![]() | Barrels of Fan/2023ラビリンス〜魔王の迷宮 | |
| 原題 | Jim Henson's Labyrinth | |
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| 製作年度 | 2023年 | |
| ブランド名 | バーレルズ・オブ・ファン | |
| メーカー | バーレルズ・オブ・ファン | |
| スタッフ | プレイフィールドデザイン:デヴィッド・ヴァン・エス/メカニクス:トラヴィス・モーズマン/ルールデザイン:フィル・グリマルディ、ボウエン・ケリンズ/ソフトウェア:エリック・プリープキー/美術:ジョニー・フレイザー=アレン、ジョナサン・バージェロン、ネイト・ヘラン/LCDアニメーション:トレント・アームストロング | |
| 標準リプレイ点数 | 3,000万/実働ノッカー,音声ノッカー共に無し | |
| 備考 | 2023年10月発表 | |
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| ▲このエプロン部分も含めアートワークが大変に麗しいのだが、同社はピンボール産業経験者に拘らず、世界中からラビリンス通を抜擢している | ▲故デヴィッドボウイ扮するジャレス王が不敵にほほ笑むバックグラス。LEDが舞うような照明付きスピーカーにもご注目あれ |
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| ▲ジャレス王お見通しのオーブ内には市内に攻め入るディディモスやホグル達の姿が。あれ?サラがいない。ジェニファーコネリーはどうした! | ▲スカルプチャ、盤面アート、バックパネルLCD……とこちらも鮮烈で目も眩むまばゆさ。メインLCDと連動するデュアルディスプレイシステムも効果的。 |
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| ▲サイドループ,サイドランプが高架下に。自分がこびととなって駆け回りたくなるようなプレイフィールドデザインだ。 | ▲こちらもお見事。シアターオブマジックを彷彿とさせるホースシューの間には賢者が佇み、その手前にスクープを遮る1枚ドロップターゲット。 |
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| ▲ゴブリンシティーの街並みも再現。家の尖塔からルードーがにょっきり頭を出す、映画名シーンの再現もあり | ▲左下スクープ。ここは手の大群の落とし穴の再現となっている。Ex.ライトやマルチボールも有り |
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| ▲芋虫ポケットレーン。“中に入ってお茶でもいかが?”とミステリーボーナスをくれる。 | ▲ホグル,ルードー,ディディモスがプレイヤーのお助けキャラとして大活躍。やっぱりサラがいない…… |
| ●傑作としか言いようがない。海千山千のピンボールプレイヤーを自負する私が、この機種に出会って非常に驚いている。 先ずバーレルズ・オブ・ファン社なる、聞いたことも無いようなピンボールメーカーの正体は何なのか。 2023年当時、同社処女作「ラビリンス」発表当初。各PINメディアでは 『謎のメーカーを自称していた新規カンパニーがラビリンスをひっさげていよいよEXPOでヴェールを脱ぐ!元スプーキー社スタッフによる立ち上げ』 などと報じられていたので、“尖り過ぎたライセンスの趣味が合わずチャーリー・エメリーと袂を分けて独立したのか”ぐらいにしか思っていなかったし、その仕上がりも初期のスプーキー製と同程度の、信頼性の低いものであろう―――と高を括っていた。 しかしその第1作目発表から2年もの月日が流れ、地道なファクトリー生産とディストリ販路の開拓を経て、日本のピンボール聖地《SilvaerBallPlanet》に、なんと矢継ぎ早に発表された同社次作「DUNE〜砂の惑星」と同時入荷を果たしたではないか! 同社と同2機種の全貌が明らかになるにつれ、その完成度の高さに地元大阪人や日本のプレイヤー達は慄然。スターンやジャージージャックら現行大手ピンボールメーカーらの商品となんら遜色も見劣りも無い、その凛々しい完成度と細密なゲーム性、ボールフローの切れ味、筐体の美貌には舌を巻くばかり。恐れ入る。 バレルズ社が処女作として選んだライセンステーマの慧眼も興味深い。 1986年の映画「ラビリンス〜魔王の迷宮」はマイルストーンな傑作では無いが愛らしい逸品で、日本での劇場公開、ビデオ発売、テレビ放映で十分話題となった佳作。AppleUやファミリーコンピュータ用ビデオゲームソフトも当時発売されている。 反りの合わない継母に気を遣いながら、“ゴブリン王と対峙するプリンセスの演劇”を稽古していた孤独な少女サラ(ジェニファー・コネリー)。 そんな彼女の元に、劇のセリフで本当に呼び寄せられてしまったゴブリン国の王ジャレス(デヴィッド・ボウイ)が現れ、サラが子守中だった赤ん坊の弟を攫ってしまう。 弟を返して!と懇願するサラに、 “返して欲しければラビリンスを抜け、ゴブリンシティーの城まで来るがいい。13時の時計が回り切ればこの赤ん坊はゴブリンとなる” と言い放ち、霧のように消えてしまう。 かくして、所帯持ちで紅茶好きの芋虫、ご神託を述べつつおしゃべり帽子からツッコミを入れられる古老の賢者、克己心の弱い浮浪者ホグル、気は優しいが毛むくじゃらの巨漢ルードー、誇り高き小型犬ディディモス騎士爵ら個性豊かな人外達に助けられながら、ジャレス王の城を目指すサラの不思議な冒険が始まる―――。 恐らく他社ピンボールメーカーは先ず採用しないであろう、今や忘れられていたこのいじらしい映画の許諾を購入し、商品化を決めたバレルズの英断には喝采を送りたい。 「ラビリンス」にはリブートや続編のIP更新が無く、現行世代にはまるで知られぬコンテンツとなっていた。作品の生みの親ジム・ヘンソンが'90年に53歳の若さで急逝したことも痛手だっただろう。 確かに子供向けに作り過ぎていてお話が弱く、10年程で埋もれてしまった映画なのだが、登場するマペットらの造型や世界観は素晴らしい。 ジャレス王の変身した姿であるシロフクロウがサラの部屋の窓辺に飛来する場面は、まるでハリーポッターを10数年先取りしたかのような映像で目を見張る。 