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路面が滑りやすい冬道では、クルマの摩擦限界が低くなるので、より丁寧な運転が要求される。
しかし、運転の基本は通常のそれと何ら変わるところは無い。
雪・氷上路面でのスリップの一番の要因は、路面とタイヤの間にできる水膜である。
(そのため、スタッドレスタイヤでは「サイプ」と呼ばれる切れ込みや、気泡入りゴムの毛細管現象を利用してこの水膜を吸い取り摩擦力を維持する)

急加速や急制動時によるタイヤの空転、ロックは路面上の雪・氷を溶かし、水膜を作る要因となる。
そして、タイヤが摩擦力を失うと、クルマは慣性の法則に従い滑り出し、操縦不能となる。

故に、出来る限りタイヤの空転・ロックを避け、クルマを滑らせないよう心がける。

 

<タイヤの摩擦(グリップ)について>

グリップ力とはタイヤと路面との摩擦であり、一つの抵抗である。
タイヤに発生する摩擦は次の3種の総和であり、摩擦力は摩擦係数「μ(ミュー)」で表される。

  • 粘着力(凝着摩擦)
    ゴムの粘着力による摩擦。
    タイヤのトレッド・コンパウンド(タイヤの接地面)との分子結合(アドヒージョン)によって起こる。
  • 凝集力(掘り起こし摩擦)
    タイヤのゴム表面などが引きちぎられる、剪断(せんだん)によって生じる摩擦。
  • ヒステリシスロス(変形損失摩擦)
    弾性によって変化したタイヤが元に戻ろうとして摩擦が生じる。
    タイヤの構造変化による摩擦。

 

<走行路面の状況に応じたドライビングとセッティング>

走行中は常に路面状態を把握し、路面状況にあったドライブを心がける。
(視覚による確認もだが、停車時に実際に足で確かめることも有効である)

-積雪路面-
雪の積もった路面ではタイヤのトレッド面で雪をかきむしる凝集力を利用する。
空転・ロックを避け接地面の雪を溶かさないよう心がける。
-凍結路面-
低温状態での凍結路面は水膜が出来づらいため、意外と摩擦力が得られる。(粘着力)
空転やロックを避け、接地面のに水膜を作らないように心がける。
-アイスバーン-
極端にμの低い路面では粘着力、凝集力は期待出来ないため、ヒステリシスロスに頼ることになる。
タイヤの空気圧を減らすことにより、ヒステリシスロスを増すことが可能である。
場合によってはチェーンなどを利用することも考慮する。
タイヤによっては、クルミやグラスファイバー繊維などを練り込み、凝集力を利用するものもある。
-シャーベット路面-
車高を考え、走行路面を選択する。スタック(埋まる事こと)を避けるため、一定速度で走り抜ける。
ハンドルを取られることがあるので注意する。
-凍結と乾燥の混合路面-
接地面が凍結上にあるのか乾燥上にあるのか、路面上のタイヤの位置を意識してドライブする。
加速、制動、旋回時は出来るだけ乾燥路面を利用する。

 

<低μ路での具体的ドライビング法>
-発進時-
早めにクラッチをつなぎ、アクセル・コントロールに専念する。過度なアクセルに注意し、丁寧な加速を心がける。
(エンストするか、しないか、最微速での発進を繰り返し体得する)
具体的方法
  • アクセル・ペダルの足を緩め、クラッチ・ペダルを徐々に戻し、つないでゆく。
  • クラッチ操作のみで動き出したところが最微速発進である。
  • クルマが動き出したところで、アクセルを少し開ける。
  • 空転するようであれば、アクセルのオン・オフで細かく繰り返し、妥協点を見出す。
-制動時-
タイヤの状態を意識し、ロックを出来るだけ避ける。
エンジンの回転数に合わせたエンジンブレーキが使えるよう練習する。
具体的方法
  • タイヤがロックした場合は、ブレーキを徐々に緩め、ロックする限界点を探し出す。
  • 限界点がつかめない場合、ポンピングブレーキに切り替える。
  • 極端にμが低く、ブレーキによる制動操作が困難な場合はエンジンブレーキを併用する。
  • エンジンブレーキによってロックした場合はギアを一段上げて制動力を弱める。
    (回転に合わせて高めのギアを利用する)
  • 最終手段として、路側帯を利用する。
    (路側帯には積雪があり、走行路面よりもμが高い場合が多い、中央線寄り路面も同じ)

 

-旋回時-
旋回時のブレーキ操作は厳禁である。(正確にはタイヤのロックが厳禁)
タイヤは回転することによって進行方向が定まるのでロックさせてはならない。
具体的方法
  • 危険がなければ、出来るだけ走行ラインをイン側(内側)に取り、横滑りに備える。
    (万が一タイヤがロックした場合、慣性の法則に従い、アウト側(外側)に滑る)
  • 進入速度が高過ぎた場合、出来るだけハンドルを切らず直線を長く取り、直進状態でブレーキを使う。
  • 過度速度で旋回状態に入ってしまった場合、ポンピングブレーキを使う。
    (ただし、操舵輪のロックは最小限にとどめる)
  • 最終手段として路側帯、中央線付近の圧雪を利用する。

 

<注意点>
タイヤがロックした場合エンストする。
その時は焦らずに一段高いギアに入れて、押しがけ状態でエンジンを再始動する。
また、滑っているのでエンストに気づかない場合があるので注意する。
安全な場所でエンストを経験しておくことで緊急時のパニックを防げる。

制動時は後方車両からの追突が考えられるので、あらかじめ前車との車間を空け、逃げ道を確保する。
信号など、停車時はルームミラーで後車の動きを確認し、緊急回避に備える。

<最後に.......>
たとえ、衝突直前であっても最後まで回避を諦めてはならない。
諦めることは、ドライブを放棄することであるから。

 


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