好きだわさ |
▲左リターンレーン付近のアップ。宇宙人100万光年の微笑みもどうぞ | ▲ロトターゲットのアップ。別名リヴォルヴィングターゲット。ライトの教示がこれまた分かり易い | ▲今度は右リターンのアップ。因みにこの時代としてはボールはそれ程落ちやすくなく、難易度は低い方だ |