それでいて、ジム・ヘンソン監督の「ラビリンス」はデヴィッド・ボウイの映画であり、バレルズの「ラビリンス」はデヴィッド・ボウイのピンボールでもある。 バックグラスアートではボウイの肖像が堂々たる偉容で麗々しく描かれ、LCDとサウンドには彼の姿も声もふんだんに取り込まれている。ゲームにおけるカリスマ性もバッチリだ。 映画制作時にボウイの手によって書き下ろされた挿入曲5曲もしっかり使用許諾を押さえており、特に「マジックダンス!!!」 「チリーダウン」が用いられたマルチボールはゴキゲンだ。 ところが、ボウイ同様物語上不可分であるはずの、主人公サラを演じたジェニファー・コネリーの肖像がごっそり消されている。これは肖像許諾が得られなかったことを明白に物語っている。 ピンボール制作サイドは、ジム・ヘンソン社はこんなにも良くしてくれた、デヴィッドボウイ財団から協力を得られた……と朗々と語っているのに対し、そんな訳無いのに “これはプレイヤーがラビリンスを体験するゲームなので、サラは必要ないと判断した” とだけ弁明して、それ以上触れたがらない。ジェニファー・コネリーの名前すら口にするのを慎重に忌避している。 つまりこれは、ジェニファーコネリー及び彼女のエージェントからラビリンスの肖像使用を固辞されたということ。 コンタクトを取らせては貰えたが、その協議内容は一切口外しないよう機密保持契約書にサインするのが前提だった為、バレルズはジェニファーに関して何一つ口にできない。話題に触れることすらリスクを伴う立場にある。 本当は推断で書くべきでは無いのだが、それらの実相は、正に状況証拠が如実に顕わしてしまっているのだ。 では、ジェニファーコネリーという女優は元々気難しいトラブルメーカーなのか。いやそんなことは無い。 映画会社や監督や共演者と衝突した噂は一切聞かないし、不倫スキャンダルとも無縁。勿論ドラッグや飲酒運転などの逮捕歴も無い。 ただし、本人は四角四面、つまらないくらい杓子定規な性格で、非常に生真面目過ぎるひとのようだ。 俳優の道は本意では無かったのに、'80年代前半に僅か11歳で子役,アイドルとして突然表舞台に立たされた。 その後永らくの低迷を経験したのち、あの「アポロ13」のロン・ハワード監督作「ビューティフル・マインド」で2001年のアカデミー賞を受賞。その時のスピーチ内容も “愛を信じている” “家族に感謝している” と、まるで優等生が教科書か聖書を朗読するような堅苦しい内容を、静謐な美貌で冷静且つ淡々と読み上げ、聴衆が肩透かしを食らっていたのを覚えている。 同じ回の舞台でハリー・ベリーとウーピー・ゴールドバーグの熱血ぶりが話題となった年だったので尚更のこと。 本当に物静かで真面目なひとのようだ。 映画俳優として演じた人物を、預かり知らぬところでゲームキャラとして動かされることを嫌がる俳優は珍しくない。 '93年版インディジョーンズPINの時のハリソン・フォードもそうだった。映画は映画、ゲームはゲームだ、と。 恐らく彼女もそうだったのだろう。ひょっとしたらジェニファーは未だに「クロックタワー」のことを怒っているのだろうか。 まぁそれは横に置こう。済んだことは仕方がない。 筆者はラビリンスPINの余りの面白さに入荷から2ヵ月程打ちっぱなしで他機種が手につかない状態。この熱気をそのまま込めてフィーチャー解説をしたためてしまおう。 【ブリックキーパー・マルチボール】――――――誰にでもチャンスがあるマルチボール。キャプチャーボールをぶち当てスピナー回してスーパージャックポットを叩き出せ! 3Ball目で必ずリーチとなる3ボールマルチで、狙い目は緑の三角ボールロックライト箇所。マルチ開始後のスーパージャックポットは、左オービット入口に放り込んでそのまま捕らえられたキャプチャーボール。コレをアナザーボールでおはじきショット激突成功で獲得。奥のスピナーでヴァリューは上昇。初回は100万弱だが、繰り返せば額は鰻登り。尚スーパーJPは各レーン赤アローのジャックポット獲得によりキャプチャーは再び有効に。 本来ならこのマルチボール開始条件は点在する緑のスタンダップ完成で1個1個ボールロックしてスタートする役なのだが、'90年代のデータイースト台の様に、3ボール目にお情けサービスでリーチ状態にしてくれる趣向だ。 尚、スーパーJP3回獲得で重要アイテムのオーブが点灯する。 【フレンド・マルチボール】――――――ホグル,ルードー,ディディモス集結で高額JPマルチに突入 左下スクープにかかる3ボールマルチ。スタート時に片方ボタン長押しでキャンセルも可。 このマルチの最中は、黄色/ホグル、ルードー/茶色、ディデイモス/青ライトを全てしとめれば同スクープにフレンドジャックポット点灯。各色2箇所ずつの全6箇所の点灯だが、1か所通せばその色はコレクトなので3か所でOK。JP額は初回でも300万前後となかなかの上玉。 1度でもフレンドJPをしとめればオーブ点灯。かように色々と有利なので勿体ぶってキャンセルせず即突入してよし! フレンド収集フィーチャー詳細は後述するが、レギュラー時に色別で点灯、連続コンボを通していくうちに、ホグルみつけた!ルードーみつけた!……とバックパネルLCDにまばゆく表示されるので分かり易い。 【場面モード】――――――6か所のエピソードで6つのヘンな奴らと対決! 右上ホースシューor賢者スクープで開始される6つの場面モードイベント。どれも難しい上に点数もあまり高くないのだが、完遂によるオーブ点灯が大変に重要。進捗によりウィザードも有り。尚モードが点いていない場合は白アロー箇所でL-A-B-Y-R-I-N-T-Hのレターを完成させれば良い。但し回を重ねるごとにレター完成が面倒になってゆく。アイアンメイデンの様に。 モードの内容は以下の全6種。クリーナーズ、ポイズンピーチ以外に時間制限は無し。 [地上モード] ・ノッカーズ………点滅/点灯黄色アローに従って進捗。点滅は点灯側ヴァリューの2倍だが気にしている余裕は無い。中でも1枚ドロップターゲットが立ちはだかる賢者スクープの黄色ショットがとても厄介。一度倒したドロップが15秒ほどでがすぐ立ち上がってしまうのだ。マルチボール並行を推奨。 ・4人の門番………赤ライト青ライト、どちらか一方だけ3回通したのち右ホースシューでクリアなのだが、どちらかが本物で、どちらかが偽物。二人居る黄色に訊くと“赤/青が本物だよ”と答えるが、そいつらもどっちかが虚言なので正解かウソかは結局分からない。間違った色を通し続けた場合はファイナルショット時に“大間違い!やり直し”と表示される。