名古屋昭和区/いりなか駅

ザ・ナンザンハウス

▲ナンザンハウスのGardenSweetsPlateとは、7種のスイーツから4品まで選択するオーダー制デザート食べ放題。優雅なティータイムとしてなかなか贅沢 ▲場所は閑静な高級住宅街の南山。徒歩で散策すると時代や国が違うのではないかと思えるくらいの静謐さに包まれている
▲レストラン内、窓辺の席からの1枚。芝生張りの庭を眺めながらお茶を嗜めるエレガントなひと時。ただ店内の陰影が極端で、暗い席だと読書するには不向きだった ▲90分制限、完食オーダー制、且つ一度に注文出来るのはこんなプチサイズ4品まで。スローペース派の筆者もついついペースが駆け足気味に

― DATA ―
企画名ガーデンスイーツプレート
メインメニュースイーツプレート/プチフール
ケーキのサイズ【極小】〜【小】
お値段1,980円/またはランチコースオーダー+990円
制限時間オーダーから90分
実施タイム平日昼12時半〜午後4時半(L.O.)
ドリンク2杯まで料金内
その他ルール完食オーダー制/いちどき4点まで注文可/全席禁煙/土日祝は定休/貸切休業日多し、確認推奨
※各項目のポイントは10点満点で審査。総合★取りは5つが満点。
― JUDGE & COMMENTS ―

(ずばり、おいしいかどうか)
[8] 昭和区いりなか駅より徒歩10分。高級住宅街で静謐に佇むブライダルガーデンレストラン《ザ・ナンザンハウス》で楽しめる、至高のオーダー制スイーツプレート食べ放題をここにリポート。

 同店舗運営元であるプラン・ドゥ・シー社と言えば、市内中区《ザ・カワブンナゴヤ》、三重桑名《ザ・フナツヤ》のデザートバイキングでも高名。
 この度の食べ放題はブッフェスタイルではなく、7種のデザートを組み合わせるオーダー制プレート……という特殊スタイル。
 お一人さま来訪OK、予約無しの飛び込みOK、またお値段も二千円を切るという、同社としてはかなり抑えた価格設定に。なかなか穴場の一件である。


 場所は名古屋市屈指のセレブリティ地区である昭和区南山

 東京で言う成城や白金に値するような区域で、新規建築の店舗はおろか病院すら建てられない、第一種低層住居専用地域に指定されているという、閑静且つ粛然とした空気に包まれたおごそかな街並みである。

 尚“南山”の正しい読みは、交差点名やバス停名からも分かる通り昔から「みなみやま」ではあるが、屋号、学校名、マンション名は「なんざん」と読ませるという、この地区独特の慣習があるとのこと。

 そんなナンザンハウスで執り行われてるデザート食べ放題メニュー。その名も“Garden Sweets Plate”
 7種のスイーツメニューを4点まで組み合わせるデザートプレートをお好きなだけ、時間内なら何度でもオーダーが繰り返せる。

 さらにオーダーに関係なく、プチフールを携えたウェイトレスさんが“いかがでしょうか”とテーブルを巡る、「持ち回りスイーツ」も、好きなように手に取ることが出来る。

 受付時間は平日昼12時半〜午後4時半(L.O.)まで、オーダーから90分制限。2ドリンク付き
 表示価格1,800円+サービス料10%加算で、総額1,980円


 お品書きを部門別に列挙。

【デザートプレート】
 [濃厚卵のカタラーナ]、[ぶどうのジュレ]、[りんごのオーブン焼き]、[トルタカプレーゼ]、[季節のミルフィーユ]、[キャラメルアイス]、[ラズベリーシャーベット]の全7種。
 ワンプレートのオーダーはこの中から一度に4点まで選択可。勿論同じお気に入りを4個頼んでしまっても大いに結構。
 但し、注文からお席に届くまで、20分程かかることも。

【持ち回りプチフール】
 [フィナンシェ&モカブラウニー]、[レアチーズ]、[モンブランタルト]、[塩気豆類]、[野菜チップス]の5種。
 豆類や野菜チップも含めて全部美味しい上、時間中は2回しかサーヴが回ってこないので、来た時には遠慮なく全種手に取ってしまおう。

【ドリンク類】
 珈琲Hot/Ice4種(ブレンド,オレ,ラテ,カプチーノ)、紅茶Hot/Ice3種(ダージリン,アッサム,アールグレイ)、ハーブティーHot4種(オリジナル,ローズヒップ,ペパーミント,オリエンタルビューティー)。
 2杯まで料金内。今回は2杯ともアイスコーヒーを頂いたが、決してエグみ無く、濃さも苦みも丁度良かった。