スコアも稼げていない。芋虫のミステリーでどちらが本物かが聞き出せるのでソレを使うべし。マルチ並行非推奨。 ・ファイヤリーズ………アドアボールマルチ。景気づけに絶好。先ず左オービットおはじき装置に自動でボールキャプチャーされるのでそれにドカンと当てればアドアボール発射。更に赤ライトをやっつけてキャプチャーを最有効化、おはじきヒットを繰り返して更にアドアボール。5回おはじきショット成功でオーブ点灯だがその後も稼げるゴキゲンなフィーチャー。 [地下モード] ・永遠に屁をこく沼………オレンジ点灯箇所5回通す。左ランプ⇒右ランプ⇒左オービット⇒右入り口ホースシュー⇒右オービットで完遂。但し、誤って緑の点灯箇所を通してしまうと沼に落ちたこととなり、モードは続くがご褒美のオーブはもらえない。尚この緑の沼に落ちると体が永遠に臭くなる呪いをかけられる為、ハイスコアやネームまで永年緑色によどむのだった。マルチ併発非推奨。 ・アウブライツ………同じ個所へ2回連続ショットが課される。他の有効箇所を通すと前回ショットは無効化されてしまう。有効箇所は左右オービット、左ランプ、中央ランプ、ホースシュー、の5箇所。シングルボールである程度進捗させてから苦手な箇所をマルチ併発でやっつけるのがベスト。 尚“開け閉めの度に行き場所が変わる扉”は映画本編でも登場するが、サラの部屋,ジャレスの城内,子守部屋が次々と開けられるファンタジカルな趣向は、このピンボールのオリジナル。ラビリンスというより「ハウルの動く城」みたいだ。 ・クリーナーズ………3連続ハリーアップ。左オービットでカウントダウン開始、右オービットで獲得。3回しとめたとしても総額500万超えないとオーブは貰えない。マルチ併発よりボールロックとの一挙両得手順でうまく片付けると効率的。 [モードウィザード] ・ポイズンピーチ………地上/地下のモード3つを踏破するとこれがネクストモードとしてかかる。終始完全ボールセーヴ保証付のきシングルボールウィザードなのでドレイン終了の心配が無い!心置きなく臨める。時計が13時を過ぎるまでに、左オービットドロップ2回、賢者ドロップを2回倒す。尚この間左右ランプでそれらのヴァリューが上昇する。総額1千万以上は堅いが、完遂クリアによるオーブ点灯のご褒美は無し。 尚映画本編では、“この舞踏会はまやかしだわ!”と気づいたサラが、幻想を勇ましく叩き割っている。 ・ゴブリンシティーマルチボール………地上地下全6モード踏破後、左オービットに掛かる。打ち応えたっぷりの3フェーズ構成。 1フェーズ目はシングルボールスタートで、左右ランプレーン⇒左オービットおはじきショット成功でジャイアントゴーレムを倒し、左ランプのリフトスロープ内へ突入! 2フェーズ目は3ボールマルチ。4ヶ所青ライトを全部やっつけ、左下スクープ,賢者スクープ,中央ランプ3か所それぞれに3個全てボールロックすべし。 3フェーズ目は6ボールマルチ。メジャーショット全箇所がジャックポットで、賢者スクープがスーパージャックポット。このスーパーJP5回獲得でオーブ点灯。 尚、フェーズ1,2で失敗した場合、ゴブリンシティーウィザード内1回限りで10秒以内のリスタートチャンス有り。 どのフェーズも映画本編にうまく準えてある。“ゴーレムの扉が開いたー!わっせ、わっせ、ウォ〜突入〜〜!!撃てー!!突撃ィ〜!!”と、大いに盛り上がって抜群に楽しい。 ところで、地上モードか地下モードかは、リターン/アウトレーンH-E-L-P完成後のスクープにかかる[手の大群]ヴァリュー獲得時に切り替え選択が可能だ。 有益なファイヤリーズを先にやっちゃうか?それともXを上げてからにするか?厄介なノッカーズはマルチ併発で始末すべき!いやいや地上地下同じ3連続で毒桃早目にやっておかなきゃ……などなど、戦略を熟考しよう。 【賢者の難題】――――――制限時間の無い課役なので開始しておいて損は無し。報酬にはEx.リットも! 1枚ドロップに遮られた賢者スクープにかかる。“ランプレーンを5回通すがいい”“スピナーを50回転させなさい”“スタンダップを10回ヒットすべし”などと課題がランダムに出される。それらをこなした後はもう一度賢者スクープでご利益獲得。 貰えるご利益の方はランダムでは無く順列で、@回目フレンジー+ボーナスXマルチプライア、AEx.リット+ボーナスXマルチプライア、B回目フレンジー+ボーナスXマルチプライア、C回目は賢者マルチボール開始(筆者未踏)。 尚フレンジーは全スイッチ高得点ではなく、フレンジーアイテムヴァリューがどこかに恒常で点きっ放しになる…という、通念とはやや異なるもの。 【フレンド収集】――――――コンボショットで3人の味方を揃えてパワーアップ! 黄色/ホグル、茶色/ルードー、青/ディディモスへの、初回ワンショット,2回目以降コンボショット成功でフレンド各位を獲得。獲得後は同じ色へのショットでフレンドアイテムヴァリュー獲得。更に左下スクープで各位少額フレンドジャックポットも獲得できるし、前述のフレンドマルチボール開始も有難い。 またフレンドLevelは1〜4まであって、収集する度にとても有利な役となる。但しコンボショットの必要回数ものしあがる。 [ホグル]………役の進捗手助け人。 @L-A-B-Y-R-I-N-T-Hレター一度の進捗が2文字に/Aロックリット条件がお隣り同士緑スタンダップどっちでもOKとなってイージーに/Bフレンドアイテムヴァリュー2X/Cオーブ点灯 [ルードー]………ヴァリューの倍化担当。 @モードスコア2X/Aブリックキーパーマルチジャックポット2X/Bフレンドジャックポット2X/Cオーブ点灯 [ディディモス]………ボールセーヴやアドアボールの護衛担当。 @HELP完成後左アウトレーンボールセーヴ発動Aマルチボール時左下スクープでアドアボール発動B各ボールセーヴ5秒追加Cオーブ点灯 【芋虫ミステリー】――――――サイドフリッパー内側ポケットに発動するランダムボーナス。実は重要! 賢者スクープ入口両脇スタンダップ完成で点灯。内容は、フレンド獲得/フレンドアイテムヴァリュー獲得/賢者の難題一発クリア/スコア75万点/ティータイムマルチボールがリフトスロープ内に時間制リーチ、など。 但し3回目は必ずExリットが得られる。また、[4人の守衛]モード発動中の場合は赤青どちらが本物かを訊き出せる。ティータイムマルチは点数が低いものの、マルチボール発動自体に十分救われる。 “サイドフリッパーを開けておいて、ボールを叩き込んだ瞬間フリッパーを閉じる”という技巧が必要なフィーチャーだが、慣れれば難しくはない。