 デザート類のお味は格調高く、どれも誠に美味しかった。

 バイキング式では先ずお目にかかれない[カタラーナ]が好きなだけお代わり出来たことに、心より恐悦しきり。表面のキャラメリゼを割りつつ、ストッとフォークが降りるカスタード半生アイスの状態が絶妙。たっぷりバニラビーンズの風味も素晴らしい。
 [季節のミルフィーユ]の今シーズン食材はぶどう。青々と色鮮やかなマスカットもさることながら、きわめたかのような極薄パイ生地と濃厚カスタードの愛くるしい兼ね合いに、マスカットごと頬張った瞬間には思わず相好が崩れる。美味しかった。

 持ち回りサーヴ品の中では[モカブラウニー]が出色。ココアテイスト×コーヒーのかぐわしさが、食感の深淵の最果てで邂逅するような、微妙なお味の滋味深さ。アイスクリームと一緒に召すのもいいが、最初は単独で頂きたい逸品。こんな美味しいブラウニーがあるのね。


 ただ、スイーツ食べ放題ファンがいくつか留意すべき点は、

 オーダーから提供まで20分弱かかることや、
 一度に四品までしかオーダーが許されないこと、
 更に必ず完食してからでないと次のオーダーが通せないこと、
 そして持ち回りサーヴが2巡しか回ってこないこと。

 コレらはお腹を空かせた健啖家の食いしん坊にはそぐわないシステムで、時間制限に追われながら速攻で平らげては次を注文しないと、タイムオーバーまでとても満腹に至れない事態へと直面。
 よって食べるときはフルスロットルだけど、オーダー直後は急ブレーキ、品が来るまで手持無沙汰悶々。そんな落ち着かないさもしい時間を過ごす羽目になりかねない。

 しかし途中でようやく気付いた。

 ダークブラウンを基調とした店内では、抑えた照明の中で洋書が本棚に整然と並び、シックな色合いのテーブルとソファーが備えられ、天井では音も立てずにシーリングファンが回る。
 まるで叡智な資産家の書斎にお邪魔したような泰然とした空間。
 日が西に傾いてくるとウェイトレスさんが屋外に出て可動式オーニングをスルスルと操作、差し込む光量を加減。
 木洩れ日が揺らぐ窓辺の席で、芝生張りのガーデンを眺めながらお茶を嗜んでいると、まるで世俗とは違った悠然たる時間が流れゆくよう。

 この空間では、大食する気満々のバイキングマニアの臨戦態勢なんてお呼びじゃない。
 これは筆者が忸怩するべきである。
雰囲気
(入りやすい店か、落ち着いて食せるか)
[7]
リベラル感
(実施時間が不自由でないか、ルールがやかましくないか)
[7]
接客
(説明など不親切でないか、感じは悪くないか)
[8]
立地
(場所は便利かどうか)
[7]
お得感
(質量共に料金以上の満足が得られるかどうか)
[8]
総合【★★★−−】大食より寛ぎ重視なら星もうひとつプラス。お値段も実はお手頃。

当日の収穫!

▲フィナンシェ&モカブラウニー,レアチーズ,モンブランタルト(生地はマドレーヌとクッキーの2層) ▲キャラメルアイス,ぶどうのジュレ(かき氷が乗っている),ラズベリーシャーベット,りんごのオーブン焼き(皮の苦みがアクセント) ▲野菜チップス(結構美味しくて一挙ストレートに完食してしまった),塩気豆類
▲トルタカプレーゼ(カワブンのソレと同名同工),マスカットのミルフィーユ,濃厚卵のカタラーナ ▲モンブランタルト,ブラウニ&フィナンシェ,レアチーズ(美味しいけど小さ過ぎる…) ▲カタラーナ3丁!大満足!
▲ソルベ2種を2丁ずつ。キャラメルアイスは底にナッツ類がしのばせてあって食感もイイ ▲ぶどうジュレとトルタカプを2丁ずつ。2度目以降のぶどうジュレにはなぜかかき氷が乗っていない ▲ミルフとカタラを2丁ずつ

― みちあんない ―

■名古屋市営地下鉄[いりなか]駅A番出口より南西へ徒歩5分。

【所在地】〒466-0837
愛知県名古屋市昭和区汐見町6
ザ・ナンザンハウス
【営業時間】平日午前11時〜午後5時/土日祝定休
【tel】052-837-1117
【関連サイト】公式サイト  食べログ
【PR】

▲持ち回りプチフール全種。今回総じて食べ放題マニアは量的に足りないと思うので、遠慮なくお盆から全部頂いてしまってよいだろう。食べて損のない良品ばかりだ ▲かつては高級中華料理店《東陽飯店》だったという同建造物。改装されてナンザンハウスとなった今も当時の名残が随所に残っている
▲こちらは入館してすぐのエントランス。本物の暖炉でないもののマントルピースの装飾が来館者をお出迎え ▲いやー美味しかったですなこちらのマスカットミルフィーユ。皮ごと食べられるタイプなので、いっそ一口でかぶりついては至福のひととき。

(取材日:2015年10月13日)