また右フリッパーリターンの安全なボールフローが確保できるので、点いていなくとも狙って損はない。 【オーブ】――――――あまつさえ1個1千万。しかもレーンXパーマネントマルチプライアが極めて重要! 場面モード完遂やマルチボールスーパーJP確保などで、芋虫ポケットに点灯するオーブ。1個1千万の価値があるのみならず、獲得直後、全メジャーショットが虹色に煌めくので、どれかをしとめると、そのレーンではどんなボーナスも2Xとなる。繰り返し同じところばかり狙えば3X,4X……と急騰。おすすめは左オービットか左ランプ。 このレーンXマルチプライアはそのゲーム中なら永年有効。KISSやガーディアンギャラクシー等ジョンボーグの台で似たルールはあったが、X効力がパーマネントで乗数もアンリミテッドというのが何とも凄まじい。 尚、オーブ13個獲得でファイナルウィザード進出。 【ジャレス王と対決/ファイナルウィザード】――――――あなたに力などない〜サラの気丈な心の逞しさでジャレスの魔力を奪え 13個のオーブを集めると、虹色Xショット決定後左右オービットにこれがリーチ。シングルボール勝負で、アローの啓蒙に随ってYOU-HAVE-NO-POWER-OVER-MEのレターを根気よく2巡完成させるとジャレス討伐。但しボールドレイン、もしくは13時の時計が過ぎる度に13あるオーブをひとつ失い、全てのオーブが尽きるとプレイヤーの敗北。 フェイズ1では黄色アローを全部やっつけた後に光る赤アローをしとめると、YOU/HAVE/NO/POWER/OVER/MEのレターが6段階でかたどられる。 フェーズ2では1箇所だけ灯る赤アローをしとめてレター6段階を点灯させるべし。倒せても負けてもGameOverとなる。 (筆者未踏、IEチャンネルのスーパープレイヤー動画で確認) 【スキルショット】――――――手動プランジャーの打ち加減によりスコアも戦況も優勢に運ぼう 各ボール開始時、最も緩めに打って芋虫ポケットに落とすもよし、サイドフリッパー袂に落としてサイドレーンやサイドターゲットや中央ランプを仕留めるもよし、もっと微妙な打ち加減で最奥の穴にポコッと落とすもよし。どれを狙ってもそれなりのスキルショットボーナスが貰える。 しかしスコアよりも大事なのは戦況。芋虫ポケットは安全な右フリッパーリターンが得られるので、結局コレが一番オススメ。 恐ろしくタフで、噛み応えがあって、一筋縄ではいかぬ。全く上級者向けの難物である。 アウトレーンが極端に落ち易いだけでなく、左右スリングショット反応が過敏過剰。 ボールがラバーを少しでも撫でようものなら、オラオラオラー!と竹屋の火事の如くバチバチとハタキまわす非情さで、 『デッドに、リヴィングキャッチに、トラッピングに、ループパス!』 と上級者は球威もスピンも荒ぶる球をなんとか鎮めようと必死。常に針の先程に神経を研ぎ澄まし、デッドフリッパー先端ギリギリで際どく受けとめようとしたのに、逆スピンで無残にドレイン…なんて日常茶飯事。やってて血管が切れそうだ。 おまけに、どのレーンも通りにくいこと打ちにくいこと。安全確実に狙えるポイントなどひとつも無し。 レーン構成がきつきつ,みっしりで、どんなに慎重にランプレーンやオービットを打ってもミスショットで跳ね返ってくる。 芋虫ポケットやスクープも含めるとメジャーショットが所狭しと11箇所も設えてあるだけあって、スイスイ容易く通らせてくれる寛恕はない。フリッパーショットの際は兎の毛で突く程の僅かな誤差も許されない。極めて峻厳。 加えるに、SBPでは早くも日本の湿気に盤面が負け始めており、右半分の反りかえりが始まっている。ぬるっと右アウトレーンに引き込まれやすくなっているのはこの為!たまったものではない。 しかし、筆者にはこの苛烈過ぎる難易度がピタッと嵌った。世界観もボールフローも含め、楽しくて面白くて仕方がない。 キャプチャーボールをそのまま衝突球として転用し、ドカンとニュートンボールおはじきショットを成功させ、更に奥のスピナーを感応させてジャックポットが伸し上がるブリックキーパーJPも勿論楽しいし、 “おれホグル!おいらルードー!拙者ディディモス騎士爵であるぞ!” などと演じられるフレンドマルチ開始時のデモには、そのキャラクター達の愛苦しさに思わず鼻の下が伸びる。 ファンタジカルな映像と音楽も素晴らしく、ラビリンスという映画の世界観に新たな息吹が吹き込まれたと言っていい。ピンボールとの親和性が抜群なのだ。 トランプの絵札の如く上下に頭があってペラペラと虚言する門番達や、景気よく踊って騒ぐだけのファイヤリーズ、これまたペチャクチャしゃべり出してうるさいドアノッカーのおじさん2人組。 人間じゃないのに人間臭い奴らが、プレイヤーの前へ幾度となく立ちはだかる。 『3箇所ショット成功させた後のファイナルは右ホースシュー?しかも二分の一で赤青どっちか嘘つきだと?いい度胸だ不足はない!さぁ来い!!』と腕が鳴る。 プレイフィールドバックパネルLCD搭載により、戦況も分かり易くなった。 鮮やかな黄/茶/青色ポップアップ表示で、パーッとまばゆくフレンドコレクトが表示される。特にフレンジーの際はディデイモスらがトコトコ画面を横切っていくのが愛らしい。 このバックパネルLCDは、目線を遮らないようにフィールドをデザインせねばならないという欠点もあるが、利点が大いに生きている。 プレウィザードも、麗しの仮面舞踏会でデヴィッドボウイとチークダンス!?ゴーレムの扉を開けてゴブリンシティーでおマヌケな兵隊たちと戦闘開始!!などなど。楽しいったらない。 何といってもマジカルでトリッキーなボールフローがお見事。 普段なら猛スピードでUターンしてくるホースシューだが、モード有効時は球が一瞬で姿を消す。直後、まさかの位置からキックアウト。しかもホースシュー突入口が左か右かでボールが出現するコースも異なる不可思議さ。 左オービット、右オービット、中央ランプレーンも、ボールロック時には瞬時にパクっと振り分けられ、気づけば猛スピードでリフトスロープ内部から剛速球で叩き出されるので油断ならない。 この機種にはマルチボール実働ロック機構が無い。にもかかわらず、ボールロックの手応えを十分感じさせる施しはお見事。 ハード/ソフト両面の欠陥によるボールスタックが多かったり、同じくボール通過を認識しない不具合もハード/ソフト両面で時折起こる……等の問題点も少なくないのだが、立ち上げ第1作目としてこれだけ完成度が高ければ御の字に尽きる。 勿論ゲーム性も全幅に精良。ディヴァーターをフル活用した各レーン各ポイント、フレンド,ボールロック,賢者,芋虫,オーブ,意地悪な場面モードと各ウィザード。遍く並行し、連動させ、劇的な活躍の連鎖反応を采配している。 特に、2X3X4X……とオーブで左オービットのスコア倍率がのし上がった時の、マルチボールとプレウィザードは沸騰する程熱い! 惜しまれるは、ファイナルウィザード[バトルジャレス]が地味。 エッシャーのだまし絵の様な三次元トリックアートの城内を赤ん坊が重力を無視して這い回り、ジャレス王もまた重力を反転また反転させながら縦横無尽に現れては消える。サラは戸惑いながら弟トビー追って必死に彷徨う―――という映画のクライマックス場面。 この視覚的にトリッキーなシーンをピンボールで表現するなら、二番煎じであろうと、流行りのフリッパーリバースを用いるべきだった。「フーディーニ」や「ラッシュ」の様に。 またジャレス討伐後には絶対巻き起こって欲しいはずのヴィクトリーラップマルチボールが無い! 無事弟を取り戻し、“サラ、さよなら。忘れないよ……”皆と惜別の時が来る―――かと思いきゃ、サラの部屋でゴブリン一同と突然の祝賀パーティーの大騒ぎが始まるのが映画の結末なのだが、サラの肖像が使えないとしても、ここは絶対6ボールのセレブレーションマルチ等を用意すべきだった。 筆者の真贋判定?勿論5点満点で★は5つ。10年遊べるマスターピースだ。発売から時間が経っているのでコードも仕上がっている。SBPでの新品コンディションを見逃すなかれ! さて、突然斯界に現れたバーレルズ・オブ・ファン社、略してバレルズの、このラビリンスPINのデザインチーフは一体誰なのか。 名はオーストラリア出身のデヴィッド・ヴァン・エス。なんと同社のCEOも兼任している。 ピンボール産業における直近キャリアとして、彼はスプーキー社でLCDアニメーションチーフ及びゲームデザイナーを7年間務めているが、それだけではない。非常に興味深い歴程を歩んできた、臥薪嘗胆の人なのだ。 デヴィッドが初めてピンボールを打ったのは'90年代、建設業を営む父に釣り堀へ連れてこられた12歳の時。 そこに置いてあったのがデータイーストピンボール製「スター・ウォーズ」。 3Ball目でデススター内に球を打ち込むと、緊迫感のあるデモとサウンドが演ぜられ、マルチボールが炸裂した。その時、人生が変わる程の衝撃を受けたという。 ―――そうか。だから、ラビリンスでも3球目でマルチボールが必ずリーチになるのだ。 夙成していたデヴィッドは、祖母のブドウ園で働いたお駄賃と、父の仕事を手伝って得られたお駄賃をもかき集め、そのスターウォーズPINを購入してしまった。 更にそのスターウォーズをロケに設置し、ピンボールプレイも修理もビジネスも、並行して急速に学んでいったというから驚きである。 因みにデヴィッドは15の時、デコスターウォーズをたたき台として初めてピンボールマシンを作ったが、よく感電して何度も酷い目に遭った。よってラビリンス筐体を開けても決してユーザーが感電しないよう心を砕いたそうだ。 次にとりこになった機種は「シアター・オブ・マジック」。 そう、一瞬で球が姿を消すラビリンスのマジカルなボールフローの原点はシアターだったのだ。 そのシアターも勿論購入。その後も「テイルズ・フロム・ザ・クリプト」「ドクター・フー」「トワイライト・ゾーン」を次々と購入してはロケ先に置いてまわった。10代でいっぱしの少年オペレーターだ。 ところがその後、ピンボール産業に訪れたの市場の凋落は手の施しようが無く、デヴィッドは失意の中、所有するピンボールマシンの売却を進めた。映画学校に進学し、25年間映画とテレビの仕事に携わり続けた。 年長プレイヤーなら誰しも同情するであろうピンボール空白期間。筆者も痛い程気持ちが分かる。特に2000年代は辛かった。 しかしピンボール愛の突然の再燃は、映像編集のデスクトップワークに飽き飽きしていた2010年代初め頃。 ミズーリ州で友人の結婚式に赴いた際、そこでたまたま見かけた販売店でピンボールを衝動買いしてしまう。 ―――そうだ、俺はフィジカルな現場作業がしたいんだった。実働する機械をもっといじりたい! この時、一挙ピンボールラヴのやけぼっくいに火が点いた。6か月後にはコンテナ一杯のピンボールマシンを購入。修理、収集、フルレストアと大車輪。歯止めが効かぬピンボール野郎が再誕した。 折しも、ジャージージャック社がフルサイズLCD搭載の「オズの魔法使」ピンボールを発表して賛否両論を浴びていた時節。 もしかしたら自分もピンボールの作り手になれるかもしれない……という展望を抱いた。しかし道のりは険しい。 尊敬するジョン・ポパデュークがジッドウェア屋号で「マジックガール」制作費を醵金で募り、制作スタッフを探しているのを聞きつけ、LCD担当を名乗り出てリモート作業として携わった。 本業を終えた夜の8時から午前2時まで、マジックガールLCD映像作成に半年間身を削った。 その後ポパデュークが破産し、得られた給与はゼロ。 デポジット購入者からすれば悪質な踏み倒し。ピンボール界隈で大勢からの怒りを買ったが、 “彼は僕のことを敬意を持って接してくれたし、リスクは承知の上だった。本当に良いものを生み出そうという意思が彼にはあったと思うし、仕事も楽しかった。だからジョンのことを恨んだりはしていないよ” と後日語っている。 めげずにデヴィッドは各メーカーへ自分を売り込んでまわった。 “映像の仕事はお手の物だから是非LCDディスプレイを任せて欲しい”。 すると拾われた会社は(残念ながら)ディープルート。 そこでディープルート版マジックガールや「レトロ・アトミック・ゾンビ・アドヴェンチャー・ランド」「アリス・イン・ワンダーランド」に携わることとなった。 悲しいことにその会社は破滅へと向かったが、そこで才能豊かなデザイナー、エンジニア達の薫陶を受けた。故バリー・オースラー、デニス・ノードマン、ジョン・ノリスはその筆頭。かのポパデュークとも一緒に仕事をした。 但しディープルートでは幸か不幸か非正規雇用だったので、他社からの仕事をも受け続けた。 その後漸く根を下ろすことが出来たのはスプーキー社だった。同じくジッドウェア時代のマジックガールに携わっていたベン・ヘッケンドーンと再会、彼の仲介で雇用されたスプーキーでの活躍が始まる。 当初ディスプレイ映像を担当したが、メカニクスや設計にも明るいデヴィッドのこと。やがてゲーム開発中心メンバーの一員へと加わった。 勿論映画やTVアニメライセンシングでは明敏さを発揮。7年間同社の屋台骨を支え続けることとなった。 映画、映像に強いこともあり、チャーリー・エメリーと共に「ロブゾンビ」「ドミノピザ」の脚本を書き、ディスプレイ映像を担当している。 あのドミノピザの、とびきり楽しいアニメーションの絵コンテは、実はデヴィッドが手掛けたものだったのだ。 この時デヴィッドは、ピンボールを作るのに必要なのはオールラウンドの知識と才能のみならず、人とのつながり、友情、人脈であることに気付く。 ジッドウェアやディープルートで費やした時間と労力も、決して無駄な徒労ではなかったのだ。 その後世界を蝕んだコロナ禍は、むしろデヴィッドにとって決定的な転機をもたらすことになる。 “これからの世界がどうなるか分からない。皆仕事を失って苦しんでる。スプーキーもスターンもどうしていいか分からず立ち往生している。ここは自分で立ち上がるべきじゃないのか!” 5年規模の計画を立てよう。ピンボールの仕事をしたがってる連中をたくさん知ってる。そいつらを掻き集めて開発に入るぞ。ピンボール化の可能性が見込まれるライセンス企画を携えている映画業界の仲間たちもいるから心強い。 制作は完全シークレットだ。ローンチパーティーを楽しんでもらおう。廉価版や豪華版などの複数ヴァージョンの乱発は無しだ。結局通常版はつまんなくなってたからな。 記念すべき第1作目は、子供の頃から大好きだった映画―――「ラビリンス〜魔王の迷宮」だ! ビデオレンタルで借りに行ったついでにその店に置いてあったウィリアムスのT2を打ち、返しに行く時もT2を打ったんだ。今度は俺がラビリンスのピンボールを開発してやろうじゃないか! こうしてバーレルズオブファン社ががスタートした。 会社の立ち上げはデヴィッド一人の独断では無く、頼もしい腹心がいた。ブライアン・サヴェージだ。 大事にしていた「ドクターフー」筐体を、サヴェージに懇願されてデヴィッドが売ったのがフレンドシップのきっかけだった。 実はこのサヴェージ。ハズブロのライセンスを使いこなし、GIジョーやトランスフォーマーのおもちゃを手掛けるやり手のクリエイター。コンベンション、コレクター界隈でのちょっとした顔役でもあった。 ヒューストンは製造業に適した土地だ。ピンボールメーカーが現れた前例はないが、北米拠点として意義深い。流通網にも望みがわく。シカゴでなくてもうまくいくはずだ。 但しビジネスプランニングは慎重を期した。 ここ数年安易なデポジットなどで火の車と化し、結局はバンクラプトを迎えたピンボールメーカーを嫌と言うほど間近で見て来たからだ。 これらの失敗例は何か原因だったのか。デヴィッドとサヴェージは腰を据えて検討した。 クラウドファンディングは厳禁。商品開発は秘密厳守。タイトルは勿論、出来上がるまで社名すら漏らさない。 そして、必ずや完成品を箱に詰めて購入者に送り届けることを絶対的な目標に据え、長期スパンの計画を練った。 ついぞ歩き始めたバレルズ社のピンボール開発。 しかし、映画「ラビリンス」の許諾購入は、決して楽では無かった。 かつてはパッケージがひとくくりの頃もあったが時代は変わり、映画ライセンスはそれぞれの俳優,映画音楽,挿入曲……と個別で許諾が処理されるようになってきている。フロントラインでは『スタートルガイド』と言って、ロゴや承認済み画像から提供が始まる。 そう言えば日本のパチンコジョーズは、正にこのスタートルガイドのロゴとタイトル購入だけで済ませているのが分かる。 次に俳優の肖像権。映画側に譲渡している俳優が何人いるかが開示されるのだが、通常はゼロ人だそうだ。よって俳優のパブリック権を当人と交渉せなばならない。1つのライセンスの下に、更なるいくつものとおせんぼがあるのだ。 前述の様にジェニファー・コネリーとは決裂したことが窺えたが、デヴィッド・ボウイ財団とは交渉が成立し、挿入曲も含めて肖像,映画登場場面も全面的に使用が許されている。 もっと柔和だったのがジム・ヘンソン・カンパニー。 恭しく“これは大丈夫でしょうか、こっちは問題ないでしょうか……”とこまめに承認プロセスを伺ったところ、 『デヴィッド?私たちにキャラクターひとつひとつの認可を工程毎こまめに訊いてこなくても大丈夫。出来上がったものを見せてくれるだけで十分ですよ。それを見て、イエスかノーで返答します。私たちが望むのは収益ではなく、ジムヘンソンの作品の価値が高まり、彼の名が再び脚光を浴び、再評価されることこそ第一義なのですから。』 ―――と、彼らの寛容さと高邁な指針に、デヴィッドは感銘を受けたという。 それらラビリンスのアートワークについてなのだが、こちらもゴブリンを愛する者たちの、遠く離れた世界各地のラビリンス通たちによる愛念の結晶で出来ている。 美術チーフとして、既にボードゲーム盤ラビリンスのスカルプチャを作っていた、ニュージーランドのジョニー・フレイザー=アレンが抜擢された。 デヴィッドが『世界にはあの映画の数十年越しのマニアが必ずいるはずだ』とSNSラビリンス愛好家グループの中から探しあてた才人の一人だ。 実はこの時、アレン側に奇妙な虫の知らせが起きている。彼は地元のラビリンス信者仲間のWIA電気技師と“ピンボールカスタマイズでラビリンスの台を作ってみようよ”と、ほんの一週間前に話していたところだったという。 『こんな内容にしたいよね。じゃあ作ろうか。自分たち2人専用の2台だけ。4万$はかかるよね、じゃあ俺はアート全般、電子部品担当全般はお前やってよ!』 ―――勿論2人とも遠く離れたアメリカヒューストンのバレルズ社のことなど全く知らない。 そこへ、バレルズデヴィッドからではなく、仕事面でもアレンと既に面識のあったジムヘンソンカンパニーが、あえて本家ライセンサー直々に『この度のピンボールアートは是非君にやって欲しい』とオファーを通達したのだった。非常に驚きつつ、勿論即決。 アレンは早速初期のモックアップ用のバックグラスアートを描き上げた。Jコネリー扮するサラと赤ん坊トビーがはっきり描かれていて興味深い。 『本業が映像監督だけあって、デイヴの指導は的確だったよ。ここをこうして欲しい、これを動かして欲しい、ここはヘンソン社の意思を尊重してこんな具合がいい、ってね。しかし、制作に入ってから自分の力不足を自覚させられてね。ロサンゼルス在住のネイト・ヘランのレンダリング意匠が必要と痛感し、彼もアーティストに加わることになった。マーベル映画や「ダーククリスタル」のポスターデザインに携わっているような奴だから腕は折り紙付き。プレイフィールドの絵画的な風格は彼の功労なんだ。』 そう語るアレンは更に、自分の給与の分け前がまたもや目減りするのも承知で、不安が残るパートや手に負えない部分は、ラビリンスファングループに潜んでいる更なるつわものに任せるべきだと判断。 ホグルやらフォーガードやら、Facebook上で等身大ゴブリンを5体もこしらえているアイルランドのマイク・ギルバートに召集をかけた。 “えっ俺ゲーム会社フルタイム雇用でミニチュア作ってっけど?ラビリンス正規ライセンスだって!?絶対やるよ!!” とこちらも二つ返事。賢者やルードー、ノッカーズやファイヤリーズ、ゴブリンシティーの家々。 プレイフィールド上のスカルプチャはギルバートの御手によるものだ。 つくづく、コロナ禍の落とし子リモートワーク活況が良い方へ転んでいるのが分かる。 オーストラリア人のデヴィッドが、ヒューストンからニュージーランドのアレンへオファー。そのアレンは更にロサンゼルスのネイトへ。アイルランドのギルバートへ。世界のラビリンス通アーティストの豪傑が次々とそろい踏みしてゆく。 特筆すべきは、トッパーのゴブリンの頭3体。 別売りアクセサリーとなるが、これをバックボックスに接続すると、ゴブリン達がスピーチと共に目を赤く光らせながら頭を動かし、プレイヤーにちょっかいを出すが如くおしゃべりするのだ。 中国製ファッションドールのウィッグメーカーに特注した3匹の髪の毛も大変に美しく映えた。 これはピンボールの仕事が舞い込む前々からアレンが個人で制作中のものだったが、バレルズ社副社長ブライアンサヴェージの差配により、ピンボール筐体のてっぺんで首を動かしておしゃべりするという、究極的に望外の形で完成となった。 ニュージーランドから来米し、バレルズ工房内で“おい見てろよ、あいつそろそろプランジしやがるぜ、へへっ”などと鼻持ちならないセリフと共にこの3体が稼働する姿を目の当たりにした時、アレンは驚嘆の声を上げたという。 “こんな凄いコトになるなんて聞いてないぞ!これはまるで、俺がこれまでラビリンスに多大な時間を捧げてきた愛の結晶だ!” ゴブリンシティーでのバトルを舞台に据えて描いた別バージョンのバックグラスは、スターン製ジュラシックパークでも健筆を揮ったジョナサン・バージェロンが手掛けたとか、美麗なサイドキャビネットアートもバージェロンの手によるものだとか、彼は次作「DUNE砂の惑星」で美術チーフを担ったとか。 アートの逸話はまだまだ尽きないが、そろそろゲームルールのメイキング話に移ろう。 ルール構築担当はフィル・グリマルディー。 デヴィッドがヒューストンに越して来てから最初のピンボール仲間で、尚且つ映画愛と造詣の深さでデヴィッドとはウマが合った。 『デヴィッドはとても熱いヤツなんだ。ピンボール大会でも滅法強いし、とびきり頭もいい。それに人柄にとても求心力があった。だから彼から誘われた時は即決でこの仕事を引き受けた。でも僕が参画した時はまだホワイトウッドも出来ていなくて、完成の5%にも満たない段階。会社も商品化も、果たして上手くたちゆくかどうかは半信半疑だった。フィーチャー全体の脚本を書いている時は、まさか本当にラビリンスピンボールが完成するとは、夢にも思っていなかったくらい。それがこうやって、まさかのファクトリー量産がかない、EXPOでブース出展して、今皆がプレイしているなんて最高の気分だ。』 そのグリマルディーを支えたのは、1年遅れてチームに加入したボウエン・ケリンズ。 スプーキー及びマルチモーフィックでも活躍した剛腕である。彼が加わってくれた時のことをグリマルディーはこう語っている。 『僕がバレルズに招かれたのは2021年末頃。その1年後に経験豊富なボウエンケリンズが来てくれて、瑕疵のあったフィーチャー構成が大幅に補強されたんだ。プロトタイプが出来上がっていくつもの問題点が浮上した時、数学的バランス知覚の図抜けたボウエンが、ルール,配置,スコア,数値のアンバランスを全て修正、実装してくれた。彼のお陰で魔法をかけたようにゲームが断然面白くなったんだ。』 ……と、グリマルディーはボウエンの力量を称讃している。 また、コード担当のエリック・プリープキーも、スプーキー出身の才覚溢れるプログラマーである。 大好物のチーズばかり毎日食ってる、マペットゴブリンみたいな大男だそうだ。 かの「リック&モーディー」の制作ではデヴィッドヴァンエスともボウエンとも同輩。 しかし仲の良かったデヴィッド・フォズマが違う業種に行きたいという理由でスプーキー社を去ってしまって何だか気が抜けてしまい、自分もそろそろ新しいところに移ろうかと思っていたところだった。 そこへバレルズラビリンスの話が来て、ウィスコンシン州からテキサス州ヒューストンへはるばる足を運んで企画の概要を把握し、デヴィッド達の信頼性を確信。勿論映画ラビリンスのことも知っている。 すると5日後、彼は何とウィスコンシンの自宅を売却。ヒューストンに引っ越して来た。 “これはリモートで済ませるべき仕事ではない。俺も毎日実地で日参してこのプロジェクトに取り組むことにしたよ!” 3年もの歳月をかけ、ラビリンスPINは完成に向けて着実に進んでいった。 『ディスプレイは通常のLCDの他、プレイフィールドバックパネルにも広々とした14.9インチのLCDを設けよう。この位置に戦況を表示すれば瞬時にプレイヤーが覚知するし、まばゆい程の没入感も演出できる。カラフルで明るいポップアップが鮮烈に映える。キャラクターも情景もたくさん表示できる!』 『ラビリンスはずっと大好きな映画だ。でもサラのまだるっこしい行動にはイライラしたよね。穴に落ちて手の大群から上に戻るか下へ行くかって訊かれた際に、なぜかサラは下を選ぶし。いや普通上だろ。ここはサラとは違う選択を、プレイヤーそれぞれが選べるゲーム進行にしよう。プレイヤーがラビリンスの世界を体験できるように!』 『プレイヤーには、勝った時にも惨敗した時にも、笑って台から去ってもらいたい。左アウトレーンに落とした時は実働スカルプチャのファイヤリーがひょっこり顔を出させて“もう1回やりなおそうぜー”と言わそう。最終ボール終了時にはルードーが尖塔からにょっきり顔を出して雄叫びを上げる演出を施そう。忘れられかけている、あの映画の喜びと魔法を取り戻したいんだ。ラビリンスというIPの真髄を甦えらせるのさ!』 『声優はマーク・シルクを起用しよう。スターンタートルズではスプリンター,ビバップ,ロックステディ等声色6人分の使い分けが見事だったし、「ファンハウス〜ルディーズナイトメア」「ワールウィンド〜トータルカオス」での演技も素晴らしかった。彼ならピンボールで当てがうべき声の演技も心得ているし、映画からの転用だけでは不足する、ホグル,ルードー,ディディモスその他ゴブリン達の声を、全て演じ分けられるはずだ!』 時が熟した2023年9月頃。デヴィッド達はピンボールメディア各位に 『我々ハ、“ミステリー・ピンボール・カンパニー”ダ!』 などという、殆ど怪文書の様なプレス発表を送り付けている。 『EXPOで会おうぜ』『アメイジングなピンボールが登場するけど内緒だぞ』『舞踏会に出かけるわよ!』 などというメッセージと共に、ステッカーやクロスワードパズルを同封すると言う茶利っけぶり。未だ社名は極秘とし、リターンアドレスすら書いていなかったそうだ。 そして遂に、イリノイ州シャウムバーグで開催される2023年ピンボールエキスポで、バーレルズ・オブ・ファン社、及びその第1回作品「ラビリンス」が正式に発表された。 1100台ユニット製造限定。お値段10,600$。デポジット金1,000$。 ディストリは既にアメリカ国内に5つ、オーストラリアに1つ、計6社が押さえられていた。 こうして盤石なデヴューを飾ったバレルズラビリンス。 EXPOでの同社ブースではプレイ待ちの長い行列が絶え間なく、スターンやジャージージャックと比べても遜色のない完成度のマシンを突然世に放った新規メーカーの登場に、皆が驚嘆と感激の声を上げた。 恐らく故ジム・ヘンソン、故デヴィッド・ボウイも、きっと草葉の陰で喜んでくれているはずだ。 その後バレルズ社は20,000平方フィートから33,000平方フィートにファクトリーを拡張、当初4人だった正社員も30人に増員。 ピンボール第2作目「DUNE〜砂の惑星」、第3作目「ウィンチェスター・ミステリー・ハウス」を発表、更に「グーニーズ」も近々発表の噂……と、年々上がり調子の好調ぶりを見せている。 ピンボールファンとして、心底頼もしい限りだ。 ところで。 『ラビリンスという忘れられたIPを甦えらせたい』 という、デヴィッド達の最初の本懐は立派に遂げられた―――とは思うが、最後まで足を引っ張ったのは、肖像許諾を素気無く固辞し(たとおぼしき)、サラの姿を欠損させたジェニファー・コネリーだ。 返す返す、サラの不在がどうしても腹に据えかね、気が晴れないのがプレイヤーの本音だ。 実は彼女が過去の主演作のファンに対し、後ろ足で砂をかけた例がもうひとつある。 ダリオ・アルジェント監督の'85年製イタリア映画「フェノミナ」だ。 「サスペリア」と並ぶジァッロ及びホラーの傑作で、これぞクロックタワーの元ネタと言っていい。 彼女が初主演を果たしたはずの映画フェノミナに関しては、各取材時のインタヴュアーに対してジェニファーは一切触れさせず、それどころかあの映画を嫌悪している旨の発言まで述べている。 こういった言動に対し、ダリオアルジェント研究家の矢澤利弘氏も “主演デヴュー出来たのはアルジェント監督と、彼女を監督に紹介した脚本家フランコ・フェリーニのお陰であって、フェノミナが無ければ今の地位はなかったかも知れないのに、恩を仇で返している” と、残念そうに嘆いている。 筆者が13歳の時、生まれて初めてビデオレンタルショップから借りてきたβビデオソフトが「フェノミナ」であり、初めて買った映画サウンドトラックLPもフェノミナだ。 αレコード細野晴臣スーパーゼビスウスと、このフェノミナのサントラを、音盤がチリチリと傷む程延々聴き込み、どちらも同じレコードの2枚目を購入したくらい。 思い入れはひとしおどころか、映画の嗜好も音楽の趣味も、フェノミナの世界が全ての原風景として自分の人生を彩っている。 だから、ジェニファーコネリーのことは当時は勿論、低迷期も筆者はずっと見守っていた。 '90年代には役に恵まれず、“ジャンル映画以外では出番なし!リンダ・ブレアの二の舞”と映画マニアに揶揄されても、「ダークシティ」「レクイエム・フォー・ドリーム」、そしてアカデミー俳優の仲間入りを果たした「ビューティフル・マインド」での好演を、リアルタイムで、劇場の観客席から応援して来たのだ。 よって、例え晴れ晴れしきバレルズ社デヴュー商品に若干のミソをつけたのみならず、映画「ラビリンス」におけるせっかくのIP新規更新を阻んだこの度の彼女の悪態も、アルジェント監督への恩知らずの不実も、少なくとも私の中では不問に付したい。 キネマ旬報誌での記事によると、彼女は 『本当は医者になりたかった』 『血を見るのが苦手』 『子供の頃には良い思い出が無い』 ―――と語っている。 とても厳しい撮影現場だったという「ラビリンス」も「フェノミナ」も、ジェニファーにとっては未だ深刻なトラウマなのかも知れない。 |
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| ▲ゴブリンシティーの家々をぐるっと旋回する左ランプレーン。登坂がリフトスロープとなっている。 | ▲賢者スクープの手前は1枚ドロップが遮っている時がある。これを倒して奥のスクープに入ってご神託をもらおう。 | ▲サイドフリッパー。実は内側に重要なポケットがある。これを上げっ放しにして狙わなければならない。 |
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| ▲ここも通すのが難しい左オービット。スピナーの奥には更に1枚ドロップターゲットがある。 | ▲プレイフィールド全景。ラビリンスの世界を再現! | ▲障害物の様に感じる赤色スタンダップだが、芋虫リットやロックリットを進捗させる役割がある。 |
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| ▲サイドループはともかく、緩やかなサイドランプレーンは通常右フリッパーからも狙い打ちが可能。 | ▲リフトスロープ内部には剛速球キッカーがある。これをトラッピングでぱしっと止められる貴方は上級者。 | ▲右ランプレーンと右オービットも狙い打ちが大変なんだから!ほんの些細な誤差も許されないキツキツの配置。 |
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| ▲左アウトレーンにはにょきり飛び出すポストセーヴがある。ディディモス騎士が守ってくれるのだ。 | ▲ランプレーンはバックパネルLCDの視界を遮らないよう注意を払った設計になっているのが分かる。 | ▲プレイヤーの怨敵、右アウトレーン。ご清読ありがとうございました